第141話 緋色の亡霊
己は、何故世界に存在しているのか? 何を求めて現世に彷徨っているのか?
自分という存在意義すらも忘却の彼方へ置いてきた中で、唯一できることは、今を知ることだけだった。
世界は広い。デウス・イクス・マギアが言っていた通り、いつか答えを知る者が現れることを願い、そのために剣を振るってきた。
そして今もその答えは見つからず、緋色の亡霊は現世と常世の間を縫い込むような希薄な気配を漂わせ、ドラストリア荒野の戦場を揺蕩っていた。
遅れて戦場へとやってきた亡霊に、誰も気付くことはない。亡霊は戦場で暴れまわる千術姫へ、侮蔑の視線を向ける。
相も変わらず、離れたところから火力を押し付けるだけのファルラーダ・イル・クリスフォラスの戦い方は、性に合わない。
剣一本で戦う亡霊の戦闘スタイルとは真逆でありながら、共に最強の名を関する者同士だ。
シャーレ・ファンデ・ヴイゼンベルガーの思惑に乗るのは気に入らなかったが、ここで殺すのも一興であると思った。
己の戦意が昂ぶっているのを感じる。今までこのような気持ちを懐いたことはなかった。亡霊ですら経験したことのない過去最大規模の戦場の中で、何かを掴めるかもしれない――そんな底しれぬ予感があった。
結局、異種族が造ったとされる融合型魔術武装は見つけられなかったが良しとした。
ユーリ・クロイス、そしてファルラーダ・イル・クリスフォラスの激闘は、激しく胸を打ち、亡霊の乾いた心を潤した。
乱入は無粋と感じ、見に徹していた亡霊は、原初の渇望が渦巻いた。そうだ、これだ……己はこれを望んでいたのだと歓喜に打ち震える。
デウス・イクス・マギアからは、ナイル・アーネストなる男が胡乱な事を企み、テロリストに手を貸していると耳にした。其奴の目的は知れぬが、この状況を生み出したことに内心感謝していた。
結局、両軍とも甚大な被害を被り、双方痛み分けの結果となった。本来ならこのまま無視して帰還する予定だったが、気が変わった。己も一枚かませてもらうとしよう。
少なくとも、緋色の亡霊はユーリ・クロイスやミアリーゼ・レーベンフォルンの目指す未来など望んでいない。戦争は終わらせない、永遠に戦い続けることこそが己が渇望の根源。
その時――。
――グランドクロス=テスタロッサ、あなたに命じます。神遺秘装を持つ敵指揮官と、その近衛騎士を討ち取りなさい。また、可能であれば一人は生け捕りに。我が子らを蹂躙した異種族に鉄槌を下すのです。
人類の祖、デウス・イクス・マギアからの勅命が下された。
御意。むしろ好都合といえる。己自身の意志で、さらなる戦乱を巻き起こす。敵の指揮官――確かエレミヤといったか。奴を討ち取れば、更なる戦火の灯火が燃え盛ることだろう。ファルラーダが見逃したが、己には何ら関係のないこと。ちょうど獲物が無防備を晒し、油断している。今が絶好の機会、逃す手はない。
『魔術武装・展開――緋々色金国光』
◇
突如としてエレミヤの目の前に出現した緋色の機械仕掛けの甲冑を纏った存在に反応することができた者は、誰一人としていなかった。
その存在が握る緋炎を思わせる一本の刀は、まるで夕暮れ時の空を切り取ったかのような深く美しい造形。瞳を閉じた状態からでも分かる、緋々色金国光のかくも崇高なる造形に、製作者の魂の叫びが感じられる。
『斬ル』
「……え?」
両軍とも、戦闘を終えて撤退したことによって生まれた決定的油断。誰もが予想できない新たなグランドクロスの乱入に、反応が一歩遅れる。
緋色の機械仕掛けの甲冑を纏った何者かは、流れるような動作でエレミヤへ向けて緋刃を振り下ろした。
『貴様ニ恨ミハナイ、新タナ戦乱ヲ巻キ起コスタメノ礎トナレ』
誰もが間に合わないと理解した。ユーリたちからは距離が離れすぎており、緋色の刃を振り下ろすより先に行動ができない。それに殆どの者が、魔力切れを起こしている状況。まさに絶対絶滅ともいえる状況の中――。
「エレミィ!!」
『ムッ!?』
姫巫女の近衛騎士――イリス。彼女は、残された最後の力を振り絞り、転移魔法を用いてエレミヤの前へ飛び出したのだ。
「イリ……ス?」
