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幸福の味 幸せが怖いときってないですか?度★★★★★
私が幸せを素直に欲しがらない理由。
幸せの味を知らないわけじゃない。
生きてて何度か味わったことはある。
美味しくて美味しくて、いつまでも味わっていたい。
幸せの味を知ってしまったら、何度でも欲してしまう。
けど、幸せの頂上から絶望へ叩き落とされる感覚。
それが、忘れられない。
でも、幸せは素敵なもの。
体に良いもの。
どんな薬よりもよく効く。
できることならずっと味わっていたい。
けど、幸せを噛みしめれば噛みしめるほど、絶望した時の苦しさは重みを増す。
良薬から猛毒に変わり、心をも殺したりする。
幸せは何よりも美味しくて、良薬のようなもの。
けど、幸せを一度に大量に摂取すると、後々毒に変わるから。
それが、私は怖いんだ。
だから、幸せを欲しがらない……欲しいとは思えないんだ。
本当は、喉から手が出るほど欲しいけど。
ずっと、幸せだけを噛みしめられるのなら、ね。




