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葉桜 雨と桜は画になる。度★★★★★
※こちらの詩は2022年 02月18日に短編詩として投稿したものです。
さらさらさら……
ここ最近、雨の日が続く。
雨は好きだけど、こうも毎日降られると流石に憂鬱になる。
今日も一日中しとしとと降る雨。
いい加減晴れてほしいとため息を吐きながら、開く雨傘。
雨を言い分けに家で寛いでいたいけど。
近所のとあるところに用事があって。
どうしても今日中に行かないといけなくて。
ぱらぱらぱら……
細かな雨粒が、雨傘を叩く。
歩き慣れた道を歩き進める。
用事をさっさと終え、家路へと足早に進めようとして。
ふと。
止まる足。
その建物の入り口に咲く桜に目が行った。
緋寒桜だ。
花盛りがすぎ、みずみずしい若葉が咲き始めていた。
雨に濡れ、艶やかに彩る桜の花と若葉。
満開の桜も良いが、葉桜も綺麗だ……
ぱらぱらぱら……
雨の中。
足を止める刹那。
雨の憂鬱を忘れ。
流れゆく時間をも忘れ。
透明な雨粒輝かせる葉桜に心奪われる──────




