目覚めました
ベルンハルトがすぐさま外に出てて、「案内を頼む!」と言い、そのまま馬に乗り、案内の騎士とローラン子爵家へ向かった。
その出立を見送り、アーサー、セイン、ガイルが難しい顔をしていた。情けない顔でもある。
「アーサー殿。知恵を貸してください。プロンシアーナは戦争したくないです。負けますし。ベルンハルト殿下ほお怒りだし。フランセーアも、黙ってないですよね?」セイン。
「そりゃ怒るよな。どう解決しようと、わだかまりは残る案件だ。誠意を尽くすしかあるまい。」ガイルは諦め顔だ。
「俺だって同罪みたいなもんだよ。フェリシティーを預かってたのに、このザマだ。
俺も戦争は反対、フェリシティーも望むわけない。が、その周りが許さんだろうな。
フェリシティー次第だな。」
フェリシティーに惚れてる第二王子と、フェリシティーを王家に欲しがっていた王家の人々。フェリシティーを精霊姫と崇める民衆。
ブランドンがしたことを知ればどうなるか。アーサーは天を仰いだ。
フェリシティーはずっと夢を見ていた。
ふわふわゆらゆら。
時々エヴィがいて、悲しそうな顔をしている。
「フェリシティーは、そのまま眠っててね。」
「助けが来るはずだから。」
「楽しい話をしようか?」
気がつけばエヴィが話しかけてくれる。
「エヴィ、何だか気持ち悪いの。ふわふわゆらゆらばかりだけど、時々すごく嫌な感じがするの。気持ち悪いわ。何でかなぁ?」
エヴィが泣きそうな顔をした。
「うん。そっか。気にしないようにして、フェリシティー。
あのね、フェリシティーはすごく待ち望まれて、愛されて生まれたんだよ。生まれてからも、大切にされてたよね。」
「うん。お母様とお父様が毎日楽しそうにかまってくれたわ。お母様が私を好き過ぎて困るくらいだった。
大きくなってからも、弟と妹が生まれてからも。ずっと愛されてる」
「うん。それを忘れないでね。」エヴィ。
「もちろんよ。私も、お母様とお父様、ルークとアイリーンが大好き。
ルークたちに、会いたいな。大きく、なったかな。」
「フェリシティー、幸せな夢を見よう。」エヴィ。
「何か、忘れてるような気がするの」
「忘れてて大丈夫だよ。眠ってようよ。」エヴィ。
「私、貰ってばかりなの。幸せだけど、私も誰かを幸せにしたいし、役に立ちたいの。そう、それに、やっぱり起きなきゃ!」
「まだだめ!眠って。守るから。時が来たら目が覚める。それまでは。」エヴィ。
エヴィが私を眠らせる。深く沈んでいく。
ああ、また気持ち悪い。変な感じがする。
どうしてだろう?この夢はいつ覚めるの?
ふっと安心な感じがする。誰かな?運ばれてるみたい。
もう、嫌な感じがしなくなった。気持ち悪いのも無くなった。
そのかわり、身体が重い。あちこち痛い。下半身に違和感がある。ヒリヒリ痛いし。お腹が痛い。
ゆっくりと目を開けれた。
あれ、どこ?メイドさんがいる。
「うう、あ」声が、出せた。変な声。
メイドさんが気がついてくれた。
「お嬢様、大丈夫ですか?お水をどうぞ。」
コップに水を入れて、テーブルに置いた。
何故か私は起き上がれない。力が入らない。メイドさんが身体を支えてくれた。水を飲む。喉を水が降りていく。すうっと気持が安らいでいく。
「私、どうしたのかしら?身体が重いの。ここ、どこなの?」
「ローラン子爵家の客室です。」
そう言ってからメイドさんが人を呼びに行った。
ローラン子爵家?そうだ。アーサー叔父様のお家で、私はフェリスって使用人をして、そうだ。バートさん!
何で?!忘れてたの?私は!
襲撃されて、バートさんが私をかばって、背中に矢が何本も!
バートさんはどうなったの?
ネイとユナは?
敵が多かったし、矢を射掛けられたのだ。
あの後、助けられたの?
