表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
武装魔術戦記-フリーディア-  作者: めぐみやひかる
第七章 幼馴染
176/282

第176話 革命軍の宴

 今宵こよいの戦いは終幕を迎え、結果を見れば革命軍ルーメンの一人勝ちだった。今後は、グレンファルトが表立って率い、首都エヴェスティシア侵攻へ着手していく事になる。


 ミアリーゼの介入がなければ、流れるがままに瓦解していたであろう統合連盟政府は、ギリギリのところで持ち直した。


 しかし、以前のような力はなく、今後は離反者が続出し、軍事力は大幅に低下することになるだろう。


 姫動魔術戦艦(アルカナディア)と呼ばれる未知数の力を持つ戦闘艦と残るグランドクロス――ファルラーダ・イル・クリスフォラスとテスタロッサ。革命軍にとって最大の脅威となる彼女たちを、どう攻略するのかが目下最大の懸念となっている。


 あれから数日が経過し、メディアや世間の注目はグレンファルト、ミアリーゼどちらの陣営に属するのが正しいのかで持ちきりとなっている。


 加え、人間(フリーディア)魔術機仕掛けの神デウス・イクス・マギアによって生み出された生命体であること、異種族の存在含めて様々な問題が一挙に押し寄せ、世間は大混乱におちいっていた。


 そんな中、いち早く声明を発表したのが、統合連盟軍の将官のフリーディアたちだ。先ずは、彼らの意向がなければ始まらない。


 真っ先に声を上げたのが、西部戦線。彼らは、ミアリーゼ・レーベンフォルンの勇姿を直接この目で拝んでいるため、姫の側に付くのが当然だと主張する。


 西部戦線を皮切りに、他の戦線部隊も声を上げざるを得なくなり、東部戦線、北部戦線はグレンファルト・レーベンフォルンを支持し、革命軍側に付くことを表明。南部戦線、そして治安維持部隊の総司令代行は、見極める必要があると回答を控えている。


 一体人類(フリーディア)は、どうなってしまうのか? 


 明日を生きるのに必死な市民は、不安を抱えながら今日を生きるしかない。


 幸いにも、グレンファルト率いる革命軍とミアリーゼの統合軍は睨み合いの最中であり、内戦の恐怖に怯えながらも生活する上において働かないという選択肢はないため、一般市民は職務に殉じている。


 夜のとばりが下り、繁華街から外れた歓楽街が活気に色付き出していく。不安と恐怖に怯えた人々が、娯楽や酒の力で現実逃避をしようとしているのだろう。


 昼間の喧騒とは異なる、ネオン煌めく街灯りにより、妖しげな雰囲気に包まれる中、フードを目深に被った蒼銀髪の少女が、表情を険しくさせて路地を歩いていた。


 フードから僅かに除く特徴的な蒼銀色の髪は、歓楽街を行き交う人々には映っていない。彼らもこんな往来を異種族が堂々と歩いているとは思わないのだろう。


「全く、こんな情勢だというのに。フリーディアは、度し難い程愚かな種族のようですね」


 初めて見る歓楽街の様相を見たエルフ――イリスは、軽蔑的な視線を民衆へ向けて呟いた。


「何もこのような下品な場所を指定しなくてもよかったでしょうに。(シン)に相応しい、我が故国のような美しく洗練された場所の方が……(ぶつぶつ)」


 不満を抱えながらも、イリスは迷わぬ足取りで、一つの建物の中へ入っていく。そこは倶楽部クラブと呼ばれる施設で、夜の闇に包まれた歓楽街の中でも、一際異彩を放つ場所だった。


