精霊エヴィと約束しました
「精霊様、今日、我等にこの話をしてくださったのは、何故でしょう?
ベルンハルト殿下に王位を譲るようにと?
いえ、本来の王家に血統を返還せよ、と?」
王太后。
「はあ?いりませんよ!」ベルンハルトが驚いて言った。
「王太后様、ナムール王は政治をしなかったし、出奔して行方不明になったり。王に向いてないですよ。王太后様がフランセーアを守ってきた事実に自信を持って下さい!」サーラも援護する。
「しかし、簒奪してたし。」覇気のない陛下。
「はるか昔の話ですよ。
現在の国民にとって、今の王家が王です。良い政治をし、外交も完璧です。引き続き政治をお願いします。」ベルンハルト。
「もう!私を忘れてる!」エヴィ。
「そうです。何故、神話や伝説とも言うべき昔の話をしてくださったのですか?」アーサー。
「嬉しかったの。」
エヴィがベルンハルト、フェリシティー、セインを見た。
「お母さんの欠片を持つ人が、3人もいたから。
それに、私の力を頼ってくれたの、すごく久しぶりだった。嬉しかったの。
それと、知って欲しかった。私を。
寂しかった。
ラミーナは王宮に住んで、私と遊んでくれたのに。私が見えるくせに、知らんふりされたし。」
エヴィがフェリシティーを見た。
フェリシティーはプイっと目を逸した。
「ほら、ひどい!最初は目が合って、私を捕まえようとしたくせに。泉に手を突っ込んだじゃない」エヴィ。
「怒られたし!皆の反応がすごかったから、怖くなったの!見えたなんて言ったら、騒がれるじゃない!」言い返すフェリシティー。
「来てくれなかった!遊びに来て、って言ったのに」エヴィ。
「王宮になんて、来れないし!」フェリシティー。
「遊んでほしかった。」エヴィ。
「毎日でも、王宮に来て欲しい!」
エルドがここぞとばかり、アピールした。
「そうだな。精霊様が喜ぶと、豊作になるのだ。
フェリシティー姫、来たいときに来て、ぜひ精霊様と
遊んで下さい!」王。
「王宮にフェリシティー姫の部屋を用意するわ。そうね、ベルンハルト殿下ご家族のお部屋も。
ベルンハルト殿下、サーラ妃殿下、いつでもぜひ王宮においでください。」王妃。
顔を見合わせるベルンハルト一家。
王宮に部屋が用意とは、婚約者でしかありえない扱いだ。困った。
「王妃様。私の妹オルガとローズも来て良いですか?女の子同士で遊びたいわ。
ね、フェリシティー、王宮に私の部屋があるの。
私、毎日のようにお妃教育を受けに王宮に来ているの。午後は比較的時間が取れるわ。毎週決めた曜日にお茶会をしましょう。」
シェリーが助け舟を出した。
「そうしたいです。シェリー様。ありがとうございます。」フェリシティーがほっとした顔で言った。
「陛下、王妃様。フェリシティーは同じ年頃の女の子と遊びたいのです。部屋はご容赦願います。」
サーラが王家に言った。
「毎週王宮に来てシェリー達と遊んで、泉に来て精霊様とも遊ぶ。それでいい?フェリシティー?」
サーラがフェリシティーに聞いた。
フェリシティーが頷く。
「約束よ!来てね。フェリシティー。あなたともお話したいわ、シェリー?仲良くしてね!
嬉しいなあ。」
エヴィがはしゃいてフェリシティーの周りを飛んだ。
泉に水柱が立った。
「じゃ、またね!」
精霊エヴィがすうっと姿を消した。
同時に大樹を中心とした竜巻の様な風の壁がゆっくりと力を落とした。風に舞っていた葉がパラパラ地面に落ちた。
竜巻の外には城の護衛やメイド、女官、文官が心配顔で立っていた。
王たちを見ると安心し、喜びの顔になる。
さらに湖畔の離宮で行方不明になった王子たちが勢ぞろいしている事に驚いた。
「陛下、ご無事で何よりです!」
「王妃様!心配いたしました!」
それぞれの主の無事を喜ぶ使用人達。
「湖畔の離宮に使者を。捜索は中止に。皆無事にいると告げよ。」王。
王がプロンシアーナの二人に言った。
「では、おふた方、仲良くなりにきた、とのこと。大人だけで話し合いをいたしましょう。」
フランセーアの王夫婦、王太后。
ベルンハルトとサーラ。
エリンとレイナルト、アーサー。
そしてセインと護衛が会議室に集められた。
ボソボソとアーサーがセインに話しかけた。
「着替え?カワイイのに。」セイン。
「フランセーア王との会談ですから。」アーサー。
「そうね。わかったわ。待ってて。」
セインとガイルが退室し、少しして戻ってきた。
略装の貴族の衣装を着たセインは、上品な貴公子になっていた。黒髪の青い目、スラリとした容姿。
一同がほう、とセインを見た。セインがニコリと微笑む。別人だ。
フランセーア王が言った。
「では、会談を始めましょう。」
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