エレミヤの脳が、状況を理解した時には全てが手遅れだった。自らの身を庇って護衛としての職務を全うした近衛騎士は、緋炎を灯す刃の餌食となり、致命傷を負っていた。
「スキ、ル……――転移」
胸から下を斬り裂かれも尚、イリスはエレミヤを逃すために転移魔法を発動する。魔力が枯渇した状態では、精々ユーリたちのもとへ飛ばすのが限界だが、それで良しとした。
「逃げ、て……」
体勢が崩れ、前のめりに倒れるイリスの胸へ、容赦のない緋炎の一太刀が突き刺さり、鮮血が飛び散る。
「……コフッ」
イリスは、呆然と胸を貫く緋色の刀身を眺め、コポリと吐血する。しかし即死はしておらず、緋色の騎士は、ワザと急所を外したとしか思えなかった。
『急所ハ外シタ。殺シテモ良カッタガ、一人ハ生ケ捕リニセヨト命ジラレタノデナ』
「どう、いう……?」
薄れゆく意識の中、緋色の騎士の言葉の意味を汲み取ろうとするが、致命傷を受けたことに変わりなく、イリスの意識は電源が落ちたようにプツリと断絶された。
「イリス!!」
そして、ようやく脳が状況に追いついたエレミヤは、悲痛な声音で命を救ってくれた近衛騎士の名を呼ぶ。
『コノ娘ハ我ガ貰ッテイク。ソシテ次ハ、貴様ノ命ヲ戴クゾ』
「!?」
片腕で致命傷を負ったイリスを抱え、緋色の騎士は、流れるような動作で距離を詰める。
「させるかよ! 換装・剣形態!!」
イリスが決死の覚悟でエレミヤを救ったことを無駄にはしないと、ユーリ・クロイスが緋色の亡霊に真っ向から立ち向かった。
ガキンッ、と両刃が激しくぶつかり合い鍔迫り合う。
「あんた、グランドクロスだな!? イリスを離せ! 次から次へと何なんだよ、あんたたちは!!」
ファルラーダが見逃したことで、戦いは終わったと完全に油断してしまった。反応すらできなかったユーリは、自身の不甲斐なさを呪うように感情をぶつける。
『我ガ名ハ――グランドクロス=テスタロッサ。デウス・イクス・マギアノ命ニヨリ、エレミヤヲ討チ取ル。
我ハ望ム、新タナ戦乱ノ幕開ケヲ。貴様トファルラーダノ戦イハ、見テイテ心ガ踊ッタゾ』
「デウスだと!? それに……」
テスタロッサと名乗った緋色の騎士は、ユーリの全力を悠々と受けながら語る。
『ユーリ・クロイス。フリーディアニ巣食ウ異分子タル貴様ノ排除ハ、後ニ回セトデウスハ仰セダ。ソコヲ通シテ貰ウゾ』
刹那、テスタロッサの持つ緋々色金国光から淡い緋炎が吹き出し、ユーリの再現した剣を溶解していく。
「な!?」
ジュウウウウッ……と焼け焦げた刀身は、容易く真っ二つに両断され、ユーリは不覚にも無防備を晒してしまう。
要因は様々だが、第一に霞むほど希薄だったテスタロッサの魔力が太陽のように熱く吹き出したこと。その魔力が刀身のみを覆い、核融合にも等しい密度を伴ったこと。ファルラーダとの一戦で、己の実力を過信したことなど挙げ出したらキリがない。
この時、アリカ・リーズシュタットが首根っこを掴み引き寄せなければ、身体ごと真っ二つにされていたに違いない。
「あぐっ、アリカ……」
余裕がなかったのか、乱雑に扱われ、みっともなく地面に転げるユーリ。礼を言う暇などなく、アリカは今まで見せたことのない鬼気迫る表情をしており。
「紅鴉国光――制限解除!!」
緋炎に呼応するように、真紅の輝きを灯し、テスタロッサへ向けて渾身の一刀を振り抜いた。
『血ニ塗レル鴉ノ濡羽ヲ思ワセル見事ナ造形。ソノ太刀筋……ヨモヤ再ビ拝ム日ガ来ヨウトハナ』
しかし、アリカ渾身の一撃を易々と受け切ったテスタロッサの口調は、どこか懐古感を表しており。
「んでッ(ギリッ)――」
『…………』
「何でアンタが、緋々色金国光を持ってんのよ!?」
紅鴉国光と緋々色金国光。同じ国光の名を冠する魔術武装を持つ者同士の視線が交錯する。
『知レタ事。緋々色金国光は、我ノタメニ彼奴ガ打ッタ最高傑作。故ニ、我以外ニ扱ウ者ナド存在セン』
刀匠、アマツ・クニミツが生前最後に打った傑作が紅鴉国光だとするのなら、緋々色金国光は、彼が生涯をかけて造り上げた最高傑作。
最早、魔術武装の概念を超えた芸術ともいえる至高の刀を、何故テスタロッサが持っているのか?
