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 ついに、物語の根幹の『あれ』がでてきます。

 一時間目は理科の授業だった。


 とはいえ、授業は二十分遅れでスタートしたが。

 というのも、どうやら俺が無意味な入れ知恵をした所為で、ショウンがやらかしてしまったらしい。

 まあ、具体的に言うならば、「きゃー全裸よ!! 全裸が出たわ!!」「ふふふ、見よ!! この肉体美を!!芸術的だろ、いかしてるだろ!! これで霧果ちゃんが落ちること間違い無し!!」「あ、霧果さん!!」「え、なんだって!? よし今すぐ行くよマイスゥイートハニー!!」「ちょっとそこ通行の邪魔」「ぐわあああああああああッ!! ム、ムスコがああああああああああああああああッ」という次第で、ショウンの事情聴取が執り行われ、俺が弁明して、ジョークを信じたんかコイツしかたねえなハッハッハ(実はこの程度の事はショウンは日常茶飯事だ)という先生の寛容さによって事なきを得た。


 理科、といっても今日は何かしらの実験をする訳ではない。

 どうも『アレ』について色々と勉強する様子だ。

 本来なら『アレ』の勉強は高校ではしない。随分と前、小等部でやるような内容だ。

 しかし夏休みまでに授業を進めすぎたのか、周りと授業進度を合わせるために今日は特別に『アレ』の授業を行うようだった。

 ちなみに、さっきからアレアレ言っているが、『アレ』というのは―――、

 バンバン!! と黒板の代わりに設置されたホワイトボードを叩きながら、「理科っていうよりは体育の先生だよね?」と思わず目を疑いそうな、筋骨隆々とした教師が、「はい、ちゅうもく……」以外に気弱な声で呼びかけた。外見と中身と行動のギャップが半端ないが、気にしていても始まらない。

「今日は『宝具』について学びましょう……。誰か宝具の起源について話せる人はいますか……?」

 はーい、と幾人かの生徒がそろそろと手を挙げる。

 ズバァ、と電光石火の如き素早さで一人の女子生徒を指差して、「おねがいできますかね……」と気弱に言う。やはりこの教師、行動の勢いと言動の勢いが反比例していらっしゃる。

 当てられた生徒は、周りに曖昧な笑みを向けて、席を立ち上がった。

 はっきりとした口調で喋り出す。

「宝具は隕石群が衝突した翌年から、新生児が生まれた瞬間に現れました。新生児が誕生後、いち―――」

 教師が片手をビシッと肘を曲げて挙げ、女生徒を制止した。

 そして教壇に手を着いて、ミシミシいうほど体重を掛けながら、教師は生徒達を見回す。

「―――……ありがとうございます、座って下さい……―――では、宝具の起源についてですが――」

 そこで一息つくと、

「まず、宝具とはなんなのか、ということから始めましょう……。

 宝具とは、先程説明して頂いた通り、隕石群が落ちてきた翌年に、『モンストルオ』の発見された頃に同じく発見されました……。

 新生児が生まれてから一時間程すると、新生児の手に光の粒子が集まり、粒子が固定化して形作られ、そこから一つのオブジェクトが誕生したものです……。

 発見された直後の新生児は、全てこの宝具を発現させており、現状、宝具を持たない人類はいないとされています……。

 では、宝具の特徴とはなんでしょうか……? 鮭霜くん、お願いできますか……?」

 名指しされた生徒が、機敏な動きで立ちあがった。

「はい、分かりました!

 宝具の最大の特徴は、形が固定されておらず、形状はスプーンから携行型ミサイルランチャーまで多岐に渡る事です!

 その他にも、宝具には何かしらの能力が存在しており、中には物理現象を捻じ曲げるものも存在します!」

 元気いっぱいな声を聞いて、何故か教師はさらに口調をローペースにし、


「……ありがとうございます……。

 ……宝具には何かしらの能力が発現することが判明しております……。わかりやすいのはショウン君のスプーンですかね……。あれは確か、『通常の容積よりの十倍以上の積載量でも、零れることは無い』でしたね……。

 ……宝具に何かしらの能力が発現する原因は、構造物質が『モンストルオ』や『隕石群』と同じだから、というのが定説ですね……。長年研究されてきましたが、宝具が何故人間の前に現れたのかはまだ分かっておりません……。

 ……それ以外の宝具の特徴と言えば、『発現した新生児の所有物になり、一度発現すれば、所有者の任意で光の粒子に戻したり、再度粒子を固定化し形成しなおせる』事ですかね…」

