第三話
更新遅め
「ウィンドスラッシュ!」
俺は小さなイノシシのようなモンスター『ミニファング』に向けて呪文を唱える。あまりに筋力が弱いので杖は持てなかったが、手のひらに風の流れが出来、ミニファングを切り刻む。その瞬間、ミニファングはこちらに気づいたようだったが、そのままこちらに向かってくることなく絶命する。
「おおー。呪文も結構楽しいな。」
「よかったですね。」
俺たちは宿屋で昼食をとって村の周辺のフィールドに出ていた。
「それにしてもミニファング弱いな。」
「油断は禁物ですよ。ほら、すぐ後ろに」
いつの間に沸いたのか後ろにミニファングが出現して、こちらに突進してきた。
「うおっ!ウィンドスラッシュ!」
再び小さな風がミニファングを切り刻む。
「お、いまのでレベルアップしたみたいだぞ。」
「おめでとうございます!」
「えーと、ステータスは……」こつん
「なんだ、この紙切れ?」
紙切れには汚い字で何かが書いてあった。どうやら神様からの手紙?のようだ。
『レベルアップおめでとう。この手紙を読んでいるころには君はレベル2になっているはずだ。そこで君に一つミッションをあげよう。何も目的がなく倒していてもつまらないからな。優しいだろう。その草原の主『キングファング』を倒せたら君の筋力を正常な値まで戻してやろう。うん、そうしよう。キングファングはレベル7だから気をつけてな。それじゃ、わたしは漫画を読むのに忙しいから。じゃあ』
……神様ってキャラがコロコロ変わるんだな。それにしてもキングファングか。いま出会ったらひとたまりもないやつだな。
「優希さん!キングファングいましたよ!」
「え、まじで?」
俺は考える。どうせ今ならレベルも2だし、すぐやり直しも効くかな……。よし、一回戦ってみよう。
「ルル、一回戦ってみるぞ。ウィンドスラッシュ!」
「あ、待って!裏面にまだ何か書いてありますよ!」
「えーと。『追記:やっぱり死なないのはおもしろくないって聞いたから死んだらそこでゲームオーバーな仕様に変えておいたよ。よろしく!』っ!?」
「……へ?」
もう遅かった。ウィンドスラッシュはキングファングへと飛んでいきキングファングに当たる。するとキングファングは怒ったようにこちらへ突進をしてくる。
「やばいです!あれいま食らったら即死ですよ!」
「そんなこと言ってる場合か!逃げるぞルル!!」
その後、村まで全力で走りどうにかして逃げ切ることができたが、もう二度と神様は信じないと心に誓った1日であった。