ユウVS剣
『しっしまった!』
『風の刃』
見えない風の刃が女生徒を切り裂き、体力ゲージがゼロになった。
立会人となっている、利馬 萌先生が言った。
『ねーもう今はこれで終わりでいいでしょ?』
利馬先生は数学担当の教師だ。競馬が好きで、背が小学生並みの小柄な女性だ。相手の動きを先読みしたり、戦略を一瞬にして練る能力、『軍師』を持つ。あまり、珍しくは無い異能だ。ランクCで無属性だ。
『えー』
『まじかよ』
みんなが口々に言った。
『分かったよ、次が最後な』
『じゃあ、僕が行こう』
剣が名乗り出た。
『剣、わざわざそんな事しなくていいだろ?』
俺は止めようとしたが、剣は
『いや、僕の実力を試したいんだ。見ていてくれ』
それに対し、ユウは
『分かった。全力でやる』
『先生許可を』
『分かった。風見乃 ユウと黒木 剣の決闘を承認する』
両者の体力ゲージが設定された。
『闇の剣』
剣の手に闇の剣が現れた。そして
『さらに、闇の力』
剣の持つ闇の剣にまとわりつく黒い禍々しい光が強くなった。
それに対し、ユウは
『風の刃』
だが、剣は素早く突進し、風の刃は当たらなかった様だ。
『何度も見ていれば特性は分かるものだ!』
と、剣は得意げに言った。
ユウは驚いたようだ。
そして剣が切りかかろうとしたその時、
『空気の膜』
ユウの目の前で攻撃は弾かれ、剣は飛び引いた。
ユウは見えない膜を空気で作り防いだのだろう。
その後、闇の力の効果は切れ、闇の剣の禍々しい光は元の禍々しい光に戻った。
『くっなら!』
剣は地を蹴り、高く舞い上がり、
『闇の一撃』
技を使いユウに切りかかった。だが、
『空気の膜』
ユウは身を守ろうと空気の膜を発動させた。
今度は弾かれず、空気の膜があるであろう所で火花を散らしていた。
だが、空気の膜に食い込んで言っているようだった。
剣は闇の剣に力を込めた。
『うおおぉ』
ユウも空気の膜に力を込めた。
『はああぁ』
だが、守りが崩れ、剣はユウを切り払った。
体力ゲージが2割減った。
ユウは後ろに飛び引き、
『これで一気に決める!』
と言い、手の平を天にかざした。
『超高速 風の刃』
何が起こるか分からないが、おそらく、風の刃の強化版だろう。
剣は戸惑っていた。
そのままゆっくりと手を前に突き出した。
剣は無数の風の刃に切り裂かれた。
『ぐはぁ』
体力ゲージが9割削られていた。ユウと剣の息は上がっていた。
だが、カウントがゼロになり、決闘が終了した。体力差でユウが勝っていた。
だが、剣は賞賛を受けていた。
『黒木君すごーい』
『やるな黒木』
など、いろいろ言われていたのだが、
『いや、負けたんだけど』
だが
『そんなの関係無いよ』
『そうだぞ黒木』
『だって初めて風見乃さん相手に制限時間まで生き残ったんだよ?』
だがその時、
キーンコーンカーンコーン
みんなはチャイムを聞き、一斉に教室に帰っていった。
俺と剣とユウは、3人で教室に戻っていった。




