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第12話:氷クラゲ、薬師たちと会敵する

 リゼリアに抱き締められ寝ていると、あっという間に朝が来た。

 ミラちゃんとの間で、どっちが俺と寝るのかの戦いがあったが、じゃんけんでリゼリアが勝ったのだ。

 今は、ネリファ村の出入り口でみんなとお別れの挨拶を交わしており、ゼルグルさんが代表して俺に感謝の言葉をかける。

 

「コーリ様、此度はまっことお世話になりましたじゃ。またいつでも村に遊びに来てくだされ」

「ありがとうございます、ゼルグルさん。でも、俺たちはそろそろ別の街に移動しようかなと思ってまして。だいぶ冒険者生活にも慣れましたし、北の大氷原を目指しているんです」

「なんと! それは寂しくなるのぉ……。しかし、目的地は大氷原か。それならたしかに、いつまでもここにいるわけにはいかないの」


 昨晩、寝る前にリゼリアと今後の予定を相談した。

 経験値もお金も最初より溜まってきたし、冒険者ランクがEに昇格したところで、ベル=グリナスを出立しようと決まったのだ。

 リゼリアは「ミラちゃんにコーリちゃんが取られそうでヤダ!」と主張してはぷんすかしており、なるべく早く次の街に行く予定である。

 ゼルグルさんや村人たちから餞別の保存食などをいただいていると、ミラちゃんがご両親と一緒に歩み出た。


「コーリさん……もう行っちゃうの……?」

「ごめんね、ミラちゃん。俺とリゼリアは大氷原に行きたくて、できれば早く到着したいんだ」

「わたしがもうちょっと大きかったらついていったのに……」


 ミラちゃんはうるうると瞳を潤わせて俯く。

 ご両親のパトリックとルーシャに頭を撫でられては、俺の触手をいつまでも握っていた。

 またいつか、みんなと再会できたらいいな……。

 とても寂しいが、旅に出会いと別れは付き物だ。

 カリナさんたち"紅牙団"のメンバーと一緒に歩き出そうとしたとき、イオニスさんに呼び止められた。 


「"紅牙団"の皆様方、ネリファ村で流行った病気についていくつかご意見を伺いたいのだが、少々村に残ってもらえるだろうか?」

「ああ、もちろん構わないよ。……コーリ、リゼリア、そういうことだから先に帰っておくれ」


 とのことなので、俺とリゼリアだけ先にベル=グリナスに戻る。

 村人たちに「さようなら」と手を振ると、みんな笑顔で振り返してくれた。


「コーリ様、お主らの安全と健康を祈っておるぞよ!」

「コーリさん、ぜったいまた会いに来てね!」

「「ありがとうございました、コーリ様!」」


 ネリファ村のみんなに手を振りながら、俺たちは街に向かう。



 □□□



 木漏れ日差し込む森の街道を歩いていると、リゼリアが気持ちよさそうに深呼吸しながら言った。

「……はぁ~ん、ねで、コーリちゃん、街に帰ったらどうする?」

「うーん、そうだな。クエストに行って冒険者ランクを上げたいところだが……疲れてないか?」

「全然疲れてないよ! 体力満タン、満満タン! ほら、こんなことだってできちゃうんだから! 早くランクを上げて次の街に行こう!」


 リゼリアは歩きながらバク転したり側転したりと、体力満タンアピールをする。


「ほら、危ないから止めなさいって。怪我したらどうするの」

「コーリちゃんのスキルで治してもらうから大丈夫っ」


 リゼリアは、それそれ!と体操選手顔負けの運動をする。

 考えてみれば、龍人族は身体能力が高いっぽいし平気か。

 さて、この間に一度俺のステータスを確認してみよう。



――――――

 名前:コーリ

 種族:氷クラゲ

 性別:男

 レベル:14/20

 ランク:C

 体力:52/56

 魔力:60/60

 攻撃力:32

 防御力:30

 魔攻力:64

 魔防力:58

 素早さ:49


《種族スキル(種族に特有なもの)》

・氷語(氷の言葉がわかる)

・氷スライム語(氷スライムの言葉がわかる)

・給水Lv.2(液体を吸収して体力を回復できる)

・氷魔法Lv.2(氷属性の魔法が使える)※LEVEL UP!

