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(9)雪色の便り

 イザベル、元気にしているだろうか。この間はあんな風に急に訪ねて、本当に悪かった。びっくりしただろう? しかも面倒ごとを押し付けたまま、逃げ出す形になってしまって……。それでも、イザベルが何も言わずに送り出してくれたおかげで、ずいぶん冷静になれたんだ。


 いや、本当だ。自暴自棄になっているつもりはなかったんだが、今考えるとひどい顔をしていたのだと思う。たまたま降りた海の綺麗な町で、えらく心配されてね。年増女の一人旅は、自殺でもやらかしそうに見えるのかもしれない。そんな迷惑なことをするつもりはなかったのだがな……。


 ああ、すまない。こちらの状況も知らせないと。


 わたしは、特に問題なく暮らしているよ。どこに住もうか悩んでいたが、決める時は一瞬だった。やはり、出会いというものはあるようだな。


 ほら、この葉書の裏面、これが今いる町の絵だ。味わいのある煉瓦造りの建物と白い教会が何とも美しい。ふたりがここに来たら、また何か新しい特産品が生まれそうだな。


 とりあえず、わたしは元気だ。ここはのどかで、女ひとりでも贅沢をしなければそれなりに暮らしていけそうな場所だから安心してくれ。


 あなたに幸あらんことを。

 海の見える町より

 エレナ

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