現実の世界へ
「成功したわ!よくやったわね。見事な精神口撃。連携もとれてた。素晴らしかったわ!」エヴィ。
「今のなんだったの?」フェリシティー。
「光ってたな。消えたぞ?どこいった?」アーサー。
「よくやったって、何を?話をしてただけだ。」ベルンハルト。
「イリュージョン?パラダイスのショーで使いたいわ。やり方教えて、エヴィ様!」セイン。
「今、お前らが俺の大切な息子を殺したんだよ!
女、お前、母親のくせに!子供を殺すとはな。絶対に殺してやるからな!」
怒りに震えて黒い顔が赤っぽくなっているブランドン。
「だから、何のことがわからないわ。あなた誰?」フェリシティー。
「ふん!あんなに抱いてやったのに知らないか!俺はお前の夫だ。お前の身体を隅から隅まで知ってるぞ。毎日抱きまくったんだ。」ブランドン。
「変な妄想しないで!気持ち悪い!あなたなんか知らない!あなたもどっかへ行って!二度と現れるな!」フェリシティー。
フェリシティーから光がブランドンに向けて放たれた。
エヴィと3匹の精霊もブランドンに向けて光を放った。
「クソっ。分が悪い!」
そう言ってブランドンは黒いモヤに包まれて消えた。
幽閉された地下室でブランドンとが目を覚ました。
そばにトカゲと木の枝がある。トカゲがローラン領の精霊の木の枝を持ってきて、ブランドンをフェリシティーの夢に案内したのだ。
ブランドンが怒り狂うそばで、トカゲは冷たい目でブランドンを見ていた。
「あいつは逃げた。でも、当初の目的はやり終えたわ。みんな、よく頑張ったね。
フェリシティーの中だから、敵にはアウェーだし。ミカエルは育ちきってなかった。大人達で寄ってたかってボコボコにしたから、ちょおっと卑怯だったけど。アイツをやらなきゃ、フェリシティーが危ないからね。
名付けもナイスだったわ。よく機転をきかせたわ。フェリシティー。目的は成し終えた。
さて、戻ろうか。」エヴィ。
「目的?何だっけ?これ、夢だよな。これは悪夢だ。フェリシティーがもう結婚するなんて。」ベルンハルト。
「そうよ、私の夢よね。賑やかな夢だわ。バートさんと両思い。幸せな夢。」フェリシティーがふふふと笑った。
「こんな幸せな夢なら、毎晩みたいよ。」バートも幸せそうだ。
「そう?毎晩はちょっと。あれ、これ私の夢よね?」セイン。
「、、、目的、そうだ!フェリシティーを守りに来たんだっけ?あれ、結婚の許しをもらうのが目的だったか?うーん。何だっけ?」アーサー。
「記憶はぼやけるわよね。精神だけで人の心に入るとね。
そつか、やっぱり素で話してたのね。
まあ、私もそーだけど。結果おーらい。勝ったし!」エヴィ。
「何に?」
「何か勝負してたっけ?」
「何か忘れてるような気がする。」
「うーん。わからない。」「俺もわからん。」
フェリシティー、バート、ベルンハルト、セイン、アーサーが不思議そうにつぶやいた。
「さて、戻ろう!目を覚まして!」エヴィ。
ふわりと白い光が溢れた。
全員が光に包み込まれて、皆、意識が遠のいていく。
「うーん。」
「ふぇっ」
「んんっ」
全員がフェリシティーのベッドそばに戻った。
「お疲れ様!」エヴィ。
「あ、れ?寝てた?」
「なんか、不思議な夢を見てた」
「夢じゃないよ。終わった。フェリシティーの中からアイツを出したよ。」エヴィ。
「お帰り、セイン!」ガイルがセインを抱きしめた。
「お帰りなさい、アーサー。」ケイト。
「あの、なぜ皆様が?恥ずかしいのですが。」
フェリシティーが困惑顔だ。フェリシティーだけ、夜着姿だ。皆は服を着ている。
「あ、ごめん。出るよ。」アーサー。
「フェリシティー、さっきのは夢じゃないよ。皆で同じ空間にいたの。」エヴィ。
「「「エッ」」」
「じゃあ、フェリシティーは俺と結婚してくれるのか?」バート。
「バートさんとの結婚をお父様が許してくれたのは、夢じゃない?」フェリシティー。
フェリシティーとバートが見つめ合った。二人共顔が真っ赤だ。
「悪夢が現実?!」ベルンハルト。
「だから、諦めて受け入れましょうね、さあ、我々は出ましょ」セイン。
セインが出ようとしないベルンハルトを押しながら部屋を出た。
バートとフェリシティーが部屋にふたりきりになった。
「フェリシティー、君が好きだ。俺と結婚して下さい。」
バートがフェリシティーのベッドにひざまずき、フェリシティーの手を取り言った。
「はい。嬉しいです。私もバートさんが好きです!」フェリシティーが元気良く言った。
バートがフェリシティーを見て笑った。なんて素直で可愛らしいんだ。
バートはフェリシティーの手の甲に口づけを落とした。
フェリシティーがバートに口づけされた手を大切そうに惜し抱いて胸に当てた。嬉しそうに微笑んでいる。
「可愛い。」
バートがフェリシティーのベッドに座り、フェリシティーを抱きしめた。頬に手を添えて軽く口づけした。
バートがフェリシティーを離すと、フェリシティーは初めての事に口をパクパクさせていた。
「ありがとうフェリシティー。一緒にたくさんの楽しい思い出を作っていこう。幸せにしたい。だけど、俺と結婚すると、平民になるけど、良いのか?」バート。
「もちろんかまいません!バートさんこそ、私は迷惑ではありませんか?」
「迷惑だなんて!フェリシティーと結婚出来たら、俺は幸せだよ。」
フェリシティーが嬉しそうに笑った。
バートには、もうフェリシティーがエリンに見えることは全くない。今、バートに微笑む女性は唯一の人だ。声も仕草も笑い方も、フェリシティーだ。
バートが今後の話をし始めた。
サーラやエリンに報告したり、バートの商会や父母に紹介する事になる。
結婚式をどこでするか等、幸せな相談をしていた。
フェリシティーは突然腹部に激痛が走った。
「くっ、う、痛い。」
慌てるバート。人を呼びに行こうとした。
ドアに手をかけた時にエヴィが現れてバートに告げた。小さな声で。
「死んだミカエルを身体が出し始めたの。お医者さんを呼んで。冷静なアーサーとケイトにも伝えて。ベルンハルトは対処は無理だけど、伝えて。」
バートは思い出した。
誘拐されてフェリシティーは身ごもった。そして夢の中で子供を否定した。今、流産している。
フェリシティーは自分の身体に起こったことを知らない。
バートはただ、痛みに耐えるフェリシティーを思い、寄り添う事しか出来なかった。
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