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借金令嬢と出会えました

男爵令嬢サーラと子爵令嬢エリンとバートとの出会い編です。

ターゲットはサーラ・マラドラン。被害者。

加害者はアデルと取り巻き令嬢。

エリンはサーラを観察した。

ストレートの薄めの金髪。青い瞳。

細い。棒みたいな華奢な体つき。声が小さい。いつもスミッコに一人でいる。うつむきがち。


エリンもサーラと同じ美術鑑賞の授業をとっていた。

芸術系で1つ取らなければならない授業。

エリンはサーラの席の近くに座った。観察する。


するとパラディアン伯爵令嬢アデルがサーラに話しかけた。

サーラのペーパーナイフをすっと手に取り、

「忘れましたの。お借りしますわ」

と持って行こうとした。

エリンが立ち上がり、

「まあ、ステキなペーパーナイフ。少し見せてください。」

サッと伯爵令嬢から取り上げた。

「銀にガーネットやアクアマリンを嵌め込んでますわね。とても高価な品ですね。こんなに高価な物をお貸しするのはよくありません。他の方からお借りください。」

アデルにニッコリ笑いかけながら言う。

伯爵令嬢はエリンを見て、その美貌にひるむ。エリンが上級生だからか、「そうですね。」と言って大人しく去っていった。サーラを睨んでいたが。


エリンはサーラに話しかけた。

「趣味の良いペーパーナイフですね。ステキです。」

「ありがとうございます。母が雑貨が好きで、たしかアルドーナ商会のお品です。」

「アルドーナ商会?」バートんち?!

そこに、バートも来て会話に入る。

「マラドラン男爵家のご令嬢でしたか。

私はバート・アルドーナと申します。

お母上に大変良くご利用していただいております。ご入学にあたり、様々なお品をご購入いただきました。お使いいただけておりますか?」

サーラの顔が曇る。

「お気に召しませんでしたか?申し訳ない事です。何かご不便が?」

「いえ、そうじゃなくて。その。」

「そろそろ授業が始まるわ。後でね、バート」


その後、ランチを一緒に取ることになり、サーラがエリンとバートに話した。

バートの家の商品を見たいとエリンに言われたのに、手元にないからだ。

借りて持っていかれ、返ってこないか壊されて返ってきたこと。


バートが考え込む。

「とりあえず書き出してもらえます?壊された品と返ってこない品物のリストを作りましょう。ご両親には秘密で。言いにくいのでしょう?

父に聞いて値段を書き出します。」


壊された品物の購入金額がおよそ20万リブル。

返ってこない品物が574万リブル。中でも高額な金の髪飾りが450万リブルだ。

子供の悪戯で済ませる額ではなかった。




数日後、パラディアン伯爵家にアルドーナ商会の女性店員と数名を連れて、バートが訪問した。エリンのイトコも一緒だ。

バートはメガネをして、口元にヒゲをつけている。

背が高いので成人後の20代に見える。

エリンもメガネをかけて茶色のカツラを被っている

訪問にはアルドーナ商会の紹介状を添えていた。バートと女性店員が和やかに口上を述べて挨拶が済む。

伯爵と夫人が対応した。


商会の訪問にしては多人数である事を伯爵夫妻が訝しんでいる。

その事について、バートが令嬢の話をすると、まず夫人が怒りをあらわにした。

「なんて失礼な!私の娘がその様な事をしたと言うの!名誉毀損ですわ!いいがかりをつけて、こちらこそ名誉毀損で訴えます!公にします!」

バートがニッコリした。

「承知しました。言い出しにくい事を伯爵家からおっしゃって下さり、感謝いたします。それでは、その様に」

バートと同行した者達が動き出した。

「伯爵様、この屋敷をご令嬢の強盗容疑で捜索いたします。私共は貴族院の司法局の職員です。捜査の邪魔はしないように。邪魔した者は捕縛します。」

伯爵夫妻は慌てている。

「どういう事だ?たかが子供の、学園の友人間の誤解だろう?なぜ司法局の職員が調べる?!」


令嬢の部屋で捜査員が大声をあげた。

「ありました!男爵家の紋章の刻印があります!宝石、おそらくルビー、サファイア、エメラルドが嵌め込まれた金の髪飾りです!他にも文房具類など、男爵家の紋章があります!数点、破壊された品もございます。男爵令嬢の申告した品のリストと照らし合わせてみます。」

伯爵が顔面蒼白になった。貧血をおこした夫人はメイドに連れられて自室へ。

「アルドーナ商会の販売担当のレジーナです。こちらの品々、男爵夫人が特別に誂えた物です。注文書、購入金額、製作した工房、及び職人の名前、製作図面等を提出致します。」

「確認しました。一致しました。盗難の品々と認めます。」


「記録いたします。○月○日、午後2時16分。男爵令嬢の訴えた、伯爵家令嬢アデル様が強奪した品々をアデル嬢の部屋から発見。貴族院司法局が強盗と認めます。この強盗事件と、男爵令嬢よりアデル嬢に強奪された後、破壊後返却された品々について、アデル嬢から話を聞かなくてはなりません。令嬢付きのメイドも連行します。伯爵、数日ご令嬢とメイドをお預かりします。これは決定事項です。」