・氷クラゲ語(氷クラゲの言葉がわかる)

・回復氷生成Lv.2(回復効果のある氷を生み出すことができる)※LEVEL UP!

・浮遊(宙に浮かび、移動することができる)


《ユニークスキル(個体に特有なもの)》

・人間模倣(人間の行動を模倣できる)

・鑑定(魔物や物の鑑定ができる)


《シークレットスキル》

・氷族進化(氷属性の他種族に進化できる)

・巨大化(身体を巨大にすることができる。病気の人をたくさん救ったことで獲得)※NEW!


〔称号〕

・転生者(種族スキルを継承できる)

・守り神(自分を含めた味方の防御力・魔防力を1.5倍に上昇させる。ネリファ村の守り神になったことで獲得)※NEW!

――――――



 めっちゃ強くなってるじゃん!

 進化までもう少しっ。

 巨大鼠はたくさん倒したけど、一匹一匹はそれほど強くなかったからこんなものだろう。

《回復氷生成》スキルがレベルアップとはありがたい。

 レベル1でもあんなに強力だったのに、どれほど効力が増したのか楽しみだ。


 ステータスもそうだが、嬉しいことに新しいシークレットスキルをゲットした!

 へぇ~、《巨大化》かぁ~。

 強そうでいいじゃん!

 ……ふむ、獲得理由は村人をたくさん助けたから、か。

 なんだか神様からご褒美を貰った気分だ。

 まぁ、《鑑定》や《給水》に比べると発動する場面を選ぶかもしれない。

 消費魔力も多そうだし、要所要所で使っていこう。


 そして、称号の〔守り神〕こいつも強くないか?

 防御関連のステータスを軒並み1.5倍なんてすごい。

《回復氷》も相まって、冒険の生存率を飛躍的に上昇させてくれるじゃないか。

 俺のステータスについて、リゼリアにも共有しよう。 


「リゼリア、なんか〔守り神〕っていう新しい称号をゲットしたよ。俺たちの防御力と魔防力が1.5倍になるってさ。《氷魔法》と《回復氷》もレベル2になった」

「〔守り神〕!? カッコいい! 他のスキルもレベルアップしたんだ。コーリちゃん、どんどん強くなってくねぇ……ちょっと待って。私たち、たくさんの人間さんに囲まれてるみたい。……殺気も感じるよ」

「……なに?」


 不意に、リゼリアはピタリと立ち止まった。

 見たことないくらい固い表情で周囲の木陰を見る。

 俺も即座に全身に魔力を集め、戦闘態勢を取った。

 不気味な静けさが辺りを包んだ瞬間、突然、両側から岩の塊が飛んできた。


「岩!? 《氷……」

「私に任せて、コーリちゃん! えいっ、<テイルスラッシュ>!」


 俺が《氷弾》を使う前にリゼリアが空中で勢いよく回転し、尻尾で全部撃ち落とした。

 

「すごいぞ、リゼリア! でも、痛くなかったか!?」

「全然痛くないよ! 防御力が上がってるから! やっぱり、コーリちゃんは私の〔守り神〕だね!」


 岩の塊はとても硬そうだったので心配したが、大丈夫とのことでよかった。

 攻撃してきた以上、敵であるのは間違いない。

 俺は木陰に呼びかける。


「何者かわからないが出てこい。そこに隠れているのはわかっているぞ」

「出てこないと私の火魔法で森ごと燃やしちゃうよ」


 しばし沈黙が横たわった後、両脇の木陰から三人ずつくらいの人間が出てくる。

 街への進路を塞ぐように立つ。

 彼らの正体が明らかになり、俺とリゼリアは思わず驚きの声を上げてしまった。


「「……イオニスさん!? 薬師の人たち!?」」


 なんと襲撃犯は、ネリファ村で治療に当たっていた薬師の面々だった。

 なおも驚く俺たちに、イオニスさんは冷たい目と声で告げる。


「コーリ、悪く思うな。"やってはならないこと"をしたお前は……この場で殺す」

「……"やってはならないこと"?」


 何も答えない代わりに、彼らは全身に魔力を集めた。

 傍らのリゼリアからも、魔力を集中する波動が伝わる。


「……コーリちゃん」

「ああ……戦うぞ」


 今ここに、薬師グループとの戦いが始まった。

お忙しい中読んでいただき本当にありがとうございます


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