フェリシティーの出生を話します
意外にもサーラはフェリシティーの出生をフランセーアの王族に話す事に異論はなかった。
ベルンハルトは迷った末、エリンの行方不明は言わず、プロンシアーナがフェリシティーの秘密を知ったから、とサーラに相談した。
「そうですか。それなら言ったほうが良いです。
フェリシティーはあなたの子であることに間違いありません。精霊の泉の祝福も受けています。
フランセーアに事情を説明しましょう。」サーラ。
「、、、いいの?サーラ。」
「いつか、フェリシティーには真実を告げなくてはと思っていました。」
「フェリシティーには、まだ言わない」ベルンハルト。
「ええ。まだ子供です。早いです。」
ベルンハルトとサーラは、5日後の昼食会を待たず、内密に王宮に向かいたいと願い出た。
すぐに了承の返事が来た。
使者のやりとり風に見せかけて王宮に向かい、王太后、前王と新王太后、陛下と王妃にあった。
「ごきげんよう。ベルンハルト殿下、サーラ妃殿下。お久しぶりね。お会いできて嬉しいわ。」王太后。
5人のフランセーアの王家の人々はベルンハルトらを歓迎していた。
一通り挨拶を済ますと、ベルンハルトは内密の話をしたいと、人払いをしてもらった。
「なんだか、聞くのが怖いわね。
フェリシティーをやはり、フランセーアにやらない、とか。フェリシティーに好きな人が出来た、とかでは無い?
殿下から内密に訪問したいと聞いてから心配していたの。安心できる話なら良いのだけど。さあ、話して」
王太后。
ベルンハルトがサーラとの間に子供が産まれなかった話をし始めた。
何度もサーラが流産した事。
フランセーアとの約束を守るため、サーラが離縁を言い出した事。
アリステア王妃マデリーンも男児二人目を産んだ時に生死の境を彷徨ったこと。
アリステア王国で、フランセーアとの約束を守れないことが大問題となり、困っていた事。
王太后が困惑して
「フェリシティーはラミーナの孫ではないの?」と口を挟んだ。
ベルンハルトは、
「フェリシティーは間違いなく私の子です。妻と私の共通の友人が、その、協力してくれたのです。」
そう言ったとき、その場のフランセーア王族が困った顔をした。
「その人が一時的に妻となった証明書はございますか?」王妃。
「いいえ。その人は結婚していました。」ベルンハルト。
また、フランセーアの王族が困った顔をする。
「過去の書類を整えて、なんとかしましょう。
フェリシティーがその人と、その夫の子供になってしまいます。不義の子、父親のわからない私生児をフランセーアの王家の子供とするのは、避けたい。」前王。
「ベルンハルト殿下、サーラ妃殿下。
フランセーアは血統を重んじる国です。
フェリシティーが一時的に側妃となった女性とベルンハルト殿下の間の子、サーラ妃殿下が実子として引き取ったという書類を整える必要があります。それはアリステアでしてもらえますか?
その女性がその時期に夫と離縁していた、という書類も要ります。
公表する必要はありません。書類を王族血統院に収めておくだけで良いのです。」陛下。
「女性とその夫の協力を得られますか?」王妃。
ベルンハルトは返答に困った。
エリンは記憶が無い。無理だ。
「プロンシアーナが知っているのが気になります。何を言ってこられても正々堂々と反論出来るようにしたい。」前王。
「色々な事情があり、それは難しいのです。」ベルンハルト。
「エリンに頼めば良いですよ。話せば大丈夫でしょう?」サーラが不思議そうに言った。
ベルンハルトは迷った。言葉が出ない。顔色も悪かったのだろう。
「ベルンハルト様?」サーラ。
「その女性は、エリンと言います。貴族です。
アリステア王妃の公爵家、サンフォーク公爵の妻はその女性の妹です。」ベルンハルト。
「私の姉の夫のイトコでもあります。学園時代の大切な友達です。」サーラ。
「フェリシティーはアリステア王の姪、サンフォーク公爵夫人の姪なのね。」新王太后。
「そうなります。アリステア王太子のイトコ。サンフォーク公爵家嫡子のイトコです。
アリステアの秘密を守るため、フェリシティーこ生母の記憶を失わせております。」ベルンハルト。
サーラもその場の王族も意味がわからす不思議そうな顔、訝しむ顔だ。
「記憶がない、とは?」陛下。
「全てを忘れるようにさせた、と聞きました。それまでの生きてきた記憶をなくさせた、と。」ベルンハルト。
サーラが立ち上がった。驚愕の表情、泣きそうだ。
「どういうこと?エリンは絶対に他言しないわ。フェリシティーのため、絶対に人に言うはずない!