「まさか……違う、そんな筈――だって、あの人はもう……」
無理に制限解除を発動した影響か、身体全身が血飛沫を上げる中で、アリカはそんな筈ないと痛みとは別の感情に心を支配されていた。
『惰弱。マサカコノ程度ノ小娘ニ紅鴉国光ヲ持タセルナド、リーズシュタット流モ地ニ堕チタモノダナ』
テスタロッサから放たれる深い失望の声音に、アリカは茫然自失となる。まさか、そんな筈はないと、うわ言を呟く彼女に誰もが声をかける術を持たずにいた。
援護しようにも、テスタロッサが抱えるイリスに当たっては元も子もない。それとは別に、機械仕掛けの緋紅の鎧から放たれる重圧に、疲弊した身体が悲鳴を上げているのだ。
『裏切リ者ハ、フリーディアニハ要ラヌ。感謝シロ小娘、貴様ハ我ガ手ズカラ粛清シテヤロウ』
「何を!?」
カタコトではあるが、重厚かつ荘厳なる男の声音に、まさか!? と思いながらも、それを防ぐ術は今のアリカにはない。
『リーズシュタット流剣術――緋紅剣・一閃』
そして、緋色の亡霊の持つ刀身に込められた絶大なる魔力が燃え上がるように解き放たれた。
「嘘、でしょ……」
アリカが人生を捧げ習得したリーズシュタット流剣術。何故それをテスタロッサが扱えるのか? 何故アリカよりも型が洗練されているのか?
それは、アリカが目指した一つの答えだった。
リーズシュタット流剣術本来の完成形を目の当たりにした瞬間、彼女の心は紅鴉国光ごと容赦なく圧し折られた。
「あぐッ!! あ、あぁぁあぁぁぁぁーーーーー!?!?!?」
しかし、アリカ自身は無事だった。愛刀が破壊され、強制的に制限解除が解けた影響で、痛みに悶えのた打ち回っている。
「――ったく、助けてくれたのは有り難いけど、何て無茶してんだよ全く」
「うぐぅッ、ユ、ユーリ……」
奇跡的に命が救われたのは、ユーリ・クロイスが身を挺して庇ってくれたおかげだとアリカは悟る。様々な感情が綯い交ぜになり、涙で顔をくしゃくしゃにしてしまっているが、ユーリ本人は「大丈夫だよ」と優しく頭を撫でる。
『ユーリ・クロイス』
圧倒的力の差を見せつけて尚、立ちはだかろうとするユーリに対し、テスタロッサは戦意を昂らせている。
その様子を察知したのか何事だと、種族連合の兵士たちが駆けつけてきたが、テスタロッサの尋常ならざる気に圧され動けずにいた。
「皆、エレミィを連れて下がってくれ! テスタロッサは、俺が討つ!」
ユーリ自身も、ファルラーダとの戦闘の影響で満身創痍ではあったが、唯一戦えるのは己しかいないと奮起する。
先程見たリーズシュタット流は、既知のものだったため反応できた。テスタロッサが何者だとか、アリカとどういう関係だとか疑問は山程あるが、何より優先すべきはイリスの奪還。
「待って、ユーリ! 今の状態じゃ、あの人には――あぐっ」
オリヴァーとサラに抱えられたアリカが、苦痛を滲ませながら忠告する。
「そうだとしても、この場で勝つ可能性があるのは俺だけだ。本気が出せないのは向こうも同じこと、それならッ」
イリスを抱えている現状、片腕しか扱えないテスタロッサの力は半減しているといっても過言ではない筈。差し違えてでも、倒すと今度は黎切に換装して、テスタロッサ目掛けて駆け出した。
父の手により生み出された神の因子を内包したユーリなら、制限解除状態でも耐えられる。
『其ノ刀……成程、紅鴉国光ヲ元ニシテイルワケカ。本物トハ似テモ似ツカヌ贋作、アマツ・クニミツヲ侮辱シテイルトシカ思エンナ。
真ノ篭ラヌ鈍デ、我ヲ斬レルト思ウナ』
そう口にするテスタロッサは、動く素振りすら見せない。完全に無防備を晒しており、ユーリはこのまま斬りかかっても大丈夫なのか? と僅かに躊躇する。
なまじ、テスタロッサの存在が異質すぎて、どういった人物像なのか捉えきれない。ファルラーダ・イル・クリスフォラスや、シャーレ・ファンデ・ヴァイゼンベルガーのような分かりやすい強大な力を持つ人物とは違う。
どことなく覚えがあるこの感じ。そう、シオンが堕天使に囚われていたときのような……。
(コイツは、本当に人間なのか?)
