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借金令嬢の娘は隣国で公爵令嬢となり精霊姫と呼ばれて母の友人と出会い幸せになります!  作者: つーかたかさん


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バートのラレット商会のビンス

俺はローラン子爵領の孤児院出身だ。領都ではなく、街道沿いの街の孤児院で育った。名前はビンス。

親はない。知らない。

茶髪茶目の、どこにでもいる容姿の普通の男だから、親もそうだったんだろう。


俺が小さい頃、ローラン子爵領は貧乏だった。その頃はわからなかったが、今ならわかる。

出される食べ物、衣類、世話する人達の顔つきや暮らし。

それが、成長するにつれて変わった。

飯がうまくなった。増えた。

配給の衣類の質、量。

なにより、街の人の顔つきだ。未来への希望。

それは、新領主の誕生と共に始まった。若きローラン子爵、アーサー様が当主となってから。


俺は孤児院を出て、働き始めた。小さな商店だった。

以前は孤児の就職なんて奴隷同然だったらしい。それが、数カ月毎に役人が来た。仕事先の不満がないか、待遇は差別されていないか、こっそり見に来てくれた。

そして、孤児は格安で職業訓練学校に通えるから、と学校を薦めてくれた。

俺は働きながら職業訓練学校に通った。


一人で生きていくには、雇われるのも良いが、商売も魅力的だった。計算や物の売り買いは面白い。予測が当たるとヤッタゼ!となる。

俺は商売関係の勉強をした。上流の知識やマナーも学んだ。生まれで損をしたくない。

職業訓練学校で学んでいると、学校から勧誘が来た。

その中でローラン子爵の直営している特産品を扱う店の就職を選んだ。


楽しい。俺は商売に向いていた。

直営店なので、子爵とそれなりに親しくなれたと思う。

子爵は美男だ。凄く貴族っぽい。しかし中身は商人だ。凄腕だ。いい人だ。苦労した人だ。賢い人だ。愛妻家で子煩悩。俺はローラン子爵を尊敬している。


ある時、ローラン子爵が「友人が新しく商会を作るから、人を紹介することになった。」と俺に相談してきた。

とりあえず会ってみることにした。

親がそれなりの大きい商会の経営者だと言うだけあり、しっかりした人だ。俺はそのバート・ラレットさんに好感を持った。

俺は自分を推薦した。

子爵は「えっ」と言って少し考えて、「うん、いい人選だ」と俺をバートさんの商会に送りだしてくれた。


商談、買い付け、納品、輸送、人を雇い、帳簿をつけ、日々は過ぎた。商会は徐々に大きくなった。

バートさんは俺より10歳ほど年上だった。

信頼してくれて経営のかなりの部分を任せてくれた。

自分に何かあった時はと書類を整えてくれた。俺に商会の経営を全て譲る、と。懐が大きすぎるよ。


バートさんは結婚する気がないらしかった。

気がつけば俺はラレット商会で働き始めて10年ほどたっていた。


そのバートさんがえらいことになった。

休暇でご実家のローラン子爵領でお過ごしの後、商談へ向かう途中に襲撃された。

護衛が1名死亡。俺は慌ててローラン子爵領へ向かった。その時、おれはフランセーア二いたんだ。


俺は死んだやつと面識があった。孤児仲間だ。名前はセレス。イイヤツだった。遺言書を開けた。街の護衛協会はローラン子爵が会だ。

自分が死んだら、金は全部孤児院へ寄付してくれ、とあったそうだ。泣けた。子爵も嗚咽をあげていた。

見舞金が結構な金額で、びっくりした。遺言通り共同墓地に葬った。


子爵がセレスの名前の奨学金基金を設立した。

期間限定で孤児で優秀でやる気のある者を上の学校に通えるように。そいつの名前を覚えてくれる人がいるように。自分達も忘れないように。

そうすると、護衛で身寄りのないやつが同じように遺言書をその基金に残し始めた。そして、関係ない街の人も寄付してくれるようになった。期間限定でなく、奨学基金が定着した。

俺は改めて子爵は凄えな、と一段と尊敬の念を強くした。


バートさんも重症だった。

俺はバートさんの代わりに商談をまとめなくてはならなかった。プロンシアーナへ向かったのだ。 

プロンシアーナで商談を無事に終えた。アリステアからの手紙で、バートさんが順調に回復していると知った。良かった。胸を撫で下ろした。


そしたら、プロンシアーナで手紙を受け取った。

バートさんがプロンシアーナにいる、と。重症だったのに?!旅行は無理だろ?なんで?


待ち合わせ場所に行くと、年若い青年がいた。バートさんの面影がある。その青年が俺に近づき、俺の名前を呼んだ。バートさんの声で。

本物のバートさんだった。若いけど。


バートさんが「場所を変えよう」と馬車に乗り、凄い立派なお屋敷に入っていった。貸してもらってるそうだ。

ものすごい豪華な応接室に通された。

「すごい調度品で落ち着かない気持ちはわかる。俺もそうだった。だが、もう気にしないことにしたんだ。ビンスも、腹くくって堂々としてくれ。」

バートさんがそう言って笑った。ふっきれた笑顔だ。


そしてバートさんの経験した不思議な話を聞いた。

呪い??理解できなかったが、とにかくバートさんは若返った。今後の対策を練った。


バートさんの親戚のバートJrさん。ということにした。バートさんは療養中。バートJrさんがバートさんの相続人で、商会を受け継ぐ予定。俺は後見人。3年から5年後くらいを目処に、バートさんはバートJrさんとして表舞台に登場、ということで。


若返ったバートさんはしばらくプロンシアーナに拠点を置くという。知り合いに会うとややこしいから。

ラレット商会プロンシアーナ支部は、すでにプロンシアーナ王室御用達に決まっているんだって。

プロンシアーナ王宮にフランセーア、アリステアの名産品(特上品)を納める。

プロンシアーナの商品を輸出もする。

、、、ラレット商会は大きくなる。


そして、ものすごい美少女を紹介された。って、この方、有名な精霊姫フェリシティー様ではないですか!

俺はぶっ倒れそうになるのを耐えた。

フランセーア王国准王族トュリューグ公爵家のご令嬢。

その方が、バートさんの婚約者だと?!夢?いや、現実だ。


少し恥じらってバートさんの隣りにいる姿が微笑ましい。若いカワイイ美しい。、、、羨ましすぎる。


バートさんとフェリシティー姫にお祝いを述べて、今後のすべきことを頭に入れてメモに書いてお屋敷を辞した。あとから聞いたら、バートさんが「借りてる家」は、プロンシアーナ王家の離宮だった。フェリシティー姫や、数名のアリステア貴族が滞在してたらしい。


どーなってんだよ、バートさん、、、。

お読みいただき、ありがとうございます。

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