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決戦! 伝説のフランツ

 いよいよ対決の日がやって来た!

 いろんな不安があるけど、でも勝つためなら迷っていられない!


「さて、皆の衆。今日は決戦の日だ! 我々の輝かしい未来を勝ち取るかどうかは、この作戦にかかっている。心してかかれ!」


 おお、ニルヴィーナさんが指揮官らしいことを言っている! なんだかわからないけど、とても頼もしい感じがするよ。


「あのー、一ついいですかー?」

「なんだ? メガネっ娘」

「決戦はゴルディアートでやるんですよねー? どうして私達はこの空飛ぶ方舟に乗っているんですかー?」

「何、簡単だ。我々が先行して敵の戦力を大幅に削るという作戦だからだ」


 ニルヴィーナさんいわく、相手の意表を突いた効果的な戦略を取れば大逆転ができるという話。ちなみにこの作戦は私が思いついたんだ。

 でも、問題があるんだよね。

 一つは私がいないと動かないこと。もし私がこの方舟から離れちゃったらただのガラクタになっちゃうの。

 そしてもう一つ。このスターノアは私の他に魔力を共有しないと攻撃態勢が取れないってこと。えっと、カランさんの説明だと『動力はマオちゃん、その他もろもろは他の人がやらないとダメみたい』って言っていたの。

 つまり、私がいないと動けない。そして私以外の人がサブユニットにいないと攻撃ができないって構造みたい。


「そんな作戦、上手くいくのか?」

「例え戦力を削れたとしても、たかが知れている気がしますが」


 シィちゃんとミィちゃんが不安げにしている。

 まあ、仕方ないかも。この作戦はとても無茶なことをしているし。


「ケッ、いざとなったら俺が引きつけてやるさ」


 そういってゴブタさんはゴロンと横になっていた。なんだかどこか暇そうに見えるのはなんでだろう? あ、もしかしてあれが強い人の余裕ってものなのかな?


「頼もしいね。まあ、勢い余って海に落ちないようにね」


 ニルヴィーナさんがそういうと、ゴブタさんがとても忌々しく舌打ちをしていた。


「わー、飛んでるー」

「こんなの見たことがないよー」


 メイちゃんとコリー君が仲良く外を眺めていた。なんだかあの二人を見ているととても微笑ましいよ。


「そうだろう。これが最後の眺めだとは悲しいものだね」


 あれ? あの人は誰だろう?

 見たことがないよ。というか、コリー君の耳をモフモフしている!


「ふあぁっ」

「これはなかなかの心地よさだ。ふふふ、気にいった! 君を私のペットにしてやろう!」


 って、誰! あの変態さんは誰なの!?


「敵か!」


 ゴブタさんが飛び起きて臨戦態勢を取ろうとする。だけどその瞬間に変態さんは一瞬にして消えてしまった。

 それはまるで、瞬間移動したかのような感じだった。


「伝説のスーパーゴブリンも他愛ないですね」


 変態さんはその流れるような金色ウェーブヘアーを、一度だけ払い直してゴブタさんの首を絞めた。

 あろうことかゴブタさんは、何もできないまま力なく倒れてしまう。


「なっ」


 さすがにこの出来事にニルヴィーナさんが言葉を失っていた。だって、あのゴブタさんが何もできないままやられちゃったんだもん。


「フッフッフッ。これはこれは何とまあ、麗しい方ばかりだ」


 この変態さん、とんでもなく強い。


「ぜひ私のペットにして、たっぷりと調教したいところですね」


 そして変態特有の背筋に寒気がくる笑顔!

 やばい、あの人はずば抜けた変態だ。たぶん、セバスチャンさんとは比べ物にならないほどだと思う。


「まさかここで先手を打たれるとはね。みんな、心してかかるんだ」


 全員が息を静かに飲み込む。だけど、変態さんはとても余裕があるのか笑っている。

 そしてそのまま手を広げて、高笑いを上げていた。


「うるさーいっ」


 あっ、変態さんがメイちゃんの攻撃で凍りついた。


「うぉおぉぉ! なぜ下半身だけ凍りついてるんだー!」

「あ、間違えた」


 メイちゃんは青い天使さんと一緒にテヘ、って舌を出していた。

 だぶんあれは、わざとだと思う。


「く、こんなことで伝説のフランツが負けることなどぉ!」

「二つ名ダサっ!」


 あ、シィちゃん!

 それは言っちゃいけないよ!


「自分で伝説とつけるのはちょっとー」

「せめて閃光、とか疾風、とかがまだいいかな?」


 うわぁー、したっぱメイド隊の容赦ないダメ出しに変態さんが落ち込んでいってるよ。


「ち、違うもん。これは僕がつけたあだ名じゃないもん」


 泣いてる。とても悔しそうに泣いている。

 あれ? この人って実は精神的に弱いのかな?


「ふーん」


 ニルヴィーナさんがなんだか怪しい笑顔を浮かべている。とても悪いことを思いついたのかも。


「なあ、フランツ。私といいことをしないかい?」


 ニルヴィーナさんは撫でるように、変態さんの首から顎にかけて指を動かしていく。変態さんはとんでもなく顔を引きつらせながらも、「いいこと?」と妙に声を高くしていた。


「ああ、そうだ。いいことだ」


 ニルヴィーナさんはそういって変態さんの首根っこを掴んだ。そしてそのまま引きずっていく。


「や、やだ。やめてくれ。誰か助けてぇぇ!」


 扉が閉まると共に、一瞬だけ静かになる。

 一体何が始まるんだろう?


『ああぁっ、それは、らめぇ!』

『君はこういうのが好きなんだろう?』

『ゆ、ゆるしてぇ! もうゆるしてぇ!』

『なら盛大にぶっ飛ぶんだね』


 その言葉にならない叫び声は、一体何を意味していたのだろうか。

 私達はただただ沈黙する。


「ただいま。いやー、スッキリしたよ」


 晴れやかな笑顔を浮かべるニルヴィーナさん。その笑顔を見た私達は、変態さんがどうなったのかなんてことを、深く追求することはなかった。


ひさびさの更新!

なんだか感性が変わったり、いろいろと忘れているような気がするけど頑張るぞ!

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