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借金令嬢の娘は隣国で公爵令嬢となり精霊姫と呼ばれて母の友人と出会い幸せになります!  作者: つーかたかさん


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お別れしたくありません

その後、王子とルーファスはフェリスに接触しようと試みた。

王子の部下の部下が、誰からとは言わずに学校でフェリスに手紙を渡そうとした。

しかし「知らない方からの手紙はいただけません」とフェリスは受け取らない。


王子がローラン子爵家を訪問したい、と希望した。

アーサーは王子を歓待した。滞在貴族学生の社交室で。

もちろん王子は令嬢、令息に囲まれた。

ローラン子爵と貴族学生たちと交流し、王子は帰った。


ルーファスが伯父の子爵家に「子爵ご家族と従兄弟と交流したい」と子爵家に申し入れた。

なるほど、とアーサーは自身と妻のケイト、子供二人だけでルーファスを接待した。

ルーファスは幼い従兄弟と鬼ごっこ、かくれんぼ、絵本の読み聞かせをして帰っていった。

フェリシティーは、ベルンハルトとサーラの娘だし、ルーファスのイトコではない、ので。



フェリシティーは子爵家で働きながら学校に通う、他の使用人とも仲良くなった。

彼等は孤児院出身が多い。または、近隣の貧しい家の子だ。片親で母子家庭で兄弟が多い、親が病気、家族が病気で、子供が働いてる。


アーサーは

「本当は貧しい人には無料にしたいんだ。けど、そうすると経営していけないから。うちで働いてるから数日無料で授業を受けることが出来るとしている。必要な講座を受講して身につけたら就職して辞める。で、次の子が来る。」という。

