フランセーア王国の昔話
ベルンハルトのお母さんが生まれるまでのお話です。
フランセーアにも事情がありました。
アリステア王国がある大陸には、8個の国がある。
フランセーア王国は大陸の5分の2(10分の4)を領土としている。
プロンシアーナ王国は大陸の10分の3。
アリステア王国は大陸の10分の1。
残りの10分の2を5つの小国が治めている。
海を挟んで南は肌の色が違う異文化の国々の大陸となっている。
アリステア王国のある大陸では、2大王国が互いに牽制し合いながら表面上は戦争をしない。
アリステア王国はフランセーア王国寄りの国。
5つの小国は中立を保っている。
フランセーア王国は精霊の泉と精霊の大樹と呼ばれる地を大切に守っている。
精霊の泉と大樹は王宮の中心にある。広い公園のような中庭に泉と大樹、それを囲むように王宮が建っている。
はるか昔、初代王がこの泉と大樹の精霊から神託と加護を受け、混乱していた小国を統合して大国を成したと伝えられている。
初代王の崩御後は、その血を受け継いた王族が祈りを捧げると、祝福があれば泉の水が溢れ出て、大樹が葉を散らすとされていた。
精霊に愛された王が王位にいる間は天候が安定し、豊作が続く。なので精霊に1番愛された王族が王位を継承するとしてきた。数百年、フランセーア王国は安定して王位継承し、災害の無い豊かな国として繁栄した。
泉は二段にわかれており、上の段の小さな泉から水が湧く。湧き出た水が流れ落ち、下の大きい泉を満たす。
精霊の祝福があれば、祈ると水が湧き出す。
平時は大きい泉に水が満たされていた。
しかし、祝福を得る事ができない王族ばかりとなり、血筋によって王位が継承されて100年。
精霊の泉は枯れ、大樹はただ、王宮に存在しているだけの言い伝えとして昔話になっていた。
フランセーア王国の現在の王が、アリステア王国の王太子と第2王子の母の、異母兄だ。
フランセーアの現王と、アリステア王妃(亡くなっている)の父である前王が立つ前、フランセーア王国は王位を巡り不祥事があった。
当時のフランセーア王国には2大公爵家があり、王妃の座をそれぞれの公爵家が争った。
どちらも選べず、譲らず、2名の王妃が同時に立った。
ほぼ同時期に懐妊し、数日違いで王子が誕生した。
2大公爵家は王太子の座を争い、王宮も2つの派閥に真っ二つ。
争いを納めることができない王。
王は慰めを求め、密かに愛した侍女を懐妊させた。
侍女は勤めをやめて実家に帰り、第3王子を産んだ。王子は自分を王子と知らず、祖父母と実母と共に市中で平民として育った。
やがて、王太子の座に付いた第1王子が病死。
その後に王太子の座についた第2王子は事故死。
公にはしなかったが、互いの派閥がその死に関係したと言う。
二人の王子が瀕死になっていた時に、一応、王は精霊の泉と大樹に祈った。
泉の水は快癒の薬湯。大樹の葉は万能薬として王族の命を救ってきたからだ。
王は精霊の祝福をもらえず、王子二人は程なく死んだ。
王族の中から王太子を立てる事になった。
その時になって、王は第3王子の存在を明かした。
第3王子の一家は王位を欲していなかった。
そのまま市中で暮らす事を望んでいた。
この時、第3王子の母は病で伏していた。
王子は宮廷から簡単な説明をされて王宮へやって来た。精霊の泉の水と大樹の葉が欲しかった。
少年だった王子は、祈りさえすれば終わりで、運良く泉の水と葉っぱを貰えたら幸運。どちらにせよ、すぐに母親のいる家に帰れると信じていた。
泉の水と葉は、王族とその伴侶にも効能を与えると伝えられていた。
第3王子が祈ると、100年枯れていた精霊の泉から水が湧き出て、大樹の葉が3枚落ちた。
すぐに第3王子が王太子となった。
100年ぶりに祝福を得た王族を得て、フランセーア王国は喜びにあふれた。
王太子は実母と離れて王宮に暮らすことになった。
