ドラゴンボールのナメック星編での戦闘力について
~はじめに~
ドラゴンボールはサイヤ人編からスカウターの登場により登場キャラクターの戦闘力が可視化されるようになった。これにより戦闘力のインフレも始まる
しかし実際にサイヤ人編で行われる戦いは戦闘力の高い者が勝利するという力技でもなく、戦力外とも言えるヤジロベーまで投入してなんとか強敵を退けるというまさに王道ジャンプ的なものだった。また、スカウターの戦闘力もどちらかというと敵方がZ戦士達の強さを過小評価してしまうという例の鳥山明的な流れに使われている
簡単に言えば戦闘力の設定に大した意味はなく、誰がどの条件で誰より強い、という上下関係があるだけで多くの読者も流している内容ではある
脱線するが、戦闘力の数値化により益があったのはカードやゲームなど二次的な商品においてで、これはかなり効果的があっただろう
戦闘力が数万から始まって憶超えをするという恐るべきインフレが始まったナメック星編を戦闘力を中心に考察してみた
~悟空はナメック星到着時既に相当強かった~
悟空はナメック星に到着するまでの1週間弱の期間にブリーフ博士につけてもらった最大100G重力装置を用いて、船内でとんでもないトレーニングをする。これはおそらく大猿化したべジータを意識した目標設定だろう。
サイヤ人編でナッパやべジータと戦った際にはベースが 8000程度で、これが界王拳の使用により何倍にもなるという設定だった。おまけに悟空は戦闘種族のサイヤ人で死にかけて復活すると戦闘力が上がるという特性がある。また、船内での修行を終えてから、悟空は 10倍の界王拳にも耐えられると発言している
悟空はナメック星で一度だけスカウターで戦闘力を計測されているシーンがある。その値が 18万だが、ここで何倍の界王拳を使用していたかでベースの戦闘力が変わってくる。界王拳は使用していないと考えることもできるし、ここで例の10倍界王拳を使用しているとも考えられなくはない
ここでは2倍のオーソドックスな界王拳を使用していたと予想したい。するとベースの戦闘力は 9万ということになる。ここで根拠となるのは「重力・戦闘力相関の法則」だ
ドラゴンボールのキャラクターの戦闘力を決める上でこの重力の法則は一つの指針になる。例えば悟空は界王星で修行をしてベースの戦闘力が400~500程度から一気に 5000~8000程度に跳ね上がっている。ご存知のように界王星の重力は地球の10倍程度だ。つまりZ戦士が N倍の重力下で修行をすると、戦闘力もN倍+α上昇する、ということだ
従って悟空はナメック星に到達するまでの数日で 100G の重力を何度も瀕死になって仙豆で回復することでものにし、ベースの戦闘力が元の 8000+α(べジータと戦って一度瀕死になっているので8000よりは上がっている) のさらに10倍程度になった、と推測できる
戦闘力 9万で10倍界王拳を使用したら 90万、既に第一形態のフリーザに勝てる数値だ。さらに 20倍界王拳を使用したら 180万で第二形態にも通用するだろう
~フリーザ様の最終形態は400万~
フリーザの最終形態の戦闘力は公式には憶越えとされている。その方が面白いのかもしれないが、冷静に考えれば盛りすぎという感じは拭えない。第一形態は例の有名な台詞で 50万程度、第二形態は「100万以上は確実」とされている。
ここで第一形態と第二形態の戦闘力を見ると、2倍程度になっていることに気がつく。仮にフリーザは戦闘力が等比数列的に変身ごとに倍々になっていくとすると、第三形態が 200万程度、最終形態が 400万程度ということになる。公式設定と比べるとずいぶんショボイ数値だ
ここで主人公悟空の戦闘力を考えてみる。悟空のナメック星到着時のベース戦闘力は 9万程度で、その後王子等にボコられて瀕死の重傷を負ってフリーザの船のメディカルマシンで回復している。フリーザと戦う前に一度ベース戦闘力アップのチャンスがある訳だが、一体ここでどれ程戦闘力が上昇したのだろうか
多くの考察ではここでベースの戦闘力が何百万にも上がっていることになっている。スーパーサイヤ人が通常のベース戦闘力の 50倍というのと、フリーザの戦闘力が憶越えという公式設定のためだが、上がりすぎという感じがしなくはない
サイヤ人の瀕死回復による戦闘力上昇がどの程度かは不明だが、地球で死闘を繰り広げた王子が 2万弱の戦闘力から 2万以上程度の戦闘力になったことから考えても(ちなみに王子にボンされたキュイは2万弱程度、ザーボンさんドドリアさんは2万程度、変身ザーボンさんは 3万程度だと思う)せいぜい戦闘力数割増しぐらいではないだろうか
