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歩き馴れた並木通りを 故郷を出る瞬間?(イメージ)度★★★★★
名前の知らない木が、並木通りに葉を落とす。
枯れた葉が、風に振られてひらりはらり。
並木通りを茶色く染める。
その落ち葉を踏みながら並木通りを歩く。
かしゅかしゅとした乾いた葉の音が足下から響く。
その音が子供心を擽るような。
けど、どこか寂しさを覚えるような。
かしゅかしゅと音を鳴らしながら、並木通りを歩く。
なんども歩いた、並木通り。
この並木通りとも、少しのお別れ。
その先に行くために。
帰ってくるかわからないけど。
帰ってこれるかわからないけど。
並木通りの終わりに近づくと。
───いってらっしゃい…
冷たい風の中に、そんなあたたかな声が聴こえた気がした。