 警備員と思しきフリーディアは、事前に把握していたようで、フードを被ったイリスを素通りさせ、そのまま扉を潜っていく。


「うっ」


 扉を潜った瞬間、無駄に広い室内に漂う強烈な熱気に充てられてしまう。


 カラフルなレザーライトが天井から降り注ぎ、踊るように光の束がフロア全体を縦横無尽に駆け巡っていた。


「…………」


 最早、言葉にならない光景にイリスは絶句するしかない。


 壁には、巨大なスクリーンが設置され、サイケデリックな映像が絶え間なく映し出されている。更に加えて、フロア全体に重低音が効いたビートが響き渡っており、その振動が身体の芯にまで届いて伝わってくる。


 下劣かつ不可解、理解不能。イリスの清廉潔白せいれんけっぱくな価値観とは真逆のよどんだ俗物が孕んだ醜悪なる世界。


 フロアの中央部に、大きなダンスホールがある。低俗な男女が、熱狂的に踊り狂い、嬌声きょうせいを上げている。


 イリスは関わるまいと、いそいそと備え付けのバーコーナーへと足を運んだ。


 バーコーナーは、イリスから見ても比較的マシだと思える。棚にクリスタルグラスがズラリと並び、バーテンダーが手際よくカクテルを作っている。カウンターの照明もフロアのもとの比べたら控えめで、カクテルの色彩が鮮やかに浮かぶよう計算されていた。


 バーテンダーは、チラリと立ち往生しているイリスへ視線を向け「注文は?」と、尋ねる。


「あ、えっと……イリス、エレメンツで」


 バーにない酒の名前を告げると、バーテンダーは「承りました」と言い、カウンターの下からガードキーを手渡した。バーの奥にあるVIPルームへ続く扉を開けるための鍵である。


 イリスは、そのままVIPルームの扉に備え付けられた装置に魔力を込めて、ガードキーをかざして中へ足を踏み入れる。中には地下へと続く通路があり、カツカツと靴音を響かせながら階段を降りていく。


「えっと、確かこの辺りに、隠し扉があるんでしたね」


 道なりに進んだ先にあるVIPルームは、イリスの目的地ではない。


 通路側の壁に手を充てて魔力を通すと、ピピ……という電子音が鳴り、隠し扉がスライドして開かれる。


 そこから現れた通路を下っていき、ようやく目的地の扉の前へと到着する。先程と同じ要領で、備え付けられた装置に魔力を通して扉を開けると。


「――意外と早かったな。迷わず来れたみたいで何よりだ」


 部屋中央の大きな円形のソファに腰をかけてイリスを迎入れたのは、ナイル・アーネスト本人だった。


 数日前のファルラーダ・イル・クリスフォラスとの戦闘による傷はまだえていないようで、身体のあちこちが包帯やガーゼで覆われていた。


「ナイル!」


 フードを脱ぎ去り、ようやく安堵と開放感に包まれたイリスは、敬愛する主君へ向けて膝を折り、こうべを垂れる――のだが、どうしても引っかかることがあり、チラリと視線を上げる。


 そう、この部屋にはナイル以外にも大勢の人たちがいた。


「……ん? んんんんんん!?」


 イリスは、ナイルを囲んでる見知らぬ美女たちを見て、顔を真っ赤にして動揺する。


 まさに酒池肉林、大きなガラスのテーブルの上に高級シャンパンやワインがズラリと並べられている。


 グラスを片手に酒をあおるナイルの周りには、派手なドレスを着用した美女たちが妖艶な雰囲気を醸し出しながら、敬愛する(シン)に引っ付いており、これには流石のイリスも不敬だと勢いよく立ち上がる。


「お前たち、その不潔な格好で(シン)に触れるとは何事ですか!? 今すぐ離れなさい!」


 しかし、美女たちはポカンとするだけで、イリスの言うことに従おうとはしない。


「あー、イリス? うやまってくれるのは有難いんだが、彼女たちは俺がここへ呼んだんだ。ほら、あれだよ。イケてる男は、美女に囲まれてなんぼだろ?」


「はぁ!?」


 ナイルのまさかの言葉に理解が追いつかず、愕然と声を上げるイリス。


 そんな彼女に向けて、少し離れた場所でお菓子を食べながらソファの上で体育座りをしているクーリア・ククル・ウィッチが、ナイルへ軽蔑の視線を向けながら言う。


「イリスさーん、そいつの言うことを一々間に受けてたらキリないよ? それにあのお姉さんたちは、ルーメンの諜報員やってて、異種族のことも知ってるし、ほっといても大丈夫だよ。