緋色の甲冑の奥にある双眸は、何を映している? 残影のような希薄な存在感とは裏腹に、緋々色金国光から放たれる魔力と重圧は増していく一方で――。
『リーズシュタット流剣術――緋紅剣・明鏡廻月』
音もなく、予備動作すらなく虚空へ向けて居合斬りを放ったテスタロッサ。先程のように斬撃を飛ばすでもない。本当にただその場で刀を振るっただけなのに――。
「うそ、だろ……」
気が付けば、ユーリ背面から朱が噴出しており、前のめりに崩れ落ちていた。
「「「「「ユーリ(おにーちゃん)!!」」」」」
一体何が起こったのか? 後ろを振り返っても、悲痛な声でユーリの名を叫ぶ仲間たちの姿が見えるだけ。背後から斬られた原理が分からず、確かなことは己が負けたということ。
倒れ伏すユーリへ、ガシャリと甲冑の足音を響かせ、歩み寄るテスタロッサ。
『無念ダナ、小僧。全快状態ノ貴様デアレバ恐ラク察知出来タダロウガ、今ノ疲弊シタ状態デハ、我ガ剣技ヲ躱ス事ハ不可能ダ』
「………くっそぉォォォォォ」
テスタロッサの言う通り、ユーリの身体は限界域をとうに超えてしまっていた。いくら制限解除で魔力を振り絞っても、こればかりはどうしようもない。
寧ろ、ダリル・アーキマン、ファルラーダ・イル・クリスフォラスと連戦できたことが奇跡に等しい。
『案ズルナ、貴様ハコノ場デ殺シハセン。ファルラーダト互角ニ渡リ合ッタ貴様トハ、完全ナ状態デ決着ヲ付ケタイノデナ』
「そう、か……あんたも、アリカと同じ……」
否、正確にはアリカ以上にか。テスタロッサが望むのは戦乱を巻き起こし、武人として尋常なる勝負を行うこと。未来永劫戦い続けたいという渇望が、亡霊の内に渦巻いている。
『我ガコノ場デ討ツハ、エレミヤノミゾ』
イリスから滴る血を浴びながら、テスタロッサは殺意の矛先をエレミヤへ向ける。
種族連合の中に対抗できる者はもういない。皆戦争で疲弊している。ナギ含めた一部の面々は気力を振り絞り、何とか抗う姿勢を見せているが、先程のユーリのように無様に地べたに這うのがオチだろう。
テスタロッサという異形の武人は、刀一本で数多の戦場を渡り歩いてきた古強者。
このままじゃ、皆殺される。先程ダニエル・ゴーンを亡くしたばかりなのに立て続けに仲間の死を見るなど耐えられない。
「うぐっ、あぁッッッ!!」
だから立ち上がれ、とユーリは気力を振り絞る。何とか手を伸ばし、テスタロッサの脚部を掴むも、簡単に振り解かれてしまう。
『…………』
ナギ含めた種族連合たちが怒りの眼差しでテスタロッサを警戒している。無作為に突っ込めば緋炎の餌食となるのが目に見えているからだ。
「皆、お願い! 前に出ないで!!」
自分の身を犠牲にしようと周囲の制止を振り解き、テスタロッサの前に出ようとするエレミヤ。
どうすればいい? どうすればエレミヤを殺されずに済む?
(ダニエル、俺は……)
彼が命を懸けて守ってくれた皆を死なせたくない。けれどその想いとは裏腹に身体が付いていかない。
エルフの姫巫女は緋色の亡霊によって討伐される。誰もがそう思ったその瞬間――。
『……御意』
テスタロッサは、唐突に制止し、その場で傅いた。
「「「「…………」」」」
ユーリ含めた種族連合の面々は、声も上げずにゴクリと喉を鳴らす。あの緋色の亡霊が傅いたことの意味を考えれば誰にでも分かる。
それは、フリーディア最強最大戦力を誇るグランドクロスよりも、上位の存在が介入したことの証左。ゆらりと立ち上がったテスタロッサからは、殺気が霧散し存在感が更に希薄になっていた。
そして、伽藍堂を思わせる空虚な緋色の機械仕掛けの甲冑から、人ならざる御声が木霊した。
『こうして話をするのは初めてですね。人類の異端児――ユーリ・クロイス。そして、■■の失敗作たちよ』
男とも女とも取れぬ、軽々しくも重々しい声を聞いた瞬間、ユーリとオリヴァーとアリカは、激痛や疲労を無視して膝を折り傅いた。彼らに刻まれた遺伝子が、何故かそうしろと囁いているが故に。
エレミヤ、ナギ、サラ、シオン、ミグレット含めた種族連合の面々は、これまでに懐いたことのない不快感を滲ませ、敵意を剥き出しにした。この世界の禁忌を犯した元凶を生かしておくなと本能が囁いている。
『改めて名乗りを上げましょう。私は、魔術機仕掛けの神――フリーディアの祖であり、神と呼ばれています。
もちろん、あなた方の崇める神とは異なる存在ですが……』
――魔術機仕掛けの神。
人類の祖たる神は、新西暦2010年間の歴史において、初めて表舞台に姿を現したのだった。