12.近代歩兵の最強火力
陸自衛隊普通科部隊において、84ミリ無反動砲はかなり重宝されている。
それはなぜか?
その理由はいくつかある。
使用できる弾種の豊富さ、戦車や装甲車を破壊できる強力な火力。そして____
「再装填完了!後方良し!撃つぞ!」
弾さえあれば、何度も撃つことが可能であるからだ。
島田が次に選択した弾種は「対戦車榴弾」地上最強の兵器、戦車を破壊することを目的とした砲弾である。
砲口から再び放たれた弾は、今度はそのままドラゴンの顔面に直撃した。
顔の鱗は剥がれ落ち、角は折れ、牙が吹き飛んだが、それでもドラゴンは前進を止めなかった。
「後一発!」
再び装填して、砲口から放たれた弾はすぐそここまで迫ったドラゴンに再び命中。
今度は下顎を吹き飛ばすという、大きな成果を挙げたが、それでもドラゴンは止まらない。
「こんだけやればその弾も通るだろ?」
「うん。いけそうだ!」
*
個人で撃てる最強火力のライフルは何か?それは間違いなく『アンツィオ20mm対物ライフル』だろう。
全長2.5メートル、重さ59キロの超大型のこのライフルはその大きさ故に、運用が難しく、正式採用した軍は存在しない。
しかし、その欠点を克服すれば地上最強の矛となり得るライフルである。
大口径から、再び繰り出された巨大な弾丸がドラゴンの上顎をとらえた。
今度は邪魔な鱗も硬い骨もなく、その爆発的な威力が脳みそに直接届く。
目の前まで迫ったドラゴンが勢いよく、前に滑り込むように倒れた。
大きな音が鳴り響き、土煙が舞う。しばらく観察したが、ドラゴンはもう動く事はなかった。
人類はようやくドラゴンに勝利したのである。
「やっと終わった…ガハッ!?」
「夢華!大丈夫か!?」
吐血して倒れ込む夢華を慌てて受け止めてゆっくりと横にした。
アンツィオ20mmライフルが軍に採用されない理由はその大きさだけではない。
あまりにも強すぎる反動があるためだ。
20ミリと言う常識はずれの弾丸をその身一つで撃てば、当然その負担はでかくなる。
鍛えた込んだ成人男性ですら、1日に何発も撃てない。それだけ反動が強い。
それを軍出身とはいえ、小柄な夢華が二発も撃ったのだ。そのダメージは凄まじいものだろう。
「こりゃひどいな!」
「痛い!これ多分骨が折れて内臓に刺さってる!」
「すごい音してましたけどお二人共大丈夫ですか?!って!いつにも増してヤバそうですね!」
後方で待機していたセリアが心配して駆けつけて来て、そのまま夢華の治療を開始した。
「ドラゴンは撃退できたんですか?…」
「死んだよ」
「え?」
「そこで死んでるから後で見に行こう」
「は?!え?ドラゴンをたった二人で倒したんですか?!」
驚いたセリアの手に力が入る。
「痛たたた…」
「あっ!すみません!」
辺りを見渡すと、そこには血生臭い光景が広がっていた。
焼死体や原型がなくなるほど潰された人体がそこらじゅうに転がっている。
「それにしてもひどいな…」
その光景は、初めて実戦を経験した、あの日を思い出させた。
敵味方の遺体があちこちに転がっていて、ここと同じように異臭を放っていた。
帰る場所を守るために戦ったと言うのにもう帰ることができないなんて、なんて皮肉な話だろう。
「たった1匹殺すのにこんなに死んだのか…」
これでは、どちらが勝ったのかわからないじゃないか。
読んでいただきありがとうございました。
本作は、日曜日の1000時の週一投稿で続けていこうと思います。
定期的に修正を加える予定ですが、大まかな内容は変更しません。
これからも彼らの旅は続くので、引き続き読んでいただけると嬉しいです。