 見てよ、あそこ。四精霊(エレメンツ)の皆なんか、酷い有様でしょ?」


「…………」


 拷問を受けたトラウマで、若干苦手意識が消えないイリスは、言われるがままに渋々視線を向ける。


『ビュビュビューーーーン!!』

『ザザザブーーーーン♪』

『ババババーーーーン!!』

『ドドドドーーーーン……』


 イリスと同じ異種族である筈の精霊たちは、ガラステーブルの上でお菓子を食べ散らかしながら、わっちゃわっちゃと騒いでいた。


「ひ、酷い……」


 あれが始まりの種とされるエルフの上位存在の姿……。精霊(スピリット)と呼ばれるからには、もっとこう……気品ある作法を。


「って、私が注意しても、あの方たちが聞くわけないですよね……」


 何だかもう、考えるのも馬鹿らしくなってしまった。イリスは、とぼとぼとクーリアの隣に行儀よく着席した。


「おら、イリスも好きなの飲んでいいぞ! 今日は無礼講だ。存分に楽しむとしようぜ」


「い、いえ……しかし」


 ナイルにそう言われるも、いまいち気乗りがしないイリスだ。数日前、シャーレとユーリを討てず、エレミヤたちから逃げ帰ってきたことを本人は気にしている。


 それに、今は一刻も争う事態の筈、呑気に酒を飲んでいていもいいのか? ミアリーゼ・レーベンフォルンたちが、攻めてきたらどうするのだ?


「そんな片意地張ってねぇで、(おれ)自ら注いでやるから、ほれ」


 そう言ってナイルは、ボトルを手に立ち上がり、イリスの前にあるグラスへワインを注いでいく。(シン)の注いだ酒を断れる筈もなく、渋々グラスを手に取り、口へ含んだ。


「今日は、顔合わせも含めてるからな。ここにいる連中が、革命軍の主要メンバーさ。お前も含めてな」


 再びソファにドンっと腰を下ろし、女性陣をはべらせながらナイルはニヤリと酒を口に煽る。イリスは内心モヤモヤしながらも、一人一人の顔をつぶさに観察していく。


「あれは……」


 イリスの目についた二人の男女。使用人服を着用した二十代前後の女性と、タンクトップ姿の三十代後半くらいの筋肉質な男性だ。


「お、流石イリスさん目の付け所が良いねぇ」


 隣に座るクーリアが、親切に解説してくれる。


「メイドさんの方は、フィオネ・クルージュ先生。あ、先生って言うのは、あの人私の通ってる学院の臨時講師を務めてた人なんだよね。

 愛してたご主人様が、あろうことかサラっていう異種族の子と交際を初めて、フラれてこっち来たらしいよ?」


「サラが!?」


 サラは、ビーストの一人でイリスとも親交があった異種族だ。ユーリとシャーレを襲った時には姿が見えなかったが、話から察するにフィオネ・クルージュと戦闘していたらしい。


 そんなフィオネは何を思うのか、うたげに参加せず、壁際に立ち、ずっと瞑目している。


「痴情のもつれってやつだね。怖い怖い」


「…………」


 イリスにとって、恋愛という感情は理解の外にある。彼女は、エレミヤ、ナギ、サラ、シオン、ミグレットをユーリ・クロイスから解放し、(シン)の側についてほしいと願っている。


 もし、サラと恋仲にあるフリーディアがユーリでないのなら、その者も一緒にこちら側に引き込むか? しかし、フィオネ・クルージュの様子を見るに確実にサラを殺そうとしているのがうかがえる。


