乱入者
「わぁ……すごい。沢山ありますね」
剣の形をした看板がかけてある店の中に入る。
中には魔法の宿った剣……などはなく、様々な大きさの銃が揃っていた。
奥には試し撃ちを出来る場所もあり、ここは俺のお気に入りだ。
「あ、エイちゃーん! 久しぶりじゃないのぉ!」
うげ、会いたくない奴と遭遇してしまった。
「舞、決まったら言ってくれ。俺は外で一服してくる」
「なんで、逃げようとするのよぉー!」
足早に去ろうとするが、それよりも早く俺の背後に周り肩に手を置かれる。
振り向くと無駄に露出が多い、筋肉モリモリの男性がいた。
名前は、マークス・オール。
「なぁーにが、筋肉モリモリよ! 美よ、これは!」
なにが違う……美ってなんだよ。
「だれですか、この人」
敵意は感じないと思ったのか、ぽーっと聞いてくる舞。
「まぁ、昔世話になった人だ」
「今も世話してるわよ! もぅ、おこぉよ!」
キャラ濃すぎだろアンタ……。舞も若干引いてるし。
「てか、何この子? 遂に子供作っちゃたの?」
「作って言うな。ちげーよ、拾ったの」
「ふーん……そんな事もあるのねぇ」
驚いたような表情で俺を見つめるオカマ。
「そんなことより、コイツに合うような武器を探したい」
「なぁるほど」
それならこっちで探すといいわよ、と舞を連れて試し撃ちの場所に連れていった。
「まぁずわぁ、ハンドガンからねぇ!」
マークスが一を教えると、舞は十でも二十でも吸収し着々と的に当てていく。
流石暴力団の娘、殺しのセンスに溢れている。
その様子を一服しながら眺める。
「結局俺も、同じなのかね」
武器を持たせ、戦わせる。
それは舞の父親とやっていることは、そうたいして変わらないんじゃないか。
「また、考えてるのねぇ。色々」
音もなく隣には、マークスがいた。
いきなり現れないで欲しい、心臓に悪すぎる。
「ふふ、俺は何にも考えてないよー」
にへら、と笑う。
笑っていた方が、世の中上手く回る。心の中でだけ、無表情でいればいい。
「そう……似てるわね」
「……何が?」
突然似てると、言われ首を傾げる。
その目は真剣で、瞳には舞が写っていた。
「あの子。昔のアンタに似てるよ」
冗談では、言ってないのだろう。灰皿に溜まっていた灰を落とす。
「どうだろうね」
また笑顔で答えた。
その時だった。
「おうおう、何だおめぇ! 何でガキがこんな所にいんだぁ!」
怒声が練習場に響いた。
声の方向を見ると、舞の近くでそれなりにガタイのいい男が大声を上げていた。
なにかやらかしたのか?
二人の仲裁に入ろうと、足を進めようとする。
が、激痛が俺の体を止めた。
「ッ……」
あの時の戦いが、古傷に響いているのだろう。
痛みで視界が揺らぐ。
なさけねぇ……。ここからなら、あの男を撃ち抜けるだろうか。
懐に手を忍ばす、だがその手を止める手があった。
「あの子なら、大丈夫よ」
「マーカス……!」