会えて嬉しい!けど、たくさん人がいますね
登場人物が多くなりました。
ベルンハルトとサーラがエリンに気付いた。
エリンもレイナルトも、ベルンハルト達に気が付いた。
子供たちはエリン、レイナルト、アーサーを「誰?」という目で見ている。
メイドと護衛は、そのまま城の使用人ど思ったようだ。
エリンが動いた。
「サーラ!」エリンが駆け寄り、抱きついた。
サーラもエリンを見て涙目だ。
「エリン、覚えてるの?忘れてしまったと聞いたの。会いたかった!話したかった!エリン!」サーラ。
「さっきまで忘れてた!サーラは忘れたくなかったあああー!」
エリンが大声で泣きながら微笑んでサーラを見ていた。サーラもヒックヒックと泣き始めた。
三十路の女性二人が抱き合って泣いている。
ベルンハルトが、「いつか見たな、これ」とつぶやいた。
ベルンハルトが自分を鋭く見つめる目に気が付いた。
その目を、視線を受け止める。
精霊の泉の万能薬がエリンに効果を示した。
この不思議な神の領域の存在が、エリンをベルンハルトの伴侶と見なしたのだ。
レイナルトは足元がぐらつく感覚に耐えながら、妻とベルンハルトを見ていた。
「クロフォード伯爵、レイナルト殿。お顔は存じております。奥様とクロフォード伯爵には、この10年、感謝を伝えたくとも伝えることができず、不義理をいたしました。」
ベルンハルトがレイナルトに近づいた。
「感謝など、妻は仕事をしたと思っております。この度、私共にも子供が生まれまして。妻と二人で慈しんで育てております。」
レイナルトがベルンハルトを睨んだ。
ベルンハルトは少し困ったように微笑んだ。
ベルンハルトが握手をと差し出した手をレイナルトは無視して頭を下げた。
「レイナルト様!もう!」エリン。
エリンが気がついてレイナルトの手を取り、ベルンハルトの手に置いた。
「仲良くしてくださいよ!」エリン。
「エリン、ムリ。」
レイナルトが小さい声で言った。
サーラも来て、重なった3人の手の上下に自分の手を合わせた。
「私達夫婦に宝物をありがとうございます。おかげで、私はものすごく幸せです。
お二人を苦しませて、悩ませて、月日を奪い、記憶を奪い、なんと言って謝ればよいのか、償えるものなのかわからないです。
感謝と、お二人の幸福を心から、願ってます。本当にありがとうございます。」サーラ。
四人は互いに顔を見る。
レイナルト以外は、泣いてるような、微笑みのような顔をしている。
「僕らも混ぜて!な・か・よ・し!」
セインが手を置いた。
「お前は違う!」「いい場面で水を差すな!」「仲間じゃない!」「この人だれ?」
四人に同時に拒否されて、ぶーたれるセイン。
この隙に、アーサーが挨拶しようと進み出た。アリステア王国の貴族だから、礼儀が大切。
「ベルンハルト殿下、お元気そうで何よりです。サーラ妃殿下、お目にかかれて光栄です。エリンの弟ローラン子爵アーサーと申します。」アーサー。
「こちらこそお目にかかれて嬉しい。ベルンハルト・アリステア・トュリューグです。妻共々、ローラン子爵家にはひとかたならぬ感謝を感じておりました。」ベルンハルト。
「ありがたきお言葉です。」アーサー。
「チョット、私、無視?そうそう私、現れてあげないんだけど。遊んでくれないなら、帰っちゃうぞー」
精霊がフワフワとエリンの周りを飛んだ。
「この、ぜーんぶ、忘れちゃう薬、この人の親か子供か、祖父母に回しちゃうケド。」
精霊が空中にシャボン玉のように揺れる水の塊を出し、指して言った。
「テキトーでイイよねー」精霊。
精霊がクルクルと指を回すと宙に浮いた液体も細長い紐状になった。
「待ってくれ!父親だ!父親にしてくれ!ローラン前子爵、ランドルフに!」アーサーが慌てて叫んだ。
「ふーん?イイよー。父親ね、アリステア王国、ランドルフ・ローランへ!それ行けー!」
精霊が指ごと腕をまわして空に向けて放つ仕草をした。紐状になった液体は空に放たれ、一瞬で消えた。
「今のは何?」エリン。
「私の力で、あなたの身体の中にあった、忘れちゃう薬を取り出したの。思い出したでしょ?