 物事は、イリスの都合の良いように動いてくれない。そんなイリスの葛藤を知る由もないクーリアは、続いてもう一人の男について説明していく。


「そんで、あの如何いかにもな風貌のおっさんは、マークス・ガレリアン。今は、ベルナーデって名乗ってるみたいだけど、元傭兵の凄腕なんだってさ。けど趣味と性格は最悪だから、関わらない方がいいよ」


 離れた場所で、酒瓶ごと豪快に呷るベルナーデに近づこうとする者は誰もいない。イリスと目が合い、ニヤリとイヤらしい笑みを浮かべている。


「なるほど。性格はともかく、只者ではないようですね。それにフリーディアとは異なる異質な気配を二人から感じます」


「それ正解。あの二人は、融合型魔術武装ユニゾンマギアウェポンだからね。普通の人間(フリーディア)とは比較にならない実力を持ってる」


融合型魔術武装ユニゾンマギアウェポン……そういえば、ナイルも四精霊(エレメンツ)たちと融合ユニゾンしていたと耳にしました」


「そうなんだよ。融奏重想(ヴァリアブルユニゾン)って言う現象なんだけど、発動条件とか何にも教えてくれないの。

 だからイリスさん、試しに私と融奏ユニゾンできるか実験してみない?」


 フリーディアと種族は、融奏ユニゾンすることで自身の限界を超えた力を引き出すことができる。


 とはいえ、やり方も分からないし、クーリアと融奏重想(ヴァリアブルユニゾン)するのは絶対に嫌なので、丁重にお断りさせていただく。


「お断りします」


「そんなぁー!?」


 即断即決のイリスに、クーリアがオーバーなリアクションをすると、それを見ていたナイルはくつくつと笑い出した。


融奏重想(ヴァリアブルユニゾン)は、そんな簡単にできるもんじゃねぇよ。例え方法を知ったとしても、お前らじゃまず無理だ」


「けっ」


 無理と断言され、クーリアは露骨にねていた。そんなクーリアへ、ナイルはニヤニヤと優越感に浸りながら告げる。


「あれは、身も心も全部相手に曝け出す必要があるからな。文字通りの同心一体、つまりは互いを想い合う真の絆が重要なんだ」


「出た! そういう非科学的な理論、本当嫌い」


 クーリアはあぁ言っているが、イリスにとっては気が気ではない。


「もしかして……ユーリとエレミィも」


 もし仮に、ユーリとエレミヤが融奏重想(ヴァリアブルユニゾン)なる奇跡の力を有したならば、イリスは……。


「可能性はあるが、今のままじゃ多分無理だな。使命の奴隷でいる限り、やらなければならないという想いが先行して、誰からも本質的な理解は得られないのさ」


 グラスに注がれたワインを口に含みながら、ナイルは言う。


「ま、あいつらの中じゃ、オリヴァー・カイエスくんとサラちゃんが断トツだな。あの二人ならきっかけがあれば、すぐに融奏重想(ヴァリアブルユニゾン)を扱えるだろうぜ」


 意外にも、ナイルが可能性を示唆しさしたのは、オリヴァー・カイエスなる人物とサラだった。


 二人の名が出た瞬間、壁際で瞑目していたフィオネ・クルージュが殺意を込めてナイルを睨み、彼は「おぉ、怖っ」と、ニヤけながら手で謝罪の意を示した。


 すると今度は、クーリアが「あ!」と、声を上げ。


「そういえばナイル、イリスさんにシャーレを殺させようとしたんだって? 人の友達になんてことしてくれてんのさ!!」


「結果として死んでねぇんだからいいだろ? イリスの報告を信じるなら、シャーレはもう不死の能力は失ってんだ。結果オーライっつーことで、もう殺せなんて頼み事はしねぇさ」


