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午睡を守る
昼の王城。
政務を早く切り上げた魔王は、王妃と共に午睡を取っていた。
魔王は、王妃の背を守るように腕を回す。
――そのとき。
扉が、静かに開いた。
「し、失礼いたしま――」
新人女官の声が凍りつく。
魔王は、目を開けずに察した。
(来たか――)
王妃は、安らかな寝息を立てている。
魔王は、声を落として言う。
「……用件は」
新人女官は、完全に硬直した。
「も、申し訳ございません!!すぐに!!」
「静かに」
魔王の一言で、新人女官は泣きそうになりながら後退する。
「は、はい……!」
扉が閉まる。
王妃がその音で、少し身じろぎをした。
魔王は、更に腕を回し――満足する。
「……何でもない」
後日。
王城中に広まった噂は、こうだ。
『陛下は、王妃陛下が眠っている間も守っている』
魔王は、否定しない。
事実だからだ。