 すると先生は右手を突きだし、

「……このように」

 言葉と共に右の掌に光の粒子が集まる。

 そして段々と棒の両端が拳大の球状に隆起した形に光の粒子が集まり――、

 次の瞬間、光が消えて、先生の右手にはブルーのダンベルが握られていた。

「――……光が集まり、宝具を形成します。また―――」

 と、そこで言葉を区切ると教壇の上にダンベルを置き、教師自身は教室の後方へ移動した。

 そして、ダンベルの方向に振り返り、じっと見詰めた。

 すると、ダンベルは一瞬にして光になって霧散し、虚空に消えた。

「―――……こうして遠距離からでも宝具は任意で消滅させることも出来ます……。消滅している間、宝具はどこにあるのかには諸説あり、一般には、『光の粒子は消滅中は所有者の体表面に付着している』というのが定着しています……。また、消滅させてからすぐには固定化させる事は出来ず、一定の時間がかかります……。

 ……さて、ここで宝具そのものについての説明を終えましょう……。では、宝具には幾つかタイプが存在しますが、どんなタイプがあるでしょうか……?」

 すると教師は俺を指差して、「……衛士さん」と名指しした。

 多少の面倒を感じつつ、席を立つ。

「宝具は主に三つのタイプがあります。一つは、もっともポピュラーな『オブジェクト』です。宝具は一つだけで、能力も一つだけです。それと『デュアル』です。これは、宝具を二つ持つ『デュアルオブジェクト』と、宝具一つに二つの能力が宿る『デュアルスキル』の二つに分かれます。……最後に『アビリティ』ですね。所有者そのものが一つの宝具になる……いわゆる、『能力者』になるというものです。『アビリティ』の中には二つの能力を持つ『デュアルアビリティ』や、『オブジェクト』を持ちつつ『アビリティ』を持つ『デュアルフォーム』もあり、細かいのも合わせれば七つあるという事です」

 長々としゃべったので疲れ、先生に着席を促される前に席に着いた。

 教師は特に気にした様子もなく続ける。

「……ありがとうございます。……完璧な説明でした。

 ……今の話の中で出てきましたが、『アビリティ』は極めて希少です。……この中に『アビリティ』は……衛士君がそうでしたね」

 教師の言葉に、皆が一斉にこちらを見る。しかし俺はそれに対して何の感慨も浮かばない。何故なら――

「……衛士君の宝具の能力は『想像した物質を具現化する』能力でしたね。……しかし『想像した物質の構造や、構成物質まで想像しきらないといけない』という制約がありますよね。……このように、『アビリティ』は強力な分、発動条件が厳しいものだったり、反動が強いものだったりします……。

 ……反動そのものは、どの宝具にも存在します。基本的には体力を使うものが多いですね」

 アビリティというものは宝具の中でももっとも取扱が難しい。何故ならオブジェクトならば武器を使用しない限りは能力も発動しないが、アビリティは感情的になったら本人の意思に関係なく能力が発動してしまうからだ。感情的になった所為で父親を怪力で殴り飛ばし、頭を吹き飛ばしたという報道が、今日も流れているくらいなのだ。

「……ここで、今日みなさんに一番話したかったことがあります」

 少し口調を強めて、教師が真剣な眼差しで言う。

「……宝具は肉体から分離していますが、使うのは所有者の体力です。……よって過剰な宝具の使用は生命の危機にも関わります。……また、『暴走』の可能性もあるので、くれぐれも夏休み中に安易な宝具の使用はしないで下さい……」

 その言葉のタイミングでチャイムが鳴った。この先生は実に区切りのよいタイミングで終わる事でも有名であった。

 きりーつきをつけれーい、ありがとうございましたぁ、と適当な調子で挨拶を終え、休み時間に突入した。

 周りがわいわいがやがやと騒いでる様子を眺め、欠伸をしつつ、ぼんやりと考える。

 地球に隕石群が突入してから、世界は完全に様変わりしてしまった。

 宝具もそうだが、モンストルオと呼ばれる存在が現れてしまったこともその一つだろう。

 モンスターは今までの生体系では考えられない形状をした生物であり、また人間に対しても実に好戦的だった。

 しかし、『アースイーター』と呼ばれる超巨大種以外は、宝具を使えば実に簡単に倒すことが分かっており、現在では四か所にモンストルオを囲って、駆逐作戦が行われている。

 おかげで『モンストルオハンター』なんていうどこかで聞いたような職業まで生まれている。

 ただ、分かっているのは、

 この世界は、百年前より相当狂っているといえることだ。

 正直言って、どうでもいいことなのだろうが。

 はい、宝具が出てきました。

 物語に超能力追加です。

 さて、次回はついに……!


 9/24追記

 「モンストルオ」が「モンスター」になってたので変更しました。

 「モンスター」のままだと「モ○ス○ターハ○ター」になってしまうのでww

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