娘は仲良く交流できました(一人をのぞいて)
表面上はおだやかに進んでます。
翌朝、フェリシティーの叫び声で邸内は慌ただしい目覚めとなった。
「なんであんたがここにいるのよ!」
「ここのは離宮だ!管理は王宮!鍵くらい手に入るんだよ!」
「今は私達が使ってるのよ!勝手に入らないで!帰れ!出てけ!」
「お前こそ!早く国へ帰れ!」
「女の子の部屋に勝手に入るなんてサイテー!変態!」
「はあ?カエルやヘビを投げてくる奴が偉そうに!女の子なもんか!」
フェリシティーの寝所で朝っぱらからケンカしていた。
エルドがいた。
ベルンハルトが部屋に来たのを見て二人が黙った。
ベルンハルトから怒りを感じたからだ。
「エルド殿下、娘も無礼ですが、殿下もいけません。お帰り下さい。」
ベルンハルトにしたら、娘の寝所、娘はベッドに夜着でいる。そこに、子供とは言え、男がいるのはかなり不快だった。
ムスッとしながら、エルドがフェリシティーに何かを投げた。小さな箱だ。
フェリシティーがキャッチして、エルドに投げ返した。
「帰れ!」箱が床に転がった。
エルドがしかめっ面をした。箱を拾い、部屋を出ていった。
ベルンハルトがエルドと共に玄関へ向かう。
エルドが出て行き、サーラがフェリシティーの部屋に来た。何事かと話を聞く。
「人の気配がしたから、起きたらあの子がいたの。」フェリシティー。
「ケンカしに?わざわざ?」サーラ。
なんだか良い香りがする。
「あれっ?」とフェリシティーが指差す。
花瓶に薔薇の花束が突っ込んであった。
エルドは王宮で親からかなり怒られたらしい。
数日後、ベルンハルトは王宮に呼ばれた。
離宮のサーラとフェリシティーのもとに、また王子たちがやって来た。
女の子達はビクビクしている。涙目だ。
王太后らから、行けと命じられて来たのだろう。
男の子たちも緊張している。
リカルドがフェリシティーに挨拶する。
「懲りずにまた参りました。フェリシティー姫。出来たら友好的にお願いします。」
「先日の私のした非礼をお詫びいたします。誠に申し訳ございませんでした。」
フェリシティーはリカルドに申し訳無さ気な顔を向けた。
その後は穏やかな茶会が進んだ。
フェリシティーは微笑みを浮かべ、リカルド、シモン、ジェフリー、シェリー、オルガ、ローズと会話した。
次第に緊張が解けて子供たちの表情が柔らかくなった。
女の子同士でも、話が弾んだ。
離宮にフェリシティーへのプレゼントが毎日届く。
女の子だけでプレゼントが並ぶ部屋へ行った。フェリシティーが案内した。4歳のローズがぬいぐるみを気に入ったので、「良ければどうぞ」とフェリシティーがあげた。
オリビアはお人形をもらった。
フェリシティーも1つお人形を手にとり、部屋に戻る。
シェリーを除いた女の子3人でお人形でままごと遊びを始めた。
セリフを言いあい、可愛らしい声が部屋に飛び交う。
その様子に皆がホッとする。
エルドだけは、フェリシティーから無視されて仏頂面をしていた。
今日のフェリシティーはおしとやかで、可愛らしい令嬢なのだ。しかも、ものすごく美少女。見つめられ笑いかけられるとぽおっとなってしまう。
フェリシティーがオリビアとローズに優しく接している姿を見ていると、先日の大惨事は別人が起こしたように思えた。
男の子たちとシェリーはその様子に安堵していた。
その頃、ベルンハルトは王宮で王太后と陛下、王太子夫妻と話し合っていた。
「王子たちから話を聞きました。
今は様子を見ようと思っていたのだけど。
リカルドがフェリシティーと婚約したいそうなの。
リカルドは落ち着いた優しい子だから、年頃になればフェリシティーも大丈夫だと思うの。仮の婚約ということにしたいわ。そうすれば民衆も安心するでしょう。
他の王子たちも、数年中に婚約者を決めたいし、あやふやな状態は良くありませんからね。」
「お心遣いはありがたいのですが。
フェリシティーはまだ子供です。それに、こちらの言うことを粛々と受け入れる子ではありません。
今回はフランセーア王国とアリステア王国の友好を深めたということで、良いではありませんか。
次世代の顔合わせが出来ました。
約定に縛られて子供たちの心を蔑ろにしたくないのです。
王太后様、今回は何も決めないでいただきたい。
私は帰国後、アリステアで話し合い、王位継承権を放棄してフランセーアに移住したいと考えています。
そうすればフランセーアでフェリシティーが育ちます。年頃になれば思う相手ができるでしょう。
私は親としてフェリシティーの幸せを願っています。」
場がざわついた。
「移住してくださるの?」王妃。
「願ってもない」陛下。
「アリステアに帰り父と兄の承諾を得てからです。
フランセーアは我らを歓迎していただけますか?」
ベルンハルト。
「もちろんです。証書にいたします。アリステア王と話し合ってください。公爵位を用意いたします。良いですね?母上。」陛下。
「公爵位、もちろん良いですよ。
ベルンハルト殿下。移住とは、思い切りが良いこと。ありがたい話です。今年中?来年?」
「一存では答えかねます。しかし、準備が整えば必ず参ります。ですから、フェリシティーの婚約はお待ち下さい。」
「せっかくリカルドが申し出ているから。発表はしませんが、内輪で仮の、フェリシティーの婚約者候補
ではどうかしら?フェリシティー次第、ということで。」
「大国フランセーアの王太子の嫡子を婚約者候補とは、外聞が悪くありませんか?」
「フェリシティーをフランセーアの将来の王妃に。それがフランセーア王国の、民衆の願いです。」
断りきれず、フェリシティーの内輪で仮の婚約者候補にリカルドが決定した。
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