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【青年よ、法を犯せ。聖女よ、時を待て】





男は今試練に立ち向かおうとしている

全身をダイパースーツで防護し、シュノーケルと水中ゴーグル。右手には何故かスコップを構えていた



青年、君は何をする気なんだい?12月の早朝に青森でそんな格好は自殺行為です。そこを何処だと思ってるんですか?陸奥湾ですよ?(陸奥湾は北海道と青森の間の海域です)



「待ってろホタテ!真珠を寄越せや!」










ああすまない。余りにも異常な回答に少々ついて行けなかった


先に言っておくが真珠は主にアコヤ貝等で出来る物である。中の異物に刺激され真珠質と呼ばれる薄層を何層も重ねることで出来るものである。ついでに言うがアコヤ貝は水温10℃以上の場所に生息する

つまり極寒の北なんぞにある訳が無いのだ




「いざ!ダイビング!」



彼は勇ましく海に飛び込んだ。彼は知ってるのだろうか。漁業権という法律を。いや、知るわけ無いか







一方その頃



「ああ今日でしたか。貴女が休暇なんて本当に珍しいですね」

「すみません。クリスマス前の忙しい時期に」

「いいえ。いつも頑張って下さってるのですからたまにはゆっくり休んで来て下さいね」

「ありがとうございます。それでは失礼します」

深々と頭を下げる彼女は女性にしては少ない手荷物片手に駅の方へ向かう


「彼は元気でしょうか」


吐く息は白く、冷たい風が肌を刺す。しかし彼女は全てをものともせず真っ直ぐに駅へと向かう


町行く人達は皆にこやかに挨拶をし、彼女は軽く会釈を返す。たまに学生や20代後半から40代手前の大人達が顔面蒼白で敬礼しながら挨拶をし、やはり軽く会釈を返す彼女


どうやら彼女は町でもかなり有名な方の様だ

彼女は間もなく来た電車に乗り目的地へと向かう。途中、マナーの悪い同乗者をボコボコにし、停車した駅に蹴り飛ばした。周りから色んな意味の拍手を貰い軽く会釈を返す。どうやら彼の見知った彼女で間違い無いようだ


彼女は手荷物から封筒を取り出し破られた封筒の中から手紙を出す

何回と読み返した手紙は彼からで、ちょっと下手くそな字で綴られていた






お久しぶりです。送って貰った漬物美味しかったです。ただ二口食べたら母に全て食べられました。泣きたいです


相変わらずこっちは寒いですが大丈夫ですか?風邪ひかないでくださいね


それはそうとクリスマスは暇ですか?よかったら一緒にクリスマス居たいなと思って。

別に何もしませんよ!本当に一緒に居たいだけですから!信じてください!後生ですから!



お返事待ってます




改めて読み返すもやはり笑みが溢れる。初めて御会いした時と少しも変わらない




彼女は手紙を戻し自分が向かう道を見据えた。

会いたい。あって彼に触れたい。そして彼に何度でも言おうと心に誓った




愛していますと










ついに訪れた運命のクリスマスイブ

彼の手には真珠か?それとも手錠なのか?


馬鹿で不器用だけどいつも真っ直ぐな彼

手加減無しだけどいつでも彼を想う彼女


そんな二人に訪れた最初のクリスマス



次回『そして彼は想う。そして彼女は歌う』

明日もお楽しみに

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