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滑り台の上から見る景色 リアルっぽい創作詩度★★★★★
世界が橙色に染まる。
夕刻。
ひとりため息を吐きながら。
歩き進める、家路へと。
家路の途中にある、小さな公園。
母親と娘であろう2人が出てきた。
手を繋ぎながら、少女は楽しそうに歌を歌っていた。
私も昔よく歌っていた童謡。
もう、あまり歌詞を憶えていない。
曖昧ないつかの童謡が私を過ぎてゆく…
ざっ。
小さな公園の前で足を止める。
ふと見つめる先。
小さな滑り台。
なんとなく。
なんとなく、その滑り台に歩み寄る。
ひたっ、と滑り台に触れる。
ひんやりとしていて、塗料が剥げてがさがさだ。
きょろきょろと辺りを見回す。
公園には私しかいないようで。
それを確認すると、かんかんかん。
滑り台の階段を登る。
かん…
登りきってみると、なんだか低く感じて。
子供の頃はもっと高くて怖い印象だったけど…
ひんやり。
滑り台の手すりを握る。
滑り台の上から見る景色。
記憶のなかとは違う、景色が広がる。