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雨が上がる時②
その日も少し雨が降っていた。
青空とはいかなくても晴れていた空は急にぐずりだしてその雫をぽつぽつと落としている。
お使いを済ませてた私は濡れて煙る街を帰路へと急いでいる時に、偶然レザファさんを見掛けた。
遠目でも分かるくらいの端正な顔立ちに無駄にドキドキする。そんな彼にも『挨拶位はしても良いだろう』と近付いてハッと息を飲む。
女性用のアクセサリーなんかの小物が並んでいる店の軒先でじっ、と商品を見つめている。かと思えば頭を振ったり、その場をうろうろしたり髪をかきむしったり………と挙動不審なレザファさんが何をしているかは一目瞭然だった。
その姿を見ていたら途端に胸が苦しくなった。息が詰まる。そんな姿を見ていられなくて、私は雨の中に身を隠す様に走り出す。
(彼に想い人がいるのは何となく気付いていた。私はただ憧れてただけの筈………)
なのにどうして
こんなに胸が痛むのだろう。
(15/11/28→24/03/10)