風邪を引いたユウ
帰宅の時間にもまだ雨が降っていたのだが、俺達4人は傘を持っていなかったので、走って帰る事になった。
『朝、突然降ってきてまだ降ってるって酷いー天気予報外れてるじゃん』
氷菓は不満を漏らした。
『まあ、今は走るしかないだろ?この様子だと、また強くなるかもしれないからな。早く行くぞ』
剣は励ますように言った。
まず、氷菓と別れた。
その後、剣と別れ、続けてユウと別れた。
そして、翌日
ユウは学校に来なかった。
放課後、氷菓と剣は部活で学校に残った。
だが、俺はユウの事が心配だったので、助っ人に頼まれていたが今日は断り、ユウの住んでいる公園に向かった。
公園に着いたが、ユウの姿は何処にも無く、濡れてヨレヨレになったダンボールだけが残っていた。
『ユウ、何があったんだ…』
俺はつぶやき、走り始めた。
ユウを探すためだ。
また組織に狙われて何処かに逃げたのかと思い、いろいろな場所を探した。
だが、見つからずすでに、空は真っ暗になり星が輝いていた。
『明日…探すか』
俺はつぶやき、帰宅した。
俺は家に着き、ドアを開けた。
珍しく、母さんが俺の帰宅前に帰って来ていた。
まあ、俺が遅かっただけか。
『ただいま』
と、俺は元気無く言った。
母さんは手にお盆を持っていた。
『おかえり』
俺は不審に思い近づいた。お盆には、お粥が入ってる鍋があった。
『種子風邪引いたのか?』
『違うわ。種子は部屋でテレビ見てるわ』
『じゃあ誰だ?』
俺は気になり聞いて見た。
『えっと、まだ警戒されてるみたいで、名前は聞いて無いんだけど、いつもと違う道で帰ってたら、丁度公園の前を通った時、咳してる女の子がいたから、いろいろと聞いてみても、何も答えなかったけど、そのまま、連れてきたの』
それってまさか…
『その子は何処の部屋にいるんだ?』
母さんは、目の前の部屋を指を指して言った。
『この部屋よ』
俺はは部屋のドアを開けた。
その部屋で寝ていたのは紛れも無く、ユウだった。
驚き、声に出してしまった。
『ユウ…どうして』
ユウは気づき、目を覚ました。
『あれ?業なんでここに?』
その時、母さんが話に入ってきた。
『知り合いだったの?制服同じだったけど、同じクラス?』
俺は頷き、
『ああ、同じクラスだが』
母さんはお盆を一度置き、手を合わせて言った。
『じゃあ、親の連絡先知ってる?』
『いや、もう親はいないんだ』
『え、そうなんだ』
『そこで、前からこの事で相談しようと思ってた事があるんだ』
『何?』
『この家に匿ってやってやりたいんだ』
『えっと、部屋は余ってるんだけど、そういえば、この子の名前は?』
『風見乃 ユウ』
母さんは少し考えた後、
『もしかして、あの子?』
『まさか、知ってるのか?』
『うん、実はね、その子のお母さんに昔頼まれたの。風見乃 ユウって子が来たら、家に匿ってやれって聞いたのでも、今頃来るなんてね』
『母さん、いつそんな事聞いたんだ?』
『ユウちゃんのお母さんが亡くなる直前に、ユウちゃんのお母さんの能力の無線で伝えられたの。もし、風見乃 ユウっていう、私の娘が来たら、匿ってあげてと言われたから』
『そうなんだ』
驚いた。まさかここまで手回しされてるとは、俺の名前をユウに伝えたのに加え、母さんにも伝えられていたからだ。
そして、母さんはユウにお粥を食べさせようとしたが、
『大丈夫です。自分で食べられます』
『そう、なら』
と母さんはユウに任せた。
そして、ユウは自分で食べ始めた。
『ユウがここに住むなら、部屋は?』
一番気にする点だった。
『大丈夫部屋は余ってるわ』
『え、本当?』
『ええ、もう一人子供が出来た時の為にとって置いたんだけど、夫が海外で働いてるから、結局作れなくて物置部屋になった所があるの』
『そうか』
そして、お粥を食べるユウを見て、
『ユウ』
『ん?』
ユウは俺を見上げた。
『ユウは今日からここに住む事になったからな』
『え?』
母さんが加えた。
『あなたのお母さんに頼まれているのここに住んだ方がいいわ、外だと、風邪ひくわよ』
『うん、でも』
『ユウ、頼む、ユウの為だ』
『分かった、迷惑をかけるかもしれないけど、よろしく』
『おう、よろしくな』
そして、俺は母さんの方を向き、
『ユウの部屋掃除して来るわ』
『うん、お願い。後、種子にも教えておいて』
『分かった』
そして俺は二階に上がり、一番手前の種子の部屋をノックした。
反応が無いので入ってみた。
『入るぞ』
そしていきなり聞こえたのは、テレビの音だった。
『ピュアニンフィア』
種子はアニオタである。今は、一番好きなアニメのロリピュアに集中しすぎて、気づかなかったようだ。
『あーお兄ちゃん』
さすがに入ったら気づかれた様だ。そして、決めポーズのシーンが終わり普通のシーンに戻った所で一時停止した。
『お兄ちゃん、何しに来たの?もしかして、テレビの音がきになってきたの?やっぱりいいもんね、ロリピュア23作目のレジェンドパワーロリピュアの9人目のロリピュアのピュアニンフィアの初登場の回』
種子はロリピュアがとても好きで、全巻持っている。今は、30作品目の最終巻まで発売されており、それも持っている。因みに21世紀にも似たようなアニメもやっていたらしいが別物らしい。
『いや、そうじゃ無いんだ』
『んー何?お兄ちゃん?』
『今日からこの家に住む事になったんだ』
『誰?女の子だったら許さないよー』
『女の子だけど?』
『えー駄目だよーお兄ちゃん』
思った通りの反応をされた。
『なんで?』
『お兄ちゃんの彼女は私だけだから!』
『でも、もう決まった事なんだ。しかも、親公認だから』
『もー誰なの?』
『昨日の朝紹介した子』
種子は少し悩み、
『あの、風見乃って子ね』
『えー、お兄ちゃんの彼女は私だけだから、絶対に一つ屋根の下でもあんな事しちゃ駄目だからね!』
『あー分かったよ掃除、手伝ってくれる?』
『ごめーん、お兄ちゃん今忙しいのー』
『分かったじゃあな』
『うん、じゃーねー愛してるよお兄ちゃん』
と、いいつつ、再生ボタンを押した。
『あ、あれが9人目のロリピュア…』
ピュアイーブイが言っているのが聞こえたが、そのままドアを閉めて俺は部屋の掃除に向かおうと、部屋のドアを開けた。ホコリがとても目立っていてとてもホコリ臭かったので、俺は丁寧に掃除をしたのであった。