ケイト叔母様がバタバタと部屋に来てくれた。医師が後から来ている。
「フェリス、良かったわ。体調はどうかしら?食べれそう?果物やスープがあるの。果実水も。」
ケイトが心配そうにフェリスを見た。
「診察しましょう。少し、よろしいですか?」
医師が体温や脈を見る。
「大丈夫ですね。食べれるものを食べて、少しずつ身体を動かして下さい。何かあれば呼んでください。」医師が下がった。
果物とスープ、果実水が運ばれて目の前に出された。
「叔母様、聞きたいことが。」フェリシティー。
「まず、体力を戻しましょう。食べて。」ケイト。
フェリシティーは大人しく食べた。身体が生き返るような感覚だ。
フェリシティーが食べ終えて食器が下げられた。
「叔母様、私は何日眠っていたのですか?」
「10日です。」
「襲撃、されたのですよね。バートさんは?ネイとユナや護衛のかたは?」
「バートは街の医者の家にいます。怪我をしましたが、大丈夫です。生きてますし、かなり治ってきてます。フェリスを心配していました。
ネイとユナもかなりの怪我を負いましたが、生きています。ちょうど昨日から家に戻りました。でも、部屋で療養、させています。もう護衛には戻らず、王宮に返すか、手当を出してどこかで安全に暮らせるように手配します。本人の希望によります。
護衛は二人は大怪我で、街の医者の所にいます。護衛の一人は亡くなりました。」
「亡くなった?」
「護衛ですから、そういう事もあります。」
「私、10日もここで眠っていたの?」
「、、、そうです。お父様が来られましたよ。少し身ぎれいにしましょう。
起き上がれる?湯の用意ができたみたいだから。」
「お風呂に入りたいです。何だか、身体が気持ち悪くて。そんなに眠っていたなんて。」
ベッドから出て、立とうとして脚に力が入らず、フェリシティーは崩れ落ちた。
「眠りすぎたのね。私。起きて、ネイとユナ、バートさんに会いたい。会わなきゃ。
私が狙われたの?誰に?どうして?」
「とにかくお風呂に入っておいで。なにも逃げないわゆっくりで大丈夫。皆あなたを心配してるから。」
ケイト叔母様が支えてくれた。
メイドが手伝ってくれて湯に使った。
身体が気持ち悪いのは、10日もお風呂に入ってなかったからかな。
身体のあちこちに赤いアザがある。内出血?打ったのかな?
変な感じにヒリヒリするし。変なところからドロドロとネトっとしたものが出てきた。月のものかと思ったけど、血ではない。おかしいな。
湯浴みを手伝ってくれてるメイドが無言だし。
叔母様の様子も表情を消していて変だった。
とりあえずさっぱりして清潔な部屋着を着た。
ドアがノックされた。お父様が来たらしい。
部屋着の上からガウンを着せらせて、ソファーに座らされた。
お父様が部屋に入ってきた。
駆け寄って抱きしめられた。大げさだなあ。
お父様の目に涙が光ってる。
「良かった、目が覚めて。身体はどうだ?」
お父様が聞いてくる。
「私は大丈夫です。護衛が一人亡くなったと。ネイとユナ、バートさんも怪我をしたと聞いて。会いに行きたいてす。」
「もう少し身体が良くなったらな。」お父様。
「寝すぎたみたいだから、身体を動かします。」
「うん。無理せず少しずつ、な。良くなったらフランセーアに帰ろう。サーラが心配してる。」
「私は大丈夫です。それより、怪我をしたネイたちが心配なの。それに、私は誰に襲撃されたの?なんのために?」
「、、、調べてるところだから。
ここは安全だから心配しなくて良いよ。とにかく体調を整えよう。元気になりそうて良かった、食べたいものがあったら言ってくれ。用意するから。」
「お母様に手紙を書きます。心配させたくないわ。」
「うん。そうして。」お父様がホッとした顔をした。
「フェリシティーはバートと仲が良いのか?バートを追いかけて襲撃されたと聞いた。」
「え、あ、そう、です。お母様には悪いから言わないで。
バートさんからエリンさんとの思い出を聞いたり、エリンさんの子供の頃の話を聞いたりしてたの。
昔の街の様子とか。職業訓練学校も楽しくて。
油断しました。
エヴィに言われてたのに、結界の外に出た私が悪いのです。
ネイ達に怪我をさせてしまった。護衛さんも死なせてしまった。」フェリシティー。
「フェリシティー、それは違う。死なせたり怪我をさせたのは襲撃犯達だ。フェリシティーは悪くない。
俺からネイとユナ、バートと護衛に今回の補償は十分するから、心配しないで身体をもとに戻して。元気になったらフランセーアに戻ろう。」
「え、でも、会わなきゃ。」
「わかった。元気になったらな。」
お父様が強引に会話を終わらせた。
「俺もサーラに手紙を書くよ。心配してたから。
しばらく、今回の襲撃を調べるからローラン領にいる。その間にフェリシティーも身体を戻してて。ゆっくりと過ごそう、な。」
お父様が部屋を出ていった。
お父様は何かを隠してる。フェリシティーは気がついていた。
お読みいただきありがとうございます。




