借金令嬢と稼ぎました
サーラは特技を生かしてエリンとお仕事します。
エリンとサーラ、バートは美術の時間に席を近くに取り、話をする仲になった。
バートはエリンが取る教科をなるべく取っている。
エリンと過ごす学園生活は3年目だ。
「サーラは絵が上手ね。本物みたい。そっくりに描けるのね」エリンが褒めた。
「これしか取り柄がなくて。」
「私とバートをそれぞれ描いてみてくれる?」
「もちろんです。練習になるので嬉しいです。沢山の人を描きたいのですが友達がいなくて。」
サーラはエリンをササッと描いた。
サーラの絵は素晴らしかった。そっくり写し取る。
エリンはサーラの絵を見て、ニンマリした。
「いい事思いついたの!日曜日お暇かしら?サーラ。できたらバートも」
「お前、またあれか?」バートがゲンナリする。
「そう、あれよ!協力してくれる?バート?サーラ?」
「俺はいつもの事だけど、サーラはできるかな?」
「やってみるのよ!やってから、ダメならあきらめるの。最初から諦めては駄目よ。」
「なんかちがう。」バートがつぶやいた。
日曜日、エリンとバートとサーラは公園にいた。
画材を抱えてサーラは不安顔をしている。
「本当にやるんですか?」
「大丈夫!サーラはいつものように絵を描くだけ。私がお客様を連れてくるから。」
公園の広場に面した一角。露店の並ぶ横で、エリンが客引きをしている。
「似顔絵いかがですかー?お安くしますよー。
デートの記念になりますよー」
エリンがカップルに声をかける。
「この絵、私です。そっくりですよね。お客様の絵姿をこちらの娘さんがお描きします。いかがですかー?」
「たったの10分!1000リブル!」
エリンが呼び込み。サーラが描く。バートは見張りだ役だ。
「あのう。描いてくれるかね。」
モジモジしたお兄さんが来た。
「もちろんです!どうぞこちらへ」
エリンがお兄さんの手を取り、サーラの前に座らせる。サーラは人見知りで、知らない人と話すのが苦手だ。サーラの代わりにエリンが話しかける。
「楽にしてくださいね。笑顔を描いて欲しいので。」
「よろしくお願いします。故郷の親に手紙と一緒に送りたくて。もう何年も帰れてないんです。」
「それは心配ですね。お兄さんの絵姿、きっと御両親が喜びますよ」
描き始めるとサーラは自分を忘れる。対象と自分の世界に入り込むのだ。
「正面より少し左を向いた方が良いですね。そう、そうしててください。目はこちらに向けて。少し口のはしを上げて。いいてすね。優しく笑った顔になりました。」
お兄さんは出来上がった絵姿を喜んだ。
サーラが絵を描いていると、その絵を人が覗き込み、お兄さんと絵を見比べる。
「上手いな」
「次は俺を描いてくれ」
「私達もお願い」
初めはぎこちなくオドオドしていたサーラだが、絵を描き始めると真剣だ。没頭する。
エリンが、客に話しかけて和やかに会話をしていた。
数名の客の後はサーラも慣れてきて、子供や女性には話しかけるようになった。
30人程の客の絵を描き、サーラが疲れたので終了した。
「やったわね!サーラ!38000リブルよ!」
1000リブルでいいのに、奮発して払ってくれる客がいたのだ。
差し入れとして近くで売っている露店の食べ物や飲み物をくれた客もいた。
「内訳はサーラが2万、私が1万。バートが8000でいい?」
「練習になったので、私が1万でいいですよ。」
「それはダメ。描いたのはサーラ。紙や絵道具もサーラのだし。」
「エリンの呼び込みが良かったからですよ。私一人じゃ誰も来ません。」
「サーラが1万。エリンが2万5千万。俺は3000でいいよ。何もしてないし。」バート。
「そうしましょう。」サーラ。
「ありがとう。助かる」
「楽しかったです。良い練習になったし。あんなに喜んで貰えて、嬉しかった。こんなの初めてです!」
「そだな。サーラには良かったと思う。自信ついたろ?サーラの絵はスゴイよ。」
3人は笑顔で金を分配した。
帰り道で。
「あのー、いつもこんなふうに、何かで商売してるんですか?」サーラ
「たまにね。」バート
「1年生と2年の途中までは、お店と契約して、客引きをしてたんだけど。買わないのに来る客が多くなっちゃって。今はたまーにお店に顔を出してるの。出来る時だけその店の客引きをしてるのよ。で、その仕事がない代わりに、売れそうな事を思いついたらこうしてやってるの。ない時はその辺の露店の客引きもするわよ。子爵領だと弟が相棒だったけと。今はバートね。バートが居てくれて助かってるわ」エリン。
「それで、仕事の相棒。なるほどです。」サーラ。
「そう言えば、バートんちもサーラのお家も、商会なのよね。サーラんちがバートの商会で買い物をするのはどうして?」
「サーラのトコはでっかい物を売り買いしてるなあ。木材とか資材、原石。鉱山を買って大きくなった商会だ。あと、小麦とかの穀物も扱ってるな。国と国の貿易が多い。おれんちは国内だな。小麦とかも扱ってるけど、国内で買い付けて他に売ったり、小売り店に卸したり。職人が作った物を店に卸したり。」
「なるほど。」エリン。
「よくご存知ですね。」サーラ。
「俺んとこも外国と取り引き出来るような商会にしたいんだ。俺は卒業したら親父の商会で働く。見習いからだな。」
「そのうち、お仕事でお会いするかもしれないですね。」サーラ。
「そーだなー。そんときはよろしく。いえ、よろしくお願いします。」
「こちらこそ!」
「いいなー。私は借金返すためにひたすら働かなきゃ。」
「おれんトコ来いよ。」バート。
「バートのお父さんもお母様も、私の事嫌ってるよ。わかるもん。私は借金持ちの家の子だからね。」
「すまん。でもさ、俺はエリンに来て欲しい」
「この話は終わり!今日は楽しかったね。サーラの絵が売れて、すごかった。サーラは才能ある!いっぱい喜んでもらえたね!」
エリンが無理矢理に話を変えて、サーラと話し始めた。
バートは空を見上げた。日が落ちて茜色の空に桃色に染まった雲がたなびいている。
バートの親は、エリンの父親を心底嫌っていた。
クズと呼んでいる。クズの娘のエリンと、跡継ぎのバートが仲が良いことを危ぶんでいる。エリンと友人としてすら付き合うなとバートに言う。バートが無視している状態だ。
バートは廃嫡されたとしても、エリンと付き合いを止める気は無かった。
お読みいただきありがとうございます。
ブックマークをつけてもらえたら嬉しいです。
見ず知らずの人に、このつたない話を読んでもらえているのかなあ?と気にしてます。
でも、書きたいから書いてます。
よろしくお願いします。まだ続きます。