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建前ではなく制度設計から、菅政権が学術会議の独立性を侵害した行為について考えてみる

作者: ふりがな


学術会議が普段何してるのか、などと脇道に逸れた人が何故か多いように感じまして、本質側である制度設計から、何故、同会議の独立性を侵害すると民主主義の危機に繫がるのか、という話をしていこうと思います。


因みに何故、学術会議が普段何をしているかを書かないのか、というと、普通過ぎて対比すると陰謀論側のショックに勝てないから、という理由があるからです。

調べた所で、どうせ明日には忘れている学術会議の活動。

10億円規模の独立行政法人と比較して考えるに『学者の代表なのに知名度が低いからおかしい』といったり、国民が『業務内容を知らないからおかしい』と主張する人がどうもいるようですが、狂人の戯言は世間への影響力が大きいようです。

例えば、知名度でいうと皆さんJAXAは知っていると思いますが、JAXAは1500億円規模の独立行政法人でして、国民認知度はかつて20パーセント台でした。

皆さんはJAXAの業務内容を言えますか?

今では広報活動、アニメや漫画、映画、そしてはやぶさという一大プロジェクトの成功の影響も入れて、補正予算合わせて1800億円規模になって国民認知度はようやく90パーセントに届きました。

国民が知ってなきゃおかしいと主張する、10億円前後の規模の独立行政法人は日本にいったい幾つあるんでしょうか?

一つでも良いので答えてみましょう。

10億円規模の独立行政法人の全ての名前と業務内容を答えられない人って、何かがおかしいのでしょうか?

では、10倍の100億円規模なら当然全ての独立行政法人の名前と業務内容を答えられますよね?

もっともJAXAは150倍の1500億円規模で知名度は20パーセントでしたが。


国民みんなが知っている独立行政法人と言えばNHKです。

NHKの予算は7000億円規模ですから、まぁ、学術会議も6990億円予算を足してとは言わずとも、3000億円規模の予算があれば、知らないのはおかしいと主張する層が満足の得られる程度の認知度を出すんじゃ無いかなぁと思う次第です。

でも、予算を削るとか言ってましたよね、うん。

予算を削るのはおかしいと怒らないとなりません。

このように知名度の壁は、普段私たちが思っているよりは遙かに厳しい訳です、予算的に無理。

知らないからおかしい、ならば、その知名度は80パーセント台でしょうか? そのくらいですよね。

悪評でない知名度を得るのに必要な予算はおいくら万円でしょう?

私ならとりあえず3000億円規模ですと答えます。


隣人の職業並に興味の無い事を、何故問おうとするのか、私には不思議でなりません。


教えた所で、皆さんへぇーと流すだけで、いつの間にかショックの大きい陰謀論を取り入れてる、なんて事が多々みられます。

もうね、私はアホかと思いまして、そちら関係には付き合いません。


さて、前回で多少書きましたが、学術会議はGHQによって改革の成された組織です。

水面下では色々あったと推察しますが、戦後アメリカ側の表に立つ人々はこう思っていました。

何故勝てないと決まってるのに、日本は戦争へと突入したのか、あいつらアホなのかと。

そして、この東洋の不思議ちゃん国家こと敗戦国日本が、次の機会にどのように勝てない戦争に突入するのを防ぐのか、という事にアメリカ側は取り組みました。


その時アメリカ側が日本で見た物とは、体制としての戦前日本の学術学界の軽視でした。

そりゃ、トップが1+1が2になることも解らなきゃ、国家を滅ぼすような勝てないと解ってる戦争にだって突入もするわなという感想を、彼らは持ったのです。

しょうも無い戦争を未だに続けるアメリカには言われたく無いとは思いますが、彼らは戦争には負けても国家は滅ぼした事はないので、ぐうの音もでません。


因みに、前回書いた林野庁の技官の話は、戦争の一因となった日本のエネルギー問題を、国内の森林資源で解決できないかという取り組みです。

現に化石燃料の輸入を失った戦中日本は、エネルギー問題の解決を山林に求め、挙げ句に山林をボロボロにしています。

アメリカ人は、エネルギー問題の解消の一部を担っていた山林を、官僚畑というズブの素人が管理も出来ずにボロボロにしているのを見て、あ、やっぱり、こりゃダメだと同組織を改革した訳です。

