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衛士は、どうしてこんな事をしたのか。
もう夜も遅いし、泊まって行きなよ、という稔の好意に甘えて、俺はそのままシャワーを借りて体の汚れを落とし、稔から借りた青のパジャマを着て、以前も泊まった自室のベッドに倒れた。明日は珍しくバイトが一件も入っていないので、久しぶりにゆっくり出来るが、明日は警察に情報提供などをしに行く事が稔との話し合いで決定しており、その時にあの子をどうするかを決めるという話だったので、ずっと寝ている訳にもいかないだろうな、と思った。
あの少女の自由を縛るつもりは無いのだが、やはり、一緒に居たいなんていう気持ちがあるのは確かだった。なんていう醜い願望だ、と自嘲してしまう。
俺は結局、なんであの子を助けたんだろう? と本気で疑問に思う。あの子は俺に関わりがある訳でも、助けない事で俺の人生に何らかの悪影響がある訳でも無いのに。
俺は善人じゃないと自覚している。別に悪人だと言い張るつもりもないが、コンビニの時は自分自身も当事者だったので関わっただけであって、もし人が困っている所を見つけても、わざわざ助けに行くようなお人好しになったつもりも無かった。
なのに、何故俺はこんな事をしたんだろうか?
夢に一度出てきた位で、なんでこの子を助けようと思ってしまったんだろう。
普段なら、どうでもいいと斬り捨てる事ができるのに、何故俺はこの子に対してそういう感情を抱かなかったのだろう?
結局理解出来ず、俺はただこう感じた事だけは分かっている事に気が付いた。
結局俺は、あの子をどうしても見放すことができなかったんだということに。
日常が始まる。
衛士にとっては、当たり前の退屈な日常。
少女にとっては、どうなのだろうか?
彼女は、新しく始まった日常に、何を思うのだろうか?