伯爵が口をパクパクしている。

「申し訳ございません!私はおやめ下さいとお止めしました!お嬢様がした事と私は無関係です!だから連行しないで!」

アデルのメイドが叫んだ。

伯爵がヘナヘナと床に座り込んだ。

「この様な醜聞、どうすれば良いのだ。」

「アデル様のお帰りを待ちましょう」バートが言った。


アデルは茶会へ出かけて不在だ。

アデル付きのメイドが震えている。


アデルが帰宅後、状況に怯んだが

「借りただけなのに!」「うっかり壊しちゃっただけよ。」「お友達同士の事なのに!」

「お友達ですか。では、あなたが男爵令嬢にお貸しした持ち物はございますか?返答しだいでは罪が重なりますが、聞きますよ。」

バートが聞いた。

アデルが沈黙する。

バートはため息をついた。

「男爵令嬢の持ち物が貴方の部屋にある。壊れている物もある。今まで貴方が一方的に借りているのみ。貸したことはない。借りた物を何個も壊した。弁償した事もない。これを認めますか?」バート。

「弁償すれば良いのでしょ!返すし、お金は払うから!お父様お願い!あなたたち、帰りなさいよ!」

「そ、そうだ。アデルは借りただけだ。物は返すし、弁償する!それで良いはずだ!」伯爵も叫ぶ。


「残念です。伯爵。令嬢を連行します。」

「許さん!」

「伯爵も連行しろ!捕縛の妨害だ。」司法局の職員が言った。


「伯爵、アデル嬢、あなたがたは1度も反省の言葉が無い。自分は悪くない、男爵令嬢が大袈裟だとの言葉だけです。これも記録します。残念です。

反省の気持ちがあれば、こちらも考えがありましたのに。」バートが言う。

「連行します!貴族院地下の牢屋へ入れ、裁判で罪を明らかにします。発言は全て記録します!」司法局の職員。


「反省している!すまなかった!アデルが悪い!申し訳ない!」

「私が悪かったわ!ごめんなさい!許して!」

親子が言った。

「こちらの用意した書面に署名をするなら、訴えを取り下げても良い、と男爵令嬢が御慈悲をお示しです。」バート。


バートが用意した契約書を読み上げた。

「パラディアン伯爵令嬢アデルはマラドラン男爵令嬢サーラから学園にて多数の物品を強奪した事を認めます。また、多数のサーラ嬢の物品を破壊した事を認めます。これらの物品の返却、弁償をパラディアン伯爵家当主グスタフが約束します。以後、アデル嬢はサーラ嬢に身体への危害や言葉による危害を与えない事を約束します。これに違反した場合、貴族院で拘束され判決まで地下牢で待つことを了承します。爵位の剥奪を申し渡された時も従います。」

伯爵とアデルが顔面蒼白で頷いた。

「この書面に伯爵の署名と伯爵家の紋章印をお願いします。」

「わかった。署名と紋章印を押そう。返還と弁償を約束する。アデルに、もう悪さはさせない。それで、貴族院には報告はするのか?」

伯爵が貴族院職員に問いかけた。

「上司には仕事完了の報告をします。違反がない限り、ここにいる人間以外は知りえません。ただ、貴族院の司法局に記録は残ります。

令嬢に忠告を。髪飾りは金製、宝石が嵌め込まれていました。もしかして、メッキや色石程度の物と思われましたか?大変高価な物です。高価でなくとも、他人の物を奪い取ることは泥棒です。サーラ嬢に謝罪と寛容な御心に感謝を述べる事ですね。伯爵もご令嬢をキチンと教育するように。このままでは良いご縁談は来ないでしょう。改心なさる事を願います。我々は仕事で知り得たことは漏らしませんが、私共は知っている、と覚えておいてください。私達も貴族です。社交界でお会いするでしょう。お忘れなきように。」

アデルは泣き出した。

「こんな事になるなんて思わなかったもの!」

「あなたが起こした事です。嫌な思いをしたのはサーラ嬢。貴方は加害者です。」

「アデル!まだわからんのか!お前がした事は犯罪だ。盗んだのだろうが!

娘にはわからせるから、連行しないでくれ。」

「そうして下さい。それでは、約束をお忘れなく」


バートとアルドーナ商会店員、貴族院司法局員と名乗る者達は伯爵家を辞した。


アルドーナ商会の一室で。

「さて、ご苦労さま。お疲れ様でした。これで一件落着。ご協力ありがとうございました」

バートが大人たちに言った。

「スゴイお芝居でしたね。迫力ありました。しかし、バレませんかね?」

エリンのイトコが言う。

「犯罪の話を他人にはしないでしょう。自分から醜聞になる事を言い出しませんよ。そうなったら、公の場にこれを出します。署名書類を見せて全部話します。って言ったら黙るでしょう。サーラ嬢への嫌がらせが無くなれば良いのです。だいたい、いたずらて済ませられる額じゃなかったし。アルドーナ商会か見せた書類は本物だし」

バートが言った。

「ハッタリはでっかくした方がバレないもんです。これで良いだろ?エリン。」

「ありがとう。バート。アルドーナ商会の皆様への支払いはイトコがするからイトコさん、脚本を書いた私にも報酬お願いします」


エリンとバートはハイタッチで任務完了を喜びあった。


エリンのイトコは妻予定のマラドラン男爵令嬢に今回の事を報告した。上司への報告である。


サーラは突然アデルが泣きながら謝り、品物を返してきた事に驚いた。アデルは壊した物の弁償費用も上乗せして返してきた。そしてなぜか怯えていた。

「許して、もう二度としないから」と言い、アデルは震えていた。

アデルの取り巻きもその様子にぽかんとしていた。以後、サーラが学園で嫌な目に会うことは無くなった。

お読みいただき、ありがとうございました。

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