表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/98

借金令嬢の裸婦画で事件です。

第2王子が登場。サーラの絵で印象深い出会いになりました。

午前は3限、ランチを挟み午後も3限が学園の授業時間割だ。

後期になり、サーラは2限が無い日が出来た。

サーラはこの時間を人気のない場所でスケッチをしている。灌木に囲まれて見えにくい。昼寝をする日もあった。

たまにエリンとバートも来る。


いつものように過ごしていると、ガサガサと音がして一人の男子生徒が飛び込んできた。

その男はサーラを見て驚いたようだ。しかし、すぐに気を取り直し言った。小さめの声で。

「匿ってくれ。」

男は息を潜めた。

「ベルンハルト様ー」女の子達の声がした。

声と足音が遠退いていく。

ベルンハルトとやらがホッとした顔になった。

サーラを見る。

「ここで何してたの?」

「授業が無い時間なので、絵を描いたりしてくつろいてました。あなたが来るまでは。」

「そう、ゴメン。助かったよ。追われてたんだ。」

「そですか。もう行っていいのでは?」

「すまないが、ここにいていいだろうか?見つかりたくない。」

「はあ、良いですけど。」

サーラは絵の続きを書き始めた。

騒ぎでリスが逃げてしまった。ため息をつく。

思い出してリスを描くがうまくいかない。

チラリと男を見る。美形だな。絵になる。

「スケッチしていいですか?」

「君、絵を描くの?この辺の見てて良いなら、描いて良いよ」

男はサーラのスケッチブックを数冊手に取った。サーラのシートに座った。

「上手だね。」「これは校舎だね。あの場所かあ」「アハハ。リドル先生だ。」

男はサーラのスケッチブックを楽しそうに見てめくる。

パラリとめくり、男は固まった。凝視している。次もめくり、また見つめている。次の絵も。3枚の絵を何度も繰り返し見ている。


サーラは描くのに集中している。

そこにエリンとバートが来た。

「あれ?新顔がいる。」

「アッ」バートが声を上げた。

男がスケッチブックを慌てて閉じる。男の顔が赤い。

バートがそのスケッチブックを取り上げて開く。

隣りにいるエリンを見る。顔が真っ赤になった。


キョトンとしたサーラが、アッと怯んだ。

「もしかして、あれ?!見ちゃった?」

エリンを見て、謝る。「ごめんエリン」

「返して。見ないで。秘密の絵が」オロオロするサーラ。


「なに?この絵」

バートがサーラとエリンを見て聞く。声が低い。怒ってるみたいだ。

スケッチブックをサーラに渡した。バートもシートに座った。


エリンが「もしかしてこの絵?」

後ろを向いて髪をたくし上げてうなじを見せる。脚を交差させた。

ブホッっと男達の声がした。咳き込んでいる。



サーラが説明した。

昔の絵や彫刻には裸婦像がある。描いてみたい。

美術館で彫刻の裸婦をスケッチしていたら監視員に怒られた。

その話をしたら、エリンが。

「報酬もらえるなら、モデルになるよ」って。

サーラの部屋で、ポーズをとってもらい、描いた。

それが3枚。

ウッカリ学園に持ってきちゃった。


3枚の絵で、エリンは一糸も纏わぬ姿を見せていた。


うなじを見せての立ち姿で後ろ姿。

髪を両手でたくし上げている。

細いうなじ。美しい背中。くびれたウエストに形の良いオシリ。長い脚を交差させている。


椅子に座って猫を膝に乗せて身体は少し斜め向き。ほぼ正面の姿。猫を愛でて微笑んでいる。

タワワな胸にちょこんとある乳首。膝の上の猫が気持ちよさげに寝ている。


ベッドで腕を顔のそばに置き、横向きに眠る姿。

重みと重力で垂れる2つの膨らみ。寝顔がそそる。腰のあたりが艶めかしい。



「これは、マズイ」バートがつぶやく。

「ダメだな」男。


「ところて、この人ダレ?」エリンが男を指差す。

「さあ?」サーラ。

「知らないのか?第2王子じゃん。」バート。

「へー。」エリンとサーラ。

「あ、じゃあ、この絵売れるかな?」

王子の似顔絵をサーラが見せる。

「あいかわらず、上手いね。そうだ。令嬢に売れるぞ!うん、高値で売れるね」

「そうなの?!サーラ、もっと描いて!儲かりそう!」

「あー、あの絵と交換してくれるなら、いくらでも描いていい。」王子。

「ダメだ!アホか。あの絵は俺が買い取ろう」バート。

「俺も欲しい。3枚とも欲しい。買い取る。言い値で買おう。特に寝姿が欲しい。芸術だ」

男が二人、睨み合う。

「コイツには絶対に売るな」バート。

「君こそ。危ない目だ」王子。


サーラが問う。

「もしかして芸術じゃなくて、嫌らしい目で見ました?」軽蔑が目に宿る。

「エリンの絵だから、エリンにあげます。エリン、誰にも売ったりしたら駄目ですよ。焼いたほうが良いかも。練習のつもりだったし。」

「白黒なのに。色を付けたら恥ずかしいけど。このくらい大丈夫よ。」


「あ、予鈴だ。行こう」サーラ。

「行かないの?バート。」エリン。

「ちょっと、今は無理。先に行って。」バート。


男二人は座ったまま。股間に手を乗せている。


「お前もか」バート

「男ならこうなるだろ」王子

「タッテテ、タテナイ。」バート

「静まるまで、待とう。」王子

「静まる気配がない。」バート

「同意見だ。スゴイ絵だったな。」王子

「猫が羨ましい。」バート

「ベッドで裸って、もう想像力が」王子

「夢に出そうだ」バート

「いいな、それ。出て来て欲しい。」王子

「お前はダメ。お前王子だろ」バート

「心の中は自由だ。関係ない」王子

「すました王子の本性それかよ」バート

「王子も人だ。それにしても無防備すぎる。」王子

「だから俺がついてるの」バート

「惚れてるんだ」王子

「まあね。だからおまえは静まれ。なんか腹立つ」バート

「まだ無理。さっきから不敬だそ。おまえ呼ばわり」王子

「タッチャッテル王子様に言われてもなー」バート

「それもそうだな」王子が破顔した。

バートも笑う。





男二人は3限の授業に来ることは無かった。


その絵は後日、バートがエリンを言いくるめて買い取った。

バートの部屋の鍵の掛かった引き出しに仕舞われている。

時々コッソリ眺めてるとか、眺めてないとか。本人のみぞ知る。


読んでくださり、ありがとうございました。

ブックマークつけていただけたら嬉しいです。

 

前回同様、エリンを脱がせてスイマセン。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