記憶を奪ったの?
誰が?
ベルンハルト様?!知ってたの?
酷い!私達の思い出も、全部?エリンは忘れたの?」
ベルンハルトに向け、言葉は叫びの様になった。
「エリンも了承し、望んだと聞いた。秘密を守るため、フェリシティーのため、君のため。
俺も、こないだ聞いたばかりだ。」ベルンハルト。
「サーラ様、今は、落ち着いて下さい。お友達ですものね。ご心配するお気持ち、わかります。
でも、今はこらえてください。」王太后。
「アリステア王国の事情はわかりました。
けれど、困りましたね。。
フェリシティーはベルンハルト殿下のお子。
精霊の泉、大樹の祝福を得た大切な姫です。
エルドがフェリシティーを好きですし。
プロンシアーナがどう出るかわからないから、書類をきちんとさえすれば安心できますわ。
エリンさんの記憶を戻せれば。」王妃。
「その事なのですが。アリステアで議論しまして、精霊の泉の万能薬を試してみてはどうか、と。」ベルンハルト。
「フランセーアの祝福を受けた王族、その伴侶や子にしか効かない、は、ず。、、そうか、ベルンハルト殿下の妻と同じか!
いや、サーラ妃殿下に失礼か。いや、しかし。」前王。
「試してみれば良い。その、エリンとやらをフランセーアに呼べますか?ベルンハルト殿下。」王太后。
「すぐには、無理でございます。聞いたところによりますと、一月ほど前、彼女は臨月でした。
そろそろ産まれた頃だと思います。」ベルンハルト。
「まあ!ええと、エリンさんと、その夫のお子さんですわよね。でも、フェリシティーの異父弟か異父妹になるのかしら。」王妃。
「半年後、くらいなら、お子様とフランセーアに来れるのではなくて?
ご一家を招待しては?」新王太后。
「エリンさんの旦那様は?どの様な身分の方ですか?」王妃。
「アリステア王妃の弟、サンフォーク公爵家の次男で、伯爵です。」ベルンハルト。
「それでは、アリステア王妃の弟ご夫妻ですね。
招待するにふさわしい。」王太后。
「ベルンハルト殿下、アリステアに連絡し、書類を用意してください。
エリンさんが離婚した書類。
ベルンハルト殿下の側妃となった書類。
フェリシティーが殿下とエリンさんの子である証明書類。
側妃から正妃へのお子とした書類。
ベルンハルト殿下と側妃を解消した書類。
日付は過去にして、本人と、王家の方と神官の2名の証人の署名をお願いします。
こちらで見本を用意します。文章も。
記憶が戻らなくても、エリンさんの署名をもらいたいのです。夫の署名も、離婚書類にいりますね。
では、エリンさん一家が来られるまでに、用意しましょう。署名のみすれば良いように準備しましょう。」王太后。
「フェリシティーは異母妹ラミーナの孫です。フランセーアはベルンハルト殿下の秘密を他言しません。
なにより、サーラ妃殿下とフェリシティーは思い合った母子です。
フェリシティーにも秘密です。」前王。
「サーラ、少し出ていて。ごめん。まだ、フランセーア王と話があるんだ。
王と前王にだけ、お話したい事があります。」
ベルンハルトが告げた。
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