夢の中で
フェリシティーはフワフワした中を漂っていた。意識が虚ろでいつまでたっても覚醒しない。夢のなか?ボンヤリしてる。
精霊エヴィが悲しそうに顔の私を覗き込んでいる。
エヴィがこんな顔をするなんて、どうしたのかしら。
「痛い!」
身体に激痛が走った。涙が出ているのがわかる。それなのに、目が冷めない。
エヴィが言う。
「心だけは守ってあげれる。心はここにいようね。」
??変な夢だ。
ふわふわ、ゆらゆら、夢の中で意識が漂ってる。
エヴィはいつもはフランセーアの王宮にいるのに、私の夢の中で何をしてるの?
随分長い間、会ってないね、エヴィ。約束を破ってゴメンね。
アリステアに行くならって、エヴィが大樹の枝をくれたよね。植木鉢に挿して、元気にしてるよ。私の部屋で、毎日キレイな葉っぱを揺らしてる。
ああ、エヴィ、ごめん。約束したのに、破ったね。ローラン子爵家から離れ過ぎたら、大樹の植木鉢から離れたら、結界から出てしまうって。ローラン子爵家のある街から出ちゃだめだよって。
エヴィ、私を守ってくれてたのに。
あの人に会いたくて、エヴィとの約束を忘れてしまった。
ああ、エヴィ、私、おかしいんだよ。
お父様と同じ年の人なのに。
私を産んだエリンさんに、未だに恋してる人なのに。
私の事なんて、子供みたいに思ってて、相手にされていないのに。
あの人のことが気になる。
もう会わないと言われてすごく悲しかった。
プレゼントの一番大事な、貰ってほしい物を返されたの。それなのに、すごく素敵なプレゼントを私に贈ってくれたの。
もしも、私がエリンさんなら、迷わずバートさんと結婚するのに。絶対に幸せになれるし、幸せに出来るのに。
ふわふわ、ゆらゆら、いつまでかなあ。夢は覚めない。
苦しい。これは、夢か。早く覚めなくては。
フェリシティーを守らなくては。
大切なフェリシティーを。
矢が飛んできた。フェリシティーを狙っている。何故だ。殺す気か!
フェリシティーを抱きしめた。背中に衝撃と激痛。
「逃げてくれ」言ったが、無理だとわかってた。
敵が多すぎる。
そのまま意識が途絶えた。
夢の中でフェリシティーが泣いている。
泣かないで言いたいのに、伝えられない。もどかしくてたまらない。
馬車に揺られてる?ぼんやりと目を開けた。
身体のあちこちが痛い。激痛だ。
向かいの席にアーサーがいる。
なんでアーサーと馬車にいるんだ?俺は、商談に行く途中の馬車に、、、
「フェリシティー!」
叫んだつもりが、うめき声くらいの声量しか出ない。
「目が覚めたか。今は寝てろ。」アーサー。
「フェリシティー、が、すまない。守れ、なかった。フェリシティーを、助けに、行ってくれ。」
「わかってる。探してる。」アーサーが答える。
俺は意識を保てず、混沌の中に落ちていく。
フェリシティーか俺を追いかけて来た。慌てて馬車に入れて、ローラン子爵領家に戻すために来た道を戻り始めた。
いつもは冷静なフェリシティーの護衛が真剣だ。
「出来るだけ急いで!」
御者を急かせる。
フェリシティーは俺に髪入の飾り紐を握らせた。
「これは、バートさんに持っていて欲しいの。」
「こんなことのために来たのか?」俺は怒ってみせた。
フェリシティーは悲しそうに俺を見た。
かわいい。抱きしめたくなる。
「私にとっては、大切な事なの。受けとって下さい。私がキライで、持っていたくないなら、あとて、捨ててください。」
「フェリシティーを嫌いなわけがないだろう?」
「なら持っていて下さい。」
「わかった。」
「髪飾りとネックレス、素敵なプレゼントをありがとうございます。」
「フェリシティーをイメージして、デザインに口を出して、作らせた。」
フェリシティーが嬉しそうな顔になった。良かった。
「俺は君の飾り紐を大切にするよ。見るたびフェリシティーを思い出す。フェリシティーにも覚えていてもらえたら嬉しい。送ったら、もう来てはいけないよ。サヨナラだから。楽しかった。」
カッコつけて言った。
フェリシティーが悲しそうに下を向いた。
困ったな。
フェリシティーが、
「じゃあ、今だけ、甘えさせてください」
言うなり、承諾してないのに俺の膝に乗り、抱きついた。
俺は固まった。これは夢か?
その時、「襲撃だ!」護衛が叫んだ。
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