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雨が上がる時④

「レザファさんっ」


凄く飲んでいて虚ろにふらふらしてる割には足取りは確かで、自分の部屋へと迷わずに無事に辿り着いた様子だった。ただ、声を掛けてもぼーっと虚ろな瞳は私が誰か分かっていない様だったけれど。


部屋へ入るなり寝台に倒れ込んだ彼が心配で「お邪魔します………」と断り、台所で水瓶を探して飲み水を用意する。


「大丈夫ですか…」


水を入れたカップを倒れている彼に渡して飲む様に勧めるとゆっくりと起き上がり、口に含んでくれたので一先ずは安心して胸を撫で下ろす。


(一体どうしたのだろう。私の知る限りではこんな酷い飲み方はしない人だし………)


何か、あったのは明確だった。


返事も無く静かに佇んでいるレザファさんに視線を戻すと彼はカップを持ったままで、それを見つめているまま微動だにしないで固まっている様だ。普段なら見せない瞳の色でそれはとても悲しみを湛えている。


「レザファさん…大丈夫ですか……」


そっと横に座って彼の背中を撫でた。


びくっ、と揺れたけれど、嫌がる事は無かったので撫で続けていると、カップを見つめる瞳から雫が頬を伝う。泣き出したレザファさんを見て私は驚きのあまり一瞬息を飲んだけれど、悲しみでいっぱいの彼が──止まる事のない涙が切なくて彼を抱き締めた。


するとゆっくりと此方に顔を向けた彼は縋る様に私を寝台へと押し倒す。その涙が私を濡らしていた。



(15/11/28→24/03/10)

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