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二人は、お祭りへ。
「てやんでぇ、そこのお二人方、イカ焼きはいらねぇか?」
どこの江戸っ子精神だ。あ、いや東京だろうが。
「すいません、ちょっと後で」
「あ、待てい! ……これであってるのか?」
とんだエセ江戸っ子だ!!
俺は午前中に部屋の片づけを終えると、ソフィアと下町の祭りに出発した。
しかし、二百年前の模倣とあって、どこか風情がある。無形文化財に指定されているのも少し頷けた。
「はいはーい! 超高性能小型カメラ搭載AIロボット釣り、一回二千円だよ!」
……いやまあ、露店で出る商品は気の所為か、どこかズレテいる気もしないでもないが。
しかしまあ、と俺は横目で、俺の腕を必死に掴んで離さない少女を見る。
ここまで人嫌い、というか視線恐怖症というべきなのだろうか? とにかく、他人はとても苦手のようだ。一度離れた所で、どうしてか尋ねると、いわく「他の人は、信用できない」だそうだ。
とにかく、信頼されているからには、それに応えねばなるまいと、何か面白そうなものを探してみるが―――、
ところで、こんな祭りのどこが楽しいんだ?
残念ながら、自分でそれを見つけるのは、少し至難の業のようだ。
困った時はあの人に尋ねよう。
俺は新品のスマートフォンに、一言二言語りかける。すると、コンピューターは音声情報から自動操作。俺の望み通りの人に通信が行く。
コールが掛かる事コンマ数秒。
『は、ひゃい! もしもし!』
「何をまごついているんだ、霧果……」
こういうことは、同じ女性のほうが、どこに向かえば良いか分かるのではないか、と思い、霧果に電話をしたのだが……どうしてこんなに慌てているのだろう?
『いや、あまりに突然だったから……』
「ふーん、ま、どうでもいいか。それよりもだな」
『どうでもいいかって……』
そんな事を言われても、どうでも良い事はどうでも良いとしか言いようがない。
「それよりも、俺は今、ソフィア――じゃなかった、あの女の子と一緒に祭りに来ているんだが、どういう所を回れば良いのか分からない。どうすればいいか教えてくれないか?」
『ちょっと待ってお兄ちゃん。ソフィアって何? その子の名前? どうして誤魔化したのかな? 後、どうしてそこに二人でいるのかな?』
「……? なんだ、霧果。お前も来たかったのか?」
『ちょ、そんな訳無いでしょ! 私はただ―――』
「ただ?」
『ただ―――気になっただけよ』
意味が分からない。
「気になったって、どうしてだ? お前が気にする要素なんてどこにも―――」
「なんかお兄ちゃんって、理屈っぽいし、鈍感な所があるよね! フンッ!」
文句ありげな鼻息を鳴らした霧果は、そのまま通話を切ってしまった。隣でアイスを食べているソフィアを確認し、再度電話を掛ける。
「それで霧果、さっきの話なんだが」
『よくそんな風に話を続けられるよね!?』
別に普通だと思う。
「俺は別に、飯さえ食べられれば構わない。だが、正直人付き合いが得意ではないから、こういう時にどうすればいいか分からない。教えてくれないか?」
俺の懇願に対し、霧果は一つ溜息を吐いてきて、
『あのさ、お兄ちゃん。それぐらいは自分で考えた方が―――』
「やっぱりだめか? なら、磐瀬さんに頼るしかな―――」
『磐瀬さんって誰!?』
突然大声で言われたものだから、音割れで耳が痛い。
「霧果どうした? 落ち着け」
『落ち着けも何も、それどころじゃないよ! 磐瀬さんって誰!?』
それどころじゃないって、と思ったが、自身いつもそういうことを言われている気が何故かした。
「磐瀬さんっていうのは、この前助けたコンビニのバイトだが?」
『お兄ちゃん、知らぬ間にフラグを乱立させてない?』
「フラグ?」
フラグってなんだろう。スラングなのだろうか。
『仕方ない、ちょっとアドバイスしてあげるよ』
どうやら、やっと霧果がやる気になってくれたようだ。
「すまない。恩に着る」
『これで貸し一だからね、今度何か奢ってよ。もちろんその携帯も貸しの一つだから』
「ああ、分かったよ」
『じゃあね、まずは――――』
霧果に相談した衛士は、まず――?




