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燃える曼珠沙華と踊る黒揚羽 赤と黒の世界度★★★★★
夜空が微かに紅く燃えている。
紅い満月佇む夜。
不気味な深い夜。
森の奥のおく。
一面紅く燃える世界広がる。
曼珠沙華が燃え咲く。
風に揺れる曼珠沙華。
そのまん中。
黒い着物の女が舞う。
青白い肌色。
艶やかな漆黒色の長い髪。
紅い紅を唇に引いた女。
まるで黒揚羽のように。
羽をひらひらさせるようにして。
着物の裾をひらひらと揺らす。
真っ赤に燃える曼珠沙華の中を。
ひらりひらり。
ふわりひらり。
誰かを待っているかのように。
曼珠沙華燃える森の中で。
孤独に舞う女。
やがて。
朝が降る。
深い夜がゆっくりと明けてゆく。
黒い着物の女はきらきらとした朝日を浴びる。
溶けるようにして形を変える。
黒揚羽の姿に形を変える。
木漏れ日注ぐ森の中。
夜とは違った美しさを魅せる曼珠沙華。
黒揚羽が森の影へと消えてゆく…