私が私を殺しにかかる こころの奥の何か?度★★★★★
目の前に、私が、いる。
私はここにいるはずなのに、
私が目の前にいる。
目の前の私はにやり……と不気味に微笑むと、
右手に持っていた何かを、私の足元に投げた。
刀だ。
その刀を私の足元に投げた後、
目の前の私はもう一つ持っていた刀を鞘から抜き、
刃を、私に向けた。
「私を殺せば、幸せになるよ。
ただし、失敗したらあんたの体は私が貰う」
そう言って目の前の私は、
私を斬ろうと刃を振り回す。
私は襲いかかる刃から逃げながら、
さっき投げられた刀を拾い、
鞘から刀を抜いた。
刀なんて使ったこと無い。
けど、もう一人の私に斬られてしまったら、
私は、死んでしまう。
まだ、死にたくない。
死ぬわけにはいかない。
「うワアアアアア!!!」
私は声を上げながら、
振り上げた刀を思い切り振り下ろした。
ズバンッ!
私の刀は、もう一人の私の胸を斬った。
斜めに斬った傷から血……ではなく、
目映い光が溢れ出す。
「──これで、いい。
あんたに──私に、私はもう必要ない。
人間の世界は苦しくてきついけど……
私は私の分身だから大丈夫。
だから──いってらっしゃい。
またね……」
そう言って、私は目覚めた。
よくわからないけど、涙が溢れてきた……