そうすると、瀕死から回復した悟空の戦闘力は 10万~十数万程度と推測できる。ここにスーパーサイヤ人 50倍の設定をもってくると、スーパーサイヤ人悟空の戦闘力は約500万となる。フリーザの最終形態 400万はこれらの設定と丁度マッチする。おそらく本来はこのような計算でスーパーサイヤ人 50倍の設定も作られたのではないだろうか
~べジータ王子は界王拳を盗用している~
フリーザ編Z戦士のMVPは悟空としても No.2、敢闘賞はもらえそうな活躍と成長をみせたべジータ王子だが、その戦闘力はリクームに殺されかけて仙豆で復活したあたりから良く分からない
リクームと対峙した時は変身ザーボンの戦闘力を3万程度とするなら 3万強か 4万ぐらいだろう。(ギニュー特選隊はグルド以外は戦闘力5万程度、隊長のギニューは 12万らしい)仙豆で回復した後は、軽くジースをあしらっていることから恐らくベースの戦闘力だけで 5万超えしていたのだろう
ただ、5万程度の戦闘力で第一形態のフリーザに第二形態への変身を促すには、たとえ潜在能力を引き出したゴハンやクリリンがお供にいるとしても全く足りないだろう。4万のネイル相手でもフリーザ様は片手で充分だったのだから・・・
従って、対フリーザ第一形態の時王子は界王拳を使用していたと推測したい。宿敵カカロットが何度も使用しているのを目の当たりにしたべジータ王子がこれを取り入れない訳はない。ひょっとすると寝ている間にイメージトレーニングでもしていてそのコツをつかみ、フリーザ相手にお披露目したのかもしれない。リクーム戦以前は界王拳は使用していないと推測できる。たとえ 2倍の界王拳でもいいから使えれば、王子がリクームに苦戦するはずはない
ナメック星でのべジータの最終的な戦闘力は不明だが、フリーザ様第二形態と互角以上だったピッコロを越えたとすると 100万以上、クリリンに瀕死にしてもらってデンデに回復してもらってベースが 6万~10万弱で、そこから10倍以上の界王拳を使って 100万超え、といったところではないだろうか。つまりナメック星到着時の悟空に追いついたかどうか、くらいだと思う
~その他のキャラについて~
ピッコロ大魔王
ピッコロはサイヤ人編で戦闘力3000程度はあったとされている。その後界王星で修行していることから、重力・戦闘力相関法則を適用すると、ナメック星到着時にベース 3万程度はあったと推測できる。当然界王拳も習得しているだろうから、実質戦闘力数十万はあっただろう。その後戦闘力 4万程度のネイルと融合して大幅に戦闘力を上げている。ただ、後のフュージョンやポタラのことを考えると、ここでのパワーアップは控えめな感じはする。戦闘力 3万の大魔王と 4万のネイルが融合したら、しかも大幅にアップしたベースからさらに界王拳を使えたら、スーパーサイヤ人どころではないかもしれない。なので、ひょっとするとバカらしい話だが、大魔王は界王拳を習得せずにナメック星にやってきた可能性は否定できない。最終的な戦闘力は 100万程度と推定する
なお、ネイル、クリリン、ゴハン、べジータ、ピッコロか悟空を加えてZ戦士が丁度5人になり、悪のギニュー特選隊と戦う5Z戦士という構図ができあがるが、原作でもネイルが方向転換しているように、そういう青写真はありながらも残念ながら却下されたのかもしれない
クリリン
ナメック星到達時は 2000弱、最長老に潜在能力を引き出してもらってからは1万程度と推測する。べジータがギニュー特選隊と対峙時に 3万~4万程度だと思うのであまり高くてもおかしいだろう
悟飯
ナメック星到達時は 2000弱、最長老に潜在能力を引き出してもらってからは ベースが 1~2万程度だと思う。一度リクームに殺されかけているので、最終的なベースは2万超えしているのかもしれない。ただ、この人はキレると戦闘力が 100倍になるらしいので、それを利用してフリーザ第三形態に一矢報いている。この悟飯の特性を利用したのがスーパーサイヤ人2だと思う
結論としては、ナメック星編ではキャラクターのそこそこ妥当な戦闘力設定がありながら商業的な理由により大幅にインフレさせた。ただ、漫画を楽しむ上で戦闘力数値設定はあまり関係がない、といったところか。こういうのを考えてみると、作品やストーリーの意外な面に気付く可能性はあるかもしれない