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不死身の賢者  作者: @Tomo
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勘当された剣士2


 『実戦に勝る訓練は無い』と、父であるスヴェィン伯爵の育成方針により、ウォルフは10才で冒険者ギルドに登録させられダンジョンで討伐を繰り返していた。

 無論、スヴェイン伯爵の子息であり、幼い頃より剣の鍛錬を積んできたウォルフであったが、そのスパルタな教育方針は冒険者ギルドの職員達からも同情(ドン引き)されたものである。


 冒険者ギルドとは、魔獣を狩る事を主な生業とする冒険者のために存在する組織であり、ギルド登録された冒険者達は、世界各地に点在するギルド支所により情報を共有される事となる。

 この情報共有の手段である古代遺物(アーティファクト)の存在こそが、冒険者ギルドを国家権力の介入を赦さない巨大な超国家組織足らしめる所以であった。

 冒険者ギルドの発行するギルド証に登録される冒険者の個人情報『魔獣の討伐履歴、犯罪履歴の有無、討伐報酬の銀行管理等』を共有出来る古代遺物(アーティファクト)は世界に無二の存在であり、国家が欲する権能(ちから)であるが故に、各々の国家が牽制しあい、国家の枠を外れ、世界の共有する財産としての扱いを約束された事が、冒険者ギルドの発祥であると云われている。

 勿論、その結果に収まるまでには、幾多の血が流された事は語るまでも無い事である。


 討伐報酬は即金で受け取る冒険者が大半なのだが(武器、防具のメンテや当座の生活費を考えると、それが普通の事である)伯爵家の子息であるウォルフは殆どの討伐報酬をギルドに預けて来たため、ギルドカードさえ提示すれば5年位なら働かなくても食べていける程度の貯蓄がある。

 父親から勘当を言い渡さたウォルフが、慌てる事無く、冒険者ギルドへ向かった理由の一つはここにある。


 冒険者ギルドに着いたウォルフは受付カウンターで顔馴染みの受付嬢【レイラ】に苦笑いしながら告げる。


「家を出ることになった……勘当されたから、カードの登録名を【ウォルフ=マークス】に変更したいんだけど。それと、武器を買いたいから2万ギルスを報酬から宜しく」


「えぇっ! 笑いながら言うことじゃないですよ。そのままなら騎士団にも入れてたのに……」


 ウォルフの性格を知るレイラは驚きの声をあげながらも、『ウォルフの性格なら仕方無い』と呆れた顔を見せる。

 

 レイラはウォルフの性格を『掴み所が無く、自身の事を客観的に視る……と言えば聴こえが良いが、自身の事に無関心』と評価している。

 若くして達観していると云えなくも無いが、人の生死に関わる事以外には無関心としか思えない。

 『スヴェイン伯爵家の子息でありながらも、剣に関するスキルを持たない出来損ない』という陰口にすら無関心を装う少年の性格など、本当の意味で理解出来るとは思えないが、心配にはなる。


「魔導師になりたいって追い出された俺が、騎士団に憧れる訳ないよ。とりあえず武器の下見してくるから宜しく」


 と言って、ギルドから出て行くウォルフの後ろ姿を見るレイラの眉間は少し険しくなっていた。




 ウォルフにとって馴染みの鍛冶屋は【スヴェイン家】の御抱えなので、武器屋で普通に選ぶことにした。

 『一族の中では落ちこぼれだが、それなりに剣は使えるのでそこそこの剣なら折ることもないだろう』という軽い気持ちで下見をしていると……祭祀用なのか、変わった紋様が刻まれた剣がウォルフの目に入る。

 魔力を帯びた感じも無く性能的には普通に見える片手剣。

『扱い易そうな長さだし……此で良いかな』

 店主に取り置きを頼んで冒険者ギルドに戻るとカードの変更も終わってたので、ギルドカードと現金を受け取ったウォルフは、先程の剣を買いに行った。


 

 


 無事に剣を手に入れたウォルフは、剣の試し切りを兼ねて『少し貯蓄を使った分は稼いでおこう』と冒険者ギルドに戻り依頼を確認する。


『【死者の迷宮】のスケルトンの魔石10個』


 張り出されている依頼書に、簡単な依頼を見つけたウォルフは首を傾げた。


 普段の鍛練に使っている【双月の迷宮】でもスケルトンは出るが、名前の通り【死者の迷宮】の方がアンデット系の魔獣、魔物は多い。

 とはいえ、魔石の収集場所の指定は珍しいからだ。


 王都に近いダンジョンは2つあり、【双月の迷宮】は食材となる魔獣も多く、素材を含めた報酬が期待出来るが、アンデット系が主体となる【死者の迷宮】は魔石以外の素材が殆ど期待出来ないため、不人気なダンジョンとなっている。


「この依頼を受けるよ」


 『研究者の素材依頼かな?』と判断したウォルフはカウンターでレイラに受注手続きをして貰いダンジョンに向かう事にした。

 馬車で半日以上掛かる距離だが、身体強化を使ったウォルフなら2時間を切るくらいで走る事の出来る距離だ。

 

 

読んでいただきありがとうございます。


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