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借金令嬢の娘は隣国で公爵令嬢となり精霊姫と呼ばれて母の友人と出会い幸せになります!  作者: つーかたかさん


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離宮に帰宅したら

王宮から離宮にやっと帰宅。

そろそろ離宮につくはずだか、騒がしい。

「殿下、民衆が多数離宮そばに押しかけております!決して外に出ないようにお願いします!」

小窓から御者が告げた。

馬車を囲む護衛騎士等が槍を構えた。


「道を開けよ!アリステア王国の賓客が通られる!邪魔な者は切って捨てるぞ!道を開けよ!」


民衆の歓声がどっと上がった。

「精霊姫が乗っておられる馬車だ!」

「精霊姫さま!」

「フェリシティー姫、万歳!」

フェリシティー姫、精霊姫、万歳、が連呼された。


フェリシティーが精霊の泉の祝福を得たことを知ったらしい。

襲われる気配はない。しかし。

ベルンハルトとサーラは民衆の歓声に、喜びより底知れない不安を感じた。


民衆はフェリシティーが精霊の泉の祝福を受けたと聞いて離宮そばに集まっただけの様だった。


離宮に着くと、使用人が正面玄関に集まっている。

ベルンハルトがフェリシティーを抱きかかえて馬車を降りた。

馬車を降りるサーラの手も、片手で支える。


使用人が一斉に礼をした。

尊敬、憧憬、崇拝。そんな目がフェリシティーを見つめている。


護衛騎士らが最敬礼をベルンハルトらにする。

正確にはフェリシティーに、だ。

「無事に離宮につきましたこと、陛下にご報告をいたします。離宮の護衛のため引き続き我ら警備をいたします。」

護衛長が部下に命令し、部下らが散っていく。

護衛長がベルンハルトを尊敬の目で見る。

「精霊姫様と殿下の護衛の任務に付きましたこと、誠に光栄の極みにございます。

邸の外、庭を警備いたします。不審者の侵入が予想されます。我らの事はお気になさらずお過ごしください。」

「食事や休息を厨房などで取ってくださいね」

一応笑顔で言うサーラ。

「感謝する。良いように動いてくれ。しかし、家族で静かに過ごしたい。プライベートスペースには入らないでくれ。」ベルンハルト。

ベルンハルトがサーラを促して離宮邸内に入った。

使用人らも持ち場に戻った。



フェリシティーを子供部屋に運び、ベッドに寝かせた。この娘を守る。それは約束だ。自分への誓い。

宝物の寝顔を愛おしく見つめた。


サロンのテーブルに茶器が並べられている。

ベルンハルトが入ってきたのを見て、サーラが茶を注いだ。


会話は弾まない。お茶どうぞ、ありがとう、と静かに飲む。沈黙。

やっとサーラがしゃべった。

「神様みたいに崇拝されるんですね。精霊の祝福をもらうと、生き神様の扱いです。もう信仰ですね」

「母上はこれが嫌だったのかな?」ハハハとベルンハルトが引きっつて笑う。

「そう、だったかも」サーラも乾いた笑いで返す。

二人共疲れていた。沈黙が重い。



茶器を下げに来たメイドがソワソワしている。

チラチラ二人を見る。


サーラが「どうかした?」とメイドに声をかけた。

モジモジしながら、メイドが話し始めた。

「お願いがございまして。」

ワゴンの下から額縁に入れた絵を出した。

その絵を見たサーラとベルンハルトが固まる。


「かなり高額でしたが、思い切って買いました!

伝来として、殿下が学園時代の肖像と聞いております。その、妃殿下が描かれた絵である、と。

学園時代、恋仲のお二人の愛のメモリーだと!

不思議な事に何枚も同じポーズの絵があるそうです。何枚も同じ殿下の絵を描かれた妃殿下。お二人の時間をいつまでも、との願いで同じ絵を描いておられたとか。殿下も同じお気持ちで、お二人の時間を持つため、描き終わらない事にして愛を育んだと伝え聞いております。しかし、殿下が留学され、二人は離れ離れに。お辛くなった妃殿下が思い出の絵を手放され、市中に出回るようになったのだそうです。

表に当時の殿下のサインがございます。


その、裏にお二人の名前をいただきたいんです!今日の日付と、あの、マリンへ、って、サインして下さい!一生の宝物にします!

精霊姫を母に、娘に持った殿下の肖像画!

精霊姫フェリシティー殿下のご生母サーラ妃殿下が殿下を描かれたという国宝級のお宝です!家宝にします!サインお願いします!」


興奮したメイド、マリンの勢いに押され、なぜこの絵が?なんで今?とグルグル頭に浮かぶ二人。

ペンを差し出され、言われるままサインしたベルンハルトとサーラ。

歓喜しながら絵を抱きしめてクルクルまわり、スキップしながら何度も礼を言い、茶器をガチャガチャいわせながら、ワゴンを下げて出て行くマリン。


「精霊姫フェリシティー様のご両親の青春時代の愛のメモリー!!!」

廊下からマリンの歓喜の雄叫びが聞こえた。



ボーゼン。

先程とは違う沈黙が二人に来た。

先にベルンハルトが口を開いた。

「サーラ、あの絵、、、」

「懐かしいですね!まさか、私の絵が国境を越えていたなんて!さながら巨匠の絵のような扱い!絵を描いてきて良かった!私の絵を大切にしてもらえて、あんなに喜んで!私も嬉しいです!」

「本気で言ってる?ごまかそうとしてない?

来るぞ?サイン責めが。何枚売ったの?怒らないから、言ってごらん、サーラ?」

「1ポーズにつき、10枚、かなー?」

すっとぼけようとするサーラ。

「嘘だ。同じ絵に10枚以上サインした。本当のこと言って?」ベルンハルト。

「最初1ポーズにつき、10枚描いて。売れ行きが良い物は追加して描いて。注文が来たので追加して描いて。コンプリートしたいからって全ポーズの注文が来て描いて。」

「わかった。総数を覚えてないんだね?」ベルンハルト。

「はい。」

気まずい沈黙。

「ごめんなさい」目をそらしながら言うサーラ。

死んだ目のベルンハルト。

「民衆がサインを欲しがってくる、かも?」サーラ。

「護衛騎士らがいるから、大丈夫、だと思う。」ベルンハルト。




翌朝、ベルンハルトとサーラは王宮に呼ばれていたので支度した。


馬車に乗ろうと邸を出たベルンハルトとサーラは、また固まった。

ニコニコ顔の護衛騎士が2名。豪華な額縁に入ったあの絵を手にしている。

助けを求めようと騎士長を見ると、騎士長も手に額縁を持っていた。満面の笑みだ。


ベルンハルトとサーラは貼り付けた笑顔で言われるままサインした。

感激で涙をこぼす護衛騎士2名。

騎士長は

「人生で最良の思い出でございます!わが人生に悔いなし!」

と叫んで額縁を天に掲げ、護衛騎士らに見せた。涙をボッタボタに流している。そんな護衛騎士長に護衛騎士らが拍手している。



「喜んでもらえて嬉しいよ」ベルンハルト。

隣で目が泳ぎながら引きつった笑顔のサーラ。


馬車に乗り込み、ベルンハルトは「まだ4枚。」とつぶやいた。


学園時代、令嬢にサインした絵は100枚を超えていたな、と昔を思い出していた。

学園時代の思い出がここに出現。懐かしいなあ。


読んでいただいてありがとうございました。

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