で、アレは、あなたの親しい人に引き受けさせちゃったの。たいてい、テキトーに投げちゃうけど、今回は特別!」
アーサーがすごく喜んでる。笑顔だ。
「ありがとうございます!精霊様。すごく助かりました。」
エリンに向いて、アーサーが続けて言った。
「いやー、良かった。きっと、今頃アホが全部忘れてるんだね。近頃物騒な物言いをするから、困ってたんだ。
俺を殺してやる、とか。母上を殺すとか、エリンやアリシアや、孫を殺すって。外に出さない生活が長いから、おかしくなってきたみたいで。
あ、僕らの父親、幽閉中なんだけど。ほら、外に出すと借金してくるとか、変な契約書にサインするから、仕方なく、なんです。
これで平和になります!
タダ飯食うだけだし、飯を運ぶ使用人にも暴言吐くし、食事用のフォークやナイフで刺された使用人もいて。もういっそ、やっちゃおっかな、位困ってたんだ。助かったー。
ありがとうございます!精霊様!」
アーサーはにこやかだ。しかし、エグい話に皆、ちょっと引いてる。
「あの、精霊の泉と大樹の葉は、万能薬と聞いてました。親しい人に、病気を移す事で治ったとしていたのですか?」リカルド。
「そうよ。」精霊。
「自分の病を治そうとしなかった。母上は、それを知っていたのか?」ベルンハルトが言った。
「ラミーナ?あなたはラミーナの子供よね?
ラミーナは私の友達。遊んでくれたから、特別に教えてあげたの。
ラミーナの父親のナムールも知っているわよ。
ラミーナは、小さな時死にかけてた。ナムールが私の癒やしを求めてきたの。死の病だから、伝えたの。
この子の親か祖父母が代わりに死ぬことになる、それでも良いなら、この子を治してあげる、って。
ナムールは、この子の母親はもういない。自分の親もいない。母親は幼い頃に旅の一座に預けられて、それっきり、親を知らない。だから、その親はもういないかも知れない。自分が死んでもかまわない。娘を治してくれって、答えたの。
母方の祖父に、病を移したわ。特別にね。祖父しかいなかったから、2択だった。」
「ラミーナ王妃が、精霊の万能薬を頼らなかったのは、自分の病を父親か、子供のルドガー王かベルンハルト殿下に移すことになるから、そうしなかったんですね。不思議に思っていたのです。精霊の祝福を受けたラミーナ王妃が若死にした事を。」
アーサーが納得した風に言った。
「父に、言えば良かったのに。治せるのに、治そうとしなかったと誤解してしまってる。」
ベルンハルト。
「もし、それを言ったら悩ませるだけだからですよ。
するつもりがないから、言わなかったんです。」サーラ。
しんみりしなから納得した顔のベルンハルト。
「ありがとうございます。精霊様。子供達を助けてくれたのですね。」王妃が精霊に礼を言った。
「あ、違います。引っ張られて連れてこられました。」シェリー。
「王宮で、私の力を使われたから、関係者っぽい人をまとめて集合させちゃおうと思って。」精霊。
「関係者?」
それぞれの顔を見るが、プロンシアーナの二人で視線が止まる。何故こいつらも?
自分でつけた名前を、忘れて探しました。(エリンの父親の名前)
数ある小説の中で、このつたない小説を読んていただき、ありがとうございます。
たまに1個ずつブックマークが増えているのをみて、嬉しく思っています。付けてくれた方に感謝しております。ありがとうございます。




