話がまとまったようです。
「エリン、酷い目にあったね。」レイナルト。
「はい。」げんなりした顔のエリン。
セインとガイルもすぐに二人の世界に入り込むが、エリンとレイナルトも同じだった。
セインが話を続けた。
「そうそう、それから、協力者が集まって、王宮の文官を中心にクーデターを起こせる目処が立ったから、エリンをアリステアに戻せたんです。
別れる時にエリンと約束したんです。プロンシアーナを軍事国家から、平和な国にするって。
殺されてたかもしれない命、どうせなら、とことんやって、好きなふうに生きてみようと決めました。
俺は、いえ、私は男の身体に生まれたが、どちらかというと心は女性に近い。
エリンのおかげて、やりたいことを成し遂げる決心がついた。
ほら、こんなだから、思春期は特に悩んだ。自分だけ人と違う。しかし各地を回って、自分と同じように多くの同性愛者が悩んでるって知った!仲間がたくさんいた。
エリンの提案した、王都の一角を同性愛者の集まる街を作った!聖地ができた。パラダイスって街だ。エリン、ぜひ見に来て!」セイン。
「ナニソレ?」ベルンハルト。
フランセーアの王夫妻と王太后は、目が死んでる。
「あれ、つくったの?出来たんだ!スゴイじゃない!」
エリンが驚いた。
セインが女の子風に話をし始める。
「各地に少数でバラバラでいるのを、集まって街を作れば良いってエリンが言ったのよね。
世の中、異性愛者が多数だから、同性愛者が堂々と出来ない、異質な扱いを受けてるだけって、エリンが言ってくれたの。要は多数決の問題だって、ね。
同性愛者が多数の街なら、同性愛者が普通になるって。
今じゃ、パラダイスに、国中から同性愛者が集まって来てるの!皆幸せよ。ありがとう、エリン!」
「そう。よかったね。」エリン。ちょっと引いてる。
「見に行かなくていいよ。」そっとエリンにレイナルトが言った。エリンは行くつもりなどない。なんか怖い。
レイナルトはエリンの貞操を心配していたので、安心したのか、にこやかだ。
「エリン、保護されてすぐに何で言ってくれなかったの?マデリーンが心配してたよ。行方不明の間に酷い目に合わせてしまったって。」ベルンハルト。
「プロンシアーナの第2王子と第3王子が相思相愛でクーデターを起こそうとしてるのに協力してました、なんて言えません。毎晩王子二人の濡れ場を聞いて半年ほど過ごしました、って聞きたかったですか?」エリン。
「あ、それは黙っといてって頼んだわ俺達。
ほら、真面目に政権交代します、って姿勢でないと、官僚の信頼を得られないし。旅の後は俺たち命かけて真剣に国盗りしたんだ。」セイン。男風になったり、女の子風になったりする。
「忘却薬を飲むのは、そういう約束だったから。どうせなら、早く忘れちゃいたくて。
コイツラのこともですけど、辛かったんです。
フェリシティーと離れてから、毎日フェリシティーを思わない日はありませんでした。今、どうしてるだろう?って。寂しかった。離れていることが辛かった。でも、大切にされてるから、サーラとベルンハルト様の子供として、フェリシティーは幸せになるんだから、私は忘れなくちゃならない。でも、可愛らしい小さなフェリシティーを忘れられない。頭から離れない。苦しかった。
プロンシアーナでコイツラといる時も、眠れなかったのは悲しかったのもありました。」エリン。
「フェリシティーは健やかに育ってると思います。
ありがとう、エリン。この10年間、フェリシティーと居て幸せでした。」サーラ。
「うん、わかってる。フェリシティー、大きくなったね。ひと目でわかった。
二人に大事にされてきたって。私の決めた選択は、良かったと思えたわ。」エリン。
「疑問ですが。セイン陛下。エルンスト王太子は、あなたのお子ですか?」
それまで黙って聞いていたアーサーが突然に聞いた。
「それは、うーん。ま、いっか。弟です。父王の子です。」セイン。
「前王妃、セインの母親だが、ブランドンの邪魔になる子供をすぐ暗殺するから、セインが保護した。」ガイル。
「コレットは、部下だけど友達だし。妃を勧められて困ってたし。親の不始末のお詫びを兼ねて、今は俺の王妃です。他の妃もそうなんだ。」セイン。
「コレットって、あのコレット?」エリン。
「そう。俺のスパイのコレット。父上のとこにメイドにいかせてたら、手を付けられてエルンストが生まれた。仕事させてた俺の責任。今じゃ片腕。キチンと王妃してくれてるよ。エルンストは優秀だしね。
俺はそのうち、エルンストに譲位して、引退したら街の同性愛者のお店のオーナーになるんだ。楽しみ!」
「ソウデスカ。ヨカッタデスネ。」エリン。
「エリンにも会えたし、こうしてフランセーアの王族の方々に会えたし、良かったわ。」セイン。
「本当に、この方がプロンシアーナ王セイン陛下とは、未だに信じがたい。」フランセーア王。
「プロンシアーナ王がこの様な方とは、全く聞こえてこなかったのです。大変失礼いたしました。」王妃。
「僭越ですが、セイン王陛下。プロンシアーナは今、どのような状態ですか?前王の一派は排除できたのですか?プロンシアーナが軍事国家から変わったのですか?」アーサーが聞いた。
うーん、どうかな、とセインが語り始めた。
「幽閉してる王とブランドンは、まあ大人しいよ。監視はしてる。心中はわからないけど。
前王朝の人間を排除より、体制を整えることを優先しましたね。人々の暮らしが良くなる様に、考えてます。兵役の徴兵数を減らして、給料を多くしましたね。孤児院を建てたり、病院も。各地に学校を建てました。教師が少なくて、教師の学校も作りました。一般の人で、教育を終えた人に役人になってもらいました。地方領主、各地に税金の上限を決めました。役人には、賄賂厳禁で違反したものは投獄と鉱山での強制労働と決めましたね。
まあ、とにかく、民衆を大切にする方針で頑張ったんです。ゆっくりと良い国になってきたと思いますよ。
文官も地方領主も我々を指示してくれてる、と感じてます。前王を擁護する動きは今のところ、聞きません。」セイン。
「軍は少し縮小している。希望者はそのまま雇っている。退職者が増えた。騎士学校より、最近は文官のための学校が人気だ。文官学校だと、他に転職出来るからな。」ガイル。
「エリンがアリステアの学校や社会の仕組みの話をしてくれたので。お手本にしました。」セイン。
「素晴らしいですね。」ニコニコ、アーサーが言った。
「これから、プロンシアーナはどうしたいのですか?」アーサー。
「国交を開いて欲しいです。平和条約を結びたい。そして通商条約も結んで、貿易を盛んにできたら、と考えてます。」セイン。
「願ってもない話です。ぜひ会談をいたしましょう。」フランセーア王が言った。
その後セインとフランセーア王がそれぞれ平和条約の草案をいくつか提案した。
通商条約も草案を作り、それぞれ略印を押した。
それぞれの国で、草案に対し官僚と大臣を交えて審議し、後日、大陸2大国が正式に会談すると約束した。
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