学者を先頭に立てろというやり方でです。


そんな中で整備された学術会議は、日本政府は多少耳が痛くても、学問の意見を聞け。

そのために、学術会議の独立性を維持しろ。

そうしたら勝ち目のない戦争なんてバカな真似は、もう二度としでかさないだろう。

そういう意図でもって作られた訳です。


そうして、学問の自由も、わざわざ憲法に書き込まれました。


さて、これを制度設計として見てみましょう。

単純に考えれば、耳の痛い学術会議は、日本政府がヤバい方向へと進もうとすると反発します。

普通なら、そうだよねと思いとどまりますが、思いとどまらないヤバい奴らも中にはいる訳です。

ヤバい奴らの率いるようになった日本政府は、ヤバい方向へと進むために、耳の痛い学術会議の独立性を潰します。

結果、アホな事をしはじめる。

と、学術会議の存在意義は実はこの独立性にあり、上記のような制度設計になっています。


皆さんこの設計を見て、何かを思い出しませんか?


そう、互いが互いを独立性をもって監視する三権分立です。

システム論的に言えば、学術会議は、この監視機能を三権の外部装置として担っているのです。

四権目とすると、それはマスメディアと言われていますので、主要な監視装置ではなく、補助的な警告装置と見ると正しいでしょうか。

もっとも、マスメディアがシステム的な監視として機能しなくなるのは、皆さんも知って通りです。

彼らは、自己の生存を優先するので、利益を中心に動きます。

結果、監視対象から直接便宜を図って貰ったり、利益を得たりして、最も肝心な時には役に立たない事が多いのです。

これはアメリカを見ても解りますが、四つめの権力は理想論に過ぎなかったという事になります。


脆弱な監視装置であるマスメディアに対して、学術会議のような外部の警告装置は、実はシステム的に堅牢です。


まず、政治にとって抑えたい三権、そして軍権より優先渡が遙かに低い事。

故に三権及び軍権が脅かされる間に警告を独立して行える事。

学術学界故の権威の認識のし辛さ故に警告装置として認識し難い事。

財源が安定しているため、利益誘導を受け難い事。


仮に三権分立を脅かす事に成功した政治体制なら、まず間違いなく遙かに格下である、この学術会議の独立性という警告装置に引っかかります。


案の定、泥棒が引っかかり警告装置は音を立てて鳴り始めました。

なんだなんだと、近所の人達が集まってきました。


泥棒は主張します。


そもそも何故、この家は警告装置なんてつけるのか?

警告装置の存在意義はなんだ?

警告装置のメーカーが怪しいぞ。

警告装置なんてつけなくて良いんだ!

警告装置の値段が高すぎる!

安物にして性能の悪い物に変えろ!

近所を騒がせる警告装置は悪い奴なんだ!


学術会議の真の問題点は、対象が政府の場合、泥棒を突き出す警察がいないという事なのです。


おろおろしている近所の住人に、泥棒はさらに喚きます。

そうして泥棒は、警告装置をあることない事で貶める一方で、何故、自分が警告装置を慣らしてしまったのかを説明しないのです。


何故、警告装置を設置したのかしっている人は、皆、一様に顔を顰めます。

これがまさに今回の各学会の反応でした。

民主主義が危ない。

一方で、警告装置を鳴した間抜けな泥棒は、俺は冤罪だと、警告装置について何も知らない人たちにがなり立てるのです。


これこそが、学術会議の問題です。


警告装置が普段何をしているか、どんな活動をしているか、何てことが本当に私たちに関係あるのでしょうか?

10億円規模の独立行政法人と似たような物ですよ?

本当に興味はありますか?

では、本当に興味があるなら調べてみてはいかかでしょうか。

10億円規模の独立行政法人の業務内容も予算も調べられます、ついでに調べてみては如何ですか?

私は知っています、真実が本当にどうでも良い事の場合には、話題どころか記憶にさえ残らないと言うことを。

どうぞ、一度、確かめるためにお調べ下さい。


そして、結局は学術会議の活動なんて一切関係なく、システムとしての学術会議の要点さえ理解していれば、あっ、やらかしたんだな菅政権と理解出来る程度の出来事なのです。


ただそれだけの事ですが、警告装置がなまじ優秀だったために、泥棒の言い訳が膨らんだという形になります。

彼らって、本当に『国民、もしくは私が知らないから学術会議はおかしい』なんて主張が通ると思ってるんでしょうか?



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― 新着の感想 ―
[良い点] 警報装置、良い言い方ですね。 [気になる点] その警報装置、誤作動はともかく、肝腎な時に作動しなかったらマズイから、徐々に新品に買い換えなきゃな。 [一言] 学術会議の存在が悪いのではなく…
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