ケーキは一個だけ
ケーキに乗った一粒だけのイチゴは
目を合わせても一粒のまま
でも目を離すと二粒になって四粒になっている
それがほんの少し悲しくて
私はいつもわがままを言ってしまう
でもお母さんは私のわがままを聞いてくれない
ケーキは一個まで
二個も買いません
いつもと同じ言葉でまた無視される
でも私は大人になった
ケーキは一個で良かった
お母さんはケチじゃなかった
ケーキは一個でいいし
イチゴは一粒でいい
だって目を離せば二粒になる
そして四粒になるのだ
それが幸せだから
ケーキは一個でいい