表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
借金令嬢の娘は隣国で公爵令嬢となり精霊姫と呼ばれて母の友人と出会い幸せになります!  作者: つーかたかさん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

95/98

番外編 ラレット商会のビンスの物語 2

ユナの物語の2編目です。

番外編だけでも、恋愛ものとして読めると思います。よろしくお願いします。

素敵な女性だと思い、お近づきになりたいとの下心はあった。

男が苦手なのか。何となく、理由がわかった。嫌な目にあったんだな。



見習いお針子さんは4名。孤児院の優秀進学者は2名。

礼服にもなる正装とおしゃれ着を4名で分担することになった。


俺は一人で孤児院に来た。

採寸したので、合いそうな服を抱えて本人に選んでもらう。色はこれ、デザインはこんな風で、など紙に書いてほしいと伝えた。

服を置いて、俺は孤児院の遊び場に出た。俺がいないほうが、自由に選べるだろうから。


遊び場に出ると男の子達が寄ってきた。

慈善に女性は多く来るが、青年は来ないんだよな。知ってる。院長先生の許可は取った。


俺はチビ達と格闘ごっこや、ちょっと放り投げてキャッチ、とか、肩車して走ってやったりした。大人気だ。

走り回って心地良い汗をかいた。子供たちは遊び足りないらしいが、俺がギブアップだ。やっぱり、子供は元気だなあ。


俺は花壇の縁に座って汗を拭いて呼吸を整えていた。突然、後頭部に衝撃があり、俺は意識を失った。

「やったー!勝ったー!」遠のく意識の中、男の子の声がした。


話し声がする。

「こないだと反対ですね。」リンの声だ。

「そうね。」

「意識がなければ大丈夫なんですね、ユリアナさん。」リン。

「ええ。」

「もう服の寄贈を止めると言われたら困るなあ。」

リン。俺はそんな心の狭い男だと思われてる?

「大丈夫よ。楽しそうに子供と遊んでたし。本気でかけっこして負けて悔しがっていたのよ?面白い人ね。」

え、見られてた?

「後頭部の傷、不味くないですか?」リン。

「こういうのはちょっとハゲになるかもしれないわね。黙っておきましょう。見えないだろうし。」

いや、それは重要だ。

「なかなか起きないですね。もう夕方です。お店に連絡しますか?」リン。

「こういう場合、ご家族にご連絡して謝罪しなくては。奥様は?」

「いないですよ。奥様もご家族も。この人、孤児院の出身だそうです。」リン。

「そうなの?独身なんだ。素敵な方なのに。」

なに、素敵だと!よし!

「なら、ユリアナさんが奥様に立候補しては?」リン。

リン、いい提案だ。寝たふりを続けよう。返事が気になる。

「私では無理よ。リンには話したでしょう?」

「この方は良い人ですよ。ユリアナさんがいてくださって助かってますけど、いつまでここにいるつもりですか?30歳40歳50歳になっても、ここにいます?私は、ユリアナさんに幸せになって欲しいです。」リン。

「ありがとう、リン。この一年、リンに沢山助けてもらったわ。」

「私も、来年は孤児院を出ます。ユリアナさんが心配です。」リン。

二人が部屋を出ていった。


リンを味方にしよう。俺をユリアナさんに推してもらおう。

うーん、よく寝た。俺は起き上がった。

ハゲるのか?後頭部を撫でた。出来立てのでかいタンコブがあった。

上着を着て部屋を出ようとしたら、リンが来た。

「うちの子達が申し訳ありませんでした。大丈夫ですか?」リン。

「うん、大丈夫だよ。そんなに怒らないであげて。とても楽しかったから、子供達は?」

「これから夕食です。よかったら、ご一緒に夕御飯はいかがですか?」リン。

ちょうど腹が減っていた。お言葉に甘えた。


食堂に行くと遊んだ子供達が駆け寄ってきた。

「ごめんなさいー!」チビの一人が泣いて謝る。こいつが頭に一撃食らわしてくれた子らしい。

「もう大丈夫だよ。頭は攻撃したらダメだぞー。」

賑やかに夕食を食べた。俺がいた孤児院より味も量も良かった。やっぱりフランセーアは豊かな国だな。


ご馳走になったので皿洗いに名乗り出た。

ちょっと待たされて厨房に行くと、ユリアナさんがいた。

「洗剤は手が荒れますから」と俺が言い、洗う役を引き受けた。リンが拭き取り、ユリアナさんが食器棚に運ぶ、となった。

30人ほどの孤児と、職員の食器は中々洗いがいがあった。たわいのない雑談をした。リンと。ユリアナさんは俺には近づかない。話しかけてくれない。

でも、リンは頼まずとも俺の味方になってくれた。

「ユリアナさんと仲良くなりたい。やましい気持ちではなく、結婚を考えてる。ユリアナさんが、嫌でなければ。協力してほしい。」

そう言うと、リンは喜んで橋渡し役をすると言ってくれた。


これ以降、俺は孤児院に通った。

売れ残って廃棄の物から、俺が買い取った(社員割引で)物を差し入れた。

ユリアナさんにはハンドクリームや、ハンカチ、髪飾りや小物類などを。

俺は25歳だ。ユリアナさんは19歳。ついでにリンは14歳だ。

お針子さんは無事に衣類を誂え直した。

用事がなくても俺は通った。

頃合いを見てユリアナさんを食事に誘った。


俺の好意は伝わっている。最近は話もしてくれている。おしとやかで内気そうに微笑むユリアナさんは可愛い。

「お返事はいつでも良いので。ご都合の良い日に」と言うと、ユリアナさんは意を決した顔で「行きます。」と言ってくれた。

リンが、「ユリアナさんが外に出るのは、初めてです。この一年、孤児院の建物から一度も出ていないのです」と言う。

ユリアナさんはアリステア王国の出身で、馬車からほぼ出ずにフランセーアに来たそうだ。

なら、フランセーアは初めてと同じだろう。

人混みは怖いみたいだから、馬車を孤児院に付けて、料理店では個別の部屋で食事にしよう。


幸い、俺は結構、金持ちだ。

バートさんのラレット商会は、とても儲かっている。商会立ち上げ時からバートさんの片腕をしている俺は、高給をもらっていた。独り身で使うあてのない金は貯まる一方、と言う状態なのだ。


ユリアナさんは恐縮していたが、俺とのデートを楽しんでくれた。

孤児院から料理店の個室デート。

エイリーンで服やアクセサリー、靴やバックなどの小物を選んでもらい、プレゼントした。

ユリアナさんは高いものよりも実用的な服や小物を選んだ。

アクセサリーは固辞されたが、俺が贈りたかったので、なんとか受け取ってもらえた。欲のない人だ。益々ユリアナさんに好感を持った。


いや、俺はユリアナさんにかなり本気になった。

優しくて可愛くて臆病で、内気で健気。守らなくては!と。

ユリアナさんは若い女性なのに1年間も外出しなかったので、とても楽しそうだ。

こうして俺は時々ユリアナさんを街に連れ出してデートした。


院長もリンも、ユリアナさんが明るくなったと喜んでいた。



お読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