表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/38

12

 衛士は、どうしてこんな事をしたのか。

 もう夜も遅いし、泊まって行きなよ、という稔の好意に甘えて、俺はそのままシャワーを借りて体の汚れを落とし、稔から借りた青のパジャマを着て、以前も泊まった自室のベッドに倒れた。明日は珍しくバイトが一件も入っていないので、久しぶりにゆっくり出来るが、明日は警察に情報提供などをしに行く事が稔との話し合いで決定しており、その時にあの子をどうするかを決めるという話だったので、ずっと寝ている訳にもいかないだろうな、と思った。


 あの少女の自由を縛るつもりは無いのだが、やはり、一緒に居たいなんていう気持ちがあるのは確かだった。なんていう醜い願望だ、と自嘲してしまう。


 俺は結局、なんであの子を助けたんだろう? と本気で疑問に思う。あの子は俺に関わりがある訳でも、助けない事で俺の人生に何らかの悪影響がある訳でも無いのに。


 俺は善人じゃないと自覚している。別に悪人だと言い張るつもりもないが、コンビニの時は自分自身も当事者だったので関わっただけであって、もし人が困っている所を見つけても、わざわざ助けに行くようなお人好しになったつもりも無かった。


 なのに、何故俺はこんな事をしたんだろうか?


 夢に一度出てきた位で、なんでこの子を助けようと思ってしまったんだろう。


 普段なら、どうでもいいと斬り捨てる事ができるのに、何故俺はこの子に対してそういう感情を抱かなかったのだろう?


 結局理解出来ず、俺はただこう感じた事だけは分かっている事に気が付いた。


 結局俺は、あの子をどうしても見放すことができなかったんだということに。


 日常が始まる。

 衛士にとっては、当たり前の退屈な日常。

 少女にとっては、どうなのだろうか?

 彼女は、新しく始まった日常に、何を思うのだろうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