「ふん、口ではそう言っても、あんたのことだから裏で何か企んでるんじゃないの?」


「失敬だな、俺ほど清廉潔白な純朴青年はいねぇよ」


「「………」」


 どう見ても、清廉潔白な純朴青年から程遠いナイルの言葉に、場がシーンと白けた。


「あれ、スベった? まぁ、いいや。話は変わるが、シャーレについてはマジで意外だったわ」


 シャーレ・ファンデ・ヴァイゼンベルガーの結末については、あの(シン)の予想の遥か斜め上にいってしまった。


「本当、どういう手品使ったら、あの吸血姫ちゃんを手懐けられんだ? ユーリ・クロイスの奴はとことん俺の予想を覆してきやがる。お姫ちゃんも同じく、物事中々思い通りには進んでくれねぇな」


 ミアリーゼ・レーベンフォルンが、姫動魔術戦艦(アルカナディア)と呼ばれる魔術武装(マギアウェポン)を所有していたこともそうだが、何よりも厄介なのが、転んでも只では起きず、状況を五分まで引き戻してしまう気概にある。


 統合連盟政府を乗っ取ることができなかったグレンファルト・レーベンフォルンは、現在革命軍ルーメンを率いて、首都エヴェスティシア侵攻の準備に勤しんでいる。


 その事について、ナイル自身は歓迎している様子で。


「けど、だからこそ人生は面白ぇ! おかげで、遊戯(ゲーム)が更に盛り上がる」


 失敗するかもしれないというリスクを、スリルを愉しむナイルの御心はイリスには窺い知れない。


 ただ分かることは、フリーディアと種族が一つになれば、あのファルラーダ・イル・クリスフォラスに匹敵する力を得るということだけ。


 イリスは、自分でも気づかない内に願ってしまう。身も心も差し出して、(シン)と一つになりたいと。


「あ、ひょっとしてイリスさん、ナイルと一つになりたいとか思ってる?」


「んなっ!?」


 神妙な面持ちで俯いていたイリスの顔を、下から覗き込んで言うクーリアに虚をつかれて、動揺してしまう。


「やっぱり? 私としては、あんな奴のどこが良いのかさっぱり分かんないけど、やっぱり顔?」


「な、何を言っているのか分かりません。(シン)と私がそのような……畏れ多いですし、そもそも――」


 言い訳を饒舌じょうぜつまくし立てるイリスへ追い込みをかけたのは、意外にも四精霊(エレメンツ)だった。


 いつの間にか、イリスの周りに集まった彼女たちは。


『ビュビュビューーーーン!! あれー? 何話してるかと思ったら恋バナ?』


『ザザザブーーーーン♪ そういうことでしたら、是非私にご相談ください。アレやこれやナイルの弱点は全て把握しておりますので』


『ババババーーーーン!! でも、もしイリスがナイルと一つになったら、廻転核(ヴァラーレ)の呪いに巻き込まれちまうかもしんねーけど、いいのか? (シン)の辿った記憶を共有するとなると、生半可な精神力じゃ耐えられねぇし』


『ドドドドーーーーン……。そうだね、正直、あんまり、おすすめ、しない。多分……ううん、絶対、イリスは、向いてないと思う』


 シルディ、ウェンディ、サーラマ、ノインが口々に勝手なことを言い出し、イリスは言い訳する暇も与えられなかったが、彼女たちの会話の中に聞き逃せない単語があり、ナイルを見やる。


廻転核(ヴァラーレ)……? それが、(シン)の」


 神遺秘装(アルスマグナ)。能力の詳細は預かり知らないが、現在人間(フリーディア)として存在する理由の根幹が廻転核(ヴァラーレ)にあるようだ。


「終わりは近い。気分も良いし、今夜は出血大サービスで語ってやるつもりだ。ここにいる連中も気になって仕方ないって面してるしな」


 ナイルが、事前に言い含めていたとはいえ、四精霊(エレメンツ)やイリスのような異種族が場に溶け込んでいることに違和感を感じている者も多い筈。


 ナイル・アーネスト――(シン)は、話すつもりのようだ。人間(ニンゲン)と呼ばれる種族のこと、旧時代から現代に至るまでの壮大なる神話を。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