そこには父王と、二人の王妃がいる。
争い合っていた二人の王妃は、第3王子をいじめるに関しては結託した。
卑しい腹の出の王子として扱った。
精霊の祝福よりも100年続いた血筋を尊ぶ人々が王宮にはびこっていた。その人々は、自らの血筋に誇りを持っている貴族の出であった。
その結果。
身の危険を感じて王子は王宮を逃げ出した。
逃げ出された王宮は慌てた。王子を探したが、見つからない。
王子は実母と祖父母の家には行かなかった。自分が行けは優しい大切な母親と祖父母に迷惑がかかる。
王子が居なくなると精霊の泉の水は枯れた。
王子は旅芸人の一座に拾われ、諸国を共に巡った。
青年になり、母親が気になってかつての自宅に寄った。そこは監視されていて、王子は確保され王宮に連れて行かれた。
イトコである王族の姫を妻とされ、イヤイヤ王位に着いたそうだ。
第3王子が王位につけられ、前王は退位した。
第3王子の実母と祖父母は王子が出奔した直後に強盗に家を襲われ、殺された。
二人の王妃のどちらかが王子ごと殺そうとしたらしい。
二人の王妃は、王宮から出されて公爵家に戻された。王妃が出戻ったのち、2つの公爵家に雷が数十個落ちた。落雷とそれによる火災により、公爵家の主だった人々は死亡したと言う。
凄まじい天からの怒りを王国民は目の当たりにした。
精霊の泉と精霊の大樹の神話は現実で、神の加護と怒りを王国の人々は信じるようになった。
第3王子は二人の王子を王妃との間にもうけた。
王は政治に興味が無く、王宮にいても、居場所が無かった。王は市中に出掛けることがよくあった。
誰も王を咎めなかった。
王は畏怖されていた。
ある日、王は王宮に戻らなかった。そのまま、いなくなった。泉の水は湧き出ることはなかったが、下の段の大きい泉には水が満たされ、枯れることは無かった。
王が王位を捨てて出奔後。
王妃が政務をして、二人の王子を育てた。
2人の王子が精霊の泉と大樹に祈る儀式の年齢になった。王子たちは祝福を得る事ができた。泉の水はチョロチョロと流れ、大樹の葉は1枚だけ落ちた。
数年がたった。
忘れた頃に、出奔した王が女の子を抱えて王宮に現れた。浮浪者の様な姿をしていたそうだ。
衛兵に追っ払われても、こん棒で殴られても、食い下がって王妃に面会を求める。
王の顔を知る衛兵が王を見て、王妃に繫いだ。
女の子は王の子で、病になり治らない。
王は王妃に謝罪し、頼んだ。
「どうか、精霊の泉と大樹に祈らせて欲しい」
女の子の母親は半年前に亡くなったと言う。
女の子の母親は、少年の頃の王を拾った旅芸人一座の一人で、王とは恋仲だった。
王が王宮に捕らわれて帰らない間も、王を待っていたそうだ。街で王と再開し、王はそのまま出奔。その娘は王を王とは最後まで知らず、亡くなった。
王妃は王に精霊の泉に行く許可を出した。
数名の女官と衛兵が王を囲みながら泉の元へ行った。
女の子を抱いた王が祈ると、泉から澄んだ水が湧き出し、あふれた。精霊の大樹は数十枚の葉を落とした。
王は葉をすり潰し、泉の水に混ぜて女の子に飲ませた。女の子のは回復した。
直ぐ王妃と王子らに、王と女の子が精霊の祝福を得た事が伝えられていた。
王妃は複雑だったが、王子らは父王と妹が来たことを喜んだと言う。
女の子は栄養も足りていない様子だったので、数日王宮に滞在する事になった。
王妃は浮浪者の様な格好の王が、幼い娘を育てられるとは思えなかった。
王妃は王を王宮に迎えた。女の子も王宮で姫として育てる事になった。
女の子はラミーナ王女。
精霊の泉に祈れば溢れるほどに清水が湧き出し、精霊の大樹は大量の葉を繁らせては王女の頭上に振り落とした。
王女は精霊姫と呼ばれるようになった。
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