番外編 ユナとビンスの物語 終わり
完結いたしました。
お読みいただけたら幸いです。よろしくお願いします。
「旦那様!」クロードが駆け寄る。
ビンスは失神していた。
「あ、ごめんなさい!つい。」
ユリアナはビンスを担ぎ、ソファーに寝かせた。呼吸を確かめ、体に怪我がないか確かめた。
「弱い、、、。」ユリアナ。
脚をかけて倒し、腕を背中にまわしとって、動きを封じただけなのに。受け身も取れないなんて。
つぶやきを聞き取ったらしいクロードが、微笑んだ。どうして?怒るとこでしょう?
、、、無言が痛い、、。
「あの、怪我はないようなので、しばらくしたら目を覚ますと思います。申し訳ございませんでした。それでは、失礼します、、。」
逃げよう。ユリアナは決めた。
もう、男は怖くない。勝てる。どこででも生きていける。
釣り合わない。こんな、真っ当な世界で堂々と生きて、お金持ちな人となんて。私は孤児、スラム育ちの暗殺者。おまけに、ゴロツキどもに攫われて遊ばれた女だ。絶対だめ。
「待って、、。ユリアナさん。」
ビンスが目を覚まして、弱々しくユリアナの手を掴んだ。
「好きだ。行かないで。俺を捨てないで。」
そう言って、ビンスはまた気絶した。、、寝た?
ユリアナは迷った。逃げたら、捨てる、ってことになる?この人を捨てれる?
「奥様、お部屋へどうぞ。旦那様が奥様の部屋を整えてごさいます。
もう夕刻ですから、ぜひお泊まりください。孤児院にはご連絡しておきます。
旦那様が家具を嬉しそうに吟味して揃えておられました。あ、ご趣味に合わなければお好きに模様替えなさって下さい。」
クロードさんが案内しながら話し続ける。
「旦那様はご家族がおられません。このタウンハウスも、寝て食べるためだけにお使いでした。
それが、奥様と出会われてから、それはもう楽しそうにお過ごしでした。
どうが、旦那様を、捨てないであげてください。私供使用人一同の願いにございます。」
クロードさんの言葉に、返事が出来ない。
それに、何故かクロードさんにはスキがない。ように見える。
「貴方の様な方が奥様になって頂けると、私供は助かります。」ニコリとするクロードさん。
部屋は居心地の良い落ち着いた調度品の部屋だった。
濃い目の木材で誂えられた家具。高級品だ。それは、デート中に見た、家具の展示会でユリアナが「素敵ね。」と言って気に入ったものだった。
ビンスは家具の展示会やショッピングで、ユリアナの好みをリサーチしていた。
メイドのルーナさんがテーブルに茶菓子と紅茶を用意してくれた。ニコニコしている。
「どうぞ、奥様。夕食が整うまでお待ち下さい。
部屋着や夜着も用意してございます。ゆったりお過ごしください。
、、、私、ユナさんに憧れていました。、、嬉しいです。」
ギョッとしてルーナという名のメイドさんを見た。、、、数年前にアリステア王宮にいた、見習いメイドさんだ!でも、フランセーアに、何故?
クロードさんが説明し始めた。
ビンスさんの唯一の上司、ラレット商会の社長はバートさん。
「もちろん、ご存知のバートさん、でございます。」とクロード。ユリアナとバートが顔見知りだと知っているのだ。
バートさんは、フランセーア准王族、トュリューグ公爵令嬢フェリシティーの婚約者になっていると教えてくれた。もしかして、あのお嬢様?
バートさんはトュリューグ公爵夫婦の古いご友人。
フェリシティー様とお知り合いになってから、フランセーアの公安局が監視を始めたという。
このタウンハウスは、以前はバートさんのフランセーアでの自宅。そこに彼等フランセーア王宮、公安局の者が入った。監視対象としては一応監視する、程度。バートさんは使用人の正体を知らない。
バートさんがフェリシティー様と婚約した。フランセーアにはいつ帰るかわからない。このタウンハウスはビンスさんが管理、譲り受けた。ビンスさんも使用人の正体を知らない、と。
そして、フェリシティー様はバートさんと婚約、いずれ結婚。平民となられるか、爵位を貰うかわからない。が、このタウンハウスはフェリシティー様を迎えるには小さいので、正式にビンスさんの所有となった。
身分は平民になるかもしれないが精霊姫様である。引き続きフェリシティー様ご夫婦(予定)は保護、監視対象。フェリシティー様ご夫婦が立ち寄りそうな、宿泊しそうな場所として、引き続きクロードさん達はこのタウンハウスで働いてくれる、そうだ。
そこに、護衛も暗殺も出来る「ユナ」がビンスの妻となるのは大歓迎なのだ。
だって、フェリシティー様はこれからラレット商会の会長夫人として生きていく。
部下のビンスの妻が私。商会でのパーティーでフェリシティー様の側にいられる。とても自然に。ご一緒に各国に行くことが出来る。
フランセーア公安局は大喜びです、って。
あ、そうか。ルーナさんはアリステアに潜入してたフランセーア公安職員だな。
「ですから、ユリアナ様。ビンス様とご結婚は決定ですから。」クロードさんには笑ってない目で、頬と口元だけ緩ませて微笑んだ。
ルーナもユリアナに微笑んで言った。「末永くよろしくお願いします。」と。
逃げれない。ユリアナは悟った。
「御主人様、ビンス様はユリアナ奥様が、普通の方でない事をご存知です。強盗や引ったくりで気づかれました。驚いたようですが、ユリアナ奥様が隠しているので、知らないで良いとお考えのようです。ですから、そのあたりはご心配いりませんよ。」クロードさん。
ユリアナも、路地裏で強盗をのした時に、ビンスの気配を感じていた。これてお付き合いはお終い、それで良いと思った。
だけど、ビンスは変わらなかった。ありのままのユリアナを受入れてくれている。なら、ユリアナもこのままで、と思った。お互いに言わないで、夫婦としてやっていける。ビンスとなら。ユリアナは決めた。
その後のユリアナは幸せである。
教会で立派な結婚式をビンスが挙げてくれた。
孤児院の院長や、リン、ネイ(結婚してそ旦那様を連れて)も参列してくれた。親類がいないから、友人や仕事仲間が祝福してくれた。
新婚旅行は3ヶ月間。フランセーアの観光都市や名所を巡った。プロンシアーナ王国にも行き、王都の支店や有名産業地を周った。
観光と視察を兼ねた新婚旅行。
ビンスに愛されて大切にされて、ユリアナもビンスを深く愛するようになった。
護衛されつつ護衛もする商会の副会長夫人、ユリアナ。
うっかり夫を殺すことなく、3人の子宝に恵まれて幸せな家庭を築いた。
結局、ユナ(護衛・暗殺者)として活躍することはあまり無かったらしい。
お読みいただきありがとうございました。
約9か月間、妄想しなら楽しく、時に迷いながら書いていました。
借金令嬢シリーズ、完結できました。。
女護衛ネイとユナのその後を妄想していたら出来た話も番外編でつけました。幸せにしなきゃいけませんから。
思っていたより長く複雑になりました。妄想が膨らみました。お付き合いいただき、ありがとうございました。完結ボタンが押せて満足です。
素晴らしいお話が沢山ある「小説家になろう」の中で、この小説も埋もれて消えていく小説だろうけど、書き上げる事が出来て達成感を持って終わることが出来ました。
お読みいただいた方、少しでも楽しんでくださった方に感謝です。ありがとうございました。
星1つでも良いので、押していただけたらありがたいです。よろしくお願いします。