貧困の世襲を無くしたい、とアーサーが言った。

金持ちだけが教育を受けて教養を付け、良い職につくのが嫌だ、と。

奨学生もいるが、彼等は優秀だ。

貧困家庭の普通の子供こそ、手に職を付けて社会に出るべきだ、その道筋を付けるのが政治だ、と。


アーサーは領内の堅い仕事の、信用できる会社に、就学生の雇用を頼んでいる。会社やその寮で住み込みで働きながら職業訓練学校に通うのだ。これも順調だ。

もちろんローラン子爵家の使用人にも学生枠がある。




それで、新しくライラという女の子がローラン子爵家に働きに来た。13歳だ。

ライラにもフェリシティーが遠縁の親戚と説明された。

ライラはフェリシティーと初登校した。

可愛らしく説明を聞いてくれる。懐いてくれる。

フェリシティーは妹が大きくなったらこんなふうかなあ、と思った。


休日にフェリシティーはバートと街を散策した。

街のお店で買い物、市場で買い食い、公園で一休み。

ネイとユナが護衛をしてくれているが、気にならないほどの距離だ。

バートに王子と公爵令息との食事、令嬢の乱入の話をすると、困った顔で「大変だったね。」と言って黙り込まれた。


フェリシティーは街で文房具店をバートに案内してもらった。そして、バートに万年筆を選んでもらった。「お父様へのプレゼント」として買った。

バートが他の商品を見ている時に、同じ物をもう一つ、細工をして包んでもらった。


楽しい1日を過ごした。ローラン子爵家前までフェリシティーを送ったバートが別れ際にフェリシティーに告げた。

「楽しかったよ。ありがとう、フェリス。近々、商談のために他国へ行く。今日で最後だ。また、ね。」バートがさみしげな瞳で言った。

突然言われて、フェリスが泣きそうな顔になった。

「そんな、急にひどい。また会えるって思ってたのに。」フェリシティー。

「フェリス、君は君の世界に戻るべきだ。婚約者を選んで、その人と時間を過ごすべきだ。

私なんかといてくれて、楽しかった。娘がいたら、こんなかと思ったよ。でもね、もう、会わないし手紙もよそう。」バート。

「え、そんなの嫌です。手紙、書きます。」

フェリシティーがバートの手を両手でつかんだ。

「手紙が来ても、返事は出さない。フェリスの幸福を願ってる。」

バートがフェリシティーの手を優しくほどいた。

ネイとユナがフェリシティーを子爵家の敷地に留める。

背を向けたバートに、フェリシティーが叫んだ。

「待って!プレゼントがあるんてす!これだけ、受け取って下さい。」

カバンから箱を取り出し、護衛二人を振り払い、バートを追いかけ、渡した。

「これは、お父様へのプレゼントだろう?」バート。

「2つ買ったんです。お父様と同じ物を使っていただきたくて。」フェリシティー。

「ありがとう。」バートが受け取りポケットに入れた。

フェリシティーがいきなりバートに抱きついた。

バートは困惑した。しかし、フェリスの頭を優しくなでた。カツラだけど。

「フェリシティー、君は俺の初恋の人の娘さんだ。エリンとの子供がいたら、君みたいかと思って接してきた。いい思い出をありがとう。フェリシティー、幸せになれよ。」

ちいさい声で言い、ふんわり軽くフェリシティーを抱きしめた。

すぐにフェリシティーを離し、

「じゃあね。プレゼントありがとう」

バートは帰っていった。


フェリシティーはバートに「もう合わない、手紙も返事を出さない」と言われたことがショックだった。

部屋に入り、泣いて、そのまま眠った。


翌日、学校でぼんやり授業を受けた。ライラと一緒だ。

「庭師が教える庭園の1年」で、季節の花の組み合わせや庭園鑑賞の見どころを聞いていた。

フェリシティーは上の空だ。

「フェリス、今日は具合が悪いの?」

ライラが元気がないフェリスを心配している。

「ごめんね。ライラ。ちょっと悲しい事があったの。」フェリシティー。

「あのオジサン?ラレット商会の社長でしょ?就職を断られたの?」ライラ。

「え、違います。、、お仕事に行かれたの。もう、会えないみたい。」フェリシティー。

「そうか、仕方ないよ。」

ライラは言い、気を紛らわそうとフェリシティーに話しかけた。気が乗らないフェリシティーの様子に、ライラはそっとしておくことにした。


フェリシティーがローラン子爵家に帰宅した。

「フェリス、バートから手紙と届け物が来たから、部屋に置いてあるわ。」

ケイトの言葉を聞いて、フェリシティーは部屋に急いだ。机に手紙とリボンがかけられた箱があった。


手紙を読んだフェリシティーは椅子に座り、ぼんやりした。胸が締め付けられる。

手紙には、プレゼントの万年筆に付けた飾り紐が入っていた。フェリシティーの髪を糸と合わせて組んで編んだ物だ。フェリシティーが本を見ながら作った物だ。

髪を編み込んだ飾り紐は、家族や恋人、夫婦の間で、片方が遠くに行く時に贈り合う。

バートの手紙には

「お父上への贈り物と間違って渡された様なので、万年筆だけありがたくいただきます。」とあった。


本当にフェリシティーが間違えて渡したと思われたのか、フェリシティーの髪を優しく突き返されたのか、フェリシティーには判断できない。

エリンさんの髪は、大切に持ち歩いてるくせに。私のはいらないんだ。そう思うと涙がポロポロ頬を落ちていく。

ふと、プレゼントの箱を見た。

開けてみるとシンプルで品の良いデザインの髪飾りと、同じ意匠の耳飾りとネックレスだった。

小さな宝石がついた花と蝶々ががデザインの中に収まっている。

「キレイ。」

フェリシティーがつぶやいた。

とても高いと思う。貴族からしたら、それ程ではなくても、高価な品物だ。


扉がノックされた。

「ライラです。フェリス、いる?」

プレゼントを引き出しにしまい、ライラを招き入れた。

「帰りにラレット商会に寄ったの。冷やかしみたいな目つきされちゃった。長居して店の人の会話を聞いてたの。社長はプロンシアーナに向かったんだって。昼食べてから出たみたいだよ。」ライラ。

フェリシティーは覚醒した。

バートは馬車で出たはずだ。夕刻に隣町に宿泊するだろう。馬で追いかけたら、捕まえられる!


「ライラ、ありがとう。」フェリシティー。

ライラがニコリとして、部屋を出た。

フェリシティーはすぐに乗馬服に着替えた。ズボン姿だ。風避けのマントや防寒着もはおった。カツラを取り、自毛をまとめて帽子の中に入れた。メガネはつけておく。

組紐をハンカチで包んで胸ポケットに入れた。


置き手紙を書いた。

「プロンシアーナに向かうバートさんに届け物をしたいので、でかけます。馬をお借りします。ごめんなさい。」

怒られて、家に戻されるかもしれない。覚悟の上だ。


フェリシティーは馬の厩舎に向かって走った。

アーサーから用事を頼まれたと嘘を言い、オロオロしている使用人を「急いで!」と叱責して、馬に鞍をつけてもらった。

危なげなく乗り、ローラン子爵家を出た。すぐに街道に出る。フェリシティーは馬に鞭を当てた。

馬が駆け出した。


夕刻、隣町に入る前にラレット商会の馬車を見つけた。フェリシティーは並走してバートを呼ぶ。

窓から驚愕の表情のバートが見えた。


お読みいただきありがとうございます。

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