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人間

ブックマーク登録、ありがとうございます!

こんな小説ですが、読んでいただき感謝します。

まだまだ未熟な身ですが、これからどんどんと私が面白いと思う要素やキャラ、物語をぶち込んでいきますので、どうか温かい目で読んでいただけると幸いです。

獲物を求めて空をさまよう。

これが鳥か......人間の頃は、自分で食料を獲るだなんてやったことないからな。


「しかし見つからないなぁ......」


飛び始めて体感で約三十分は経つだろうが、今のところ生き物という生き物が全く見当たらない。

初めてこの山に来た時には、わんさか見たってのに。

そんなこんなでもう三十分ほど探し回ると、


「お」


大きな池を見つけた。

やったぞ!これで水は確保出来る。

俺はバサバサと嬉しそうに降り立った。


「ん?」


池を覗く。やっと俺の顔を見ることが出来た。新しい俺と御対面。

うーん......なんていうか、やっぱり目付きが悪い。ゴマバラワシよりのアルゲンタヴィスって感じかな。

まぁどっちも生で見たこと無いんだけど。アルゲンタヴィスに至っては絶滅してるし。

カッコ悪くはないので、良しとしよう。

そんなことより池だ。問題は、飲めるかどうか。

どうしよう......他に飲んでいる動物が見当たらない。そもそも動物自体見当たらない。さっきから何か変だぞ?本当に生き物がいない。


「はっ!魔王の力を使えば良いのか!」


そうだそうだ。すごく便利なものを持っているじゃないか。


「ディテールズレンズ」


俺は鑑定魔術を使った。これはそんなに強くないのか、詠唱を必要としない。小さな魔法陣が右目の前に現れ、発動する。その魔法陣を通して池を見ると、池の詳細を確認することが出来る。


「なるほど......」


まぁ飲んでも大丈夫そうだな。

俺は安心して、くちばしを池へと突っ込む。

人間みたいに、ゴクゴクと飲めないのが焦れったい。だがこれで水は確保出来た。喉も潤され、体力が少し戻った気がする。


「ふぅ」


しかし魔王の力は便利なものだ。これを使って食料でも......


「そうか!!」


なぜ今まで気付かなかったのだろう。魔術で探知すれば良いじゃないか。

さっそく探知系魔術を思い浮かべる。

たしか、これもあの本に書いてあったはずだ。


「ディテクション・アイ」


空から見下ろすために、飛び上がる。

そして発動。

この魔術は、物を透視することが出来るというもの。言うなれば、レーダーだ。岩や木などに隠れていようが、地中に潜っていようが透視する。ただし、そのシルエットが見えるだけで、ハッキリとした色を捉えることは出来ない。

この魔術の種類にはいくつかあり、今使ったのはクリーチャーモードだ。つまり、生物だけが見えるというもの。


「半径約一キロメートルだぞ。さすがにこれでも見つからないことは無いはずだ」


よく見回す。すると、岩陰や木陰。洞穴などに大量の動物を発見した。

なんだ、やっぱり居るんじゃないか。なんでみんな隠れているんだろう?

そこで、俺はあるものを見つけた。

見るからに人型の反応が一つ、いや二つだ。

会話も可能になった今なら、もしかしたら話せるかもしれない。


「よし、行ってみよう」


上手くいけば、俺も人間と一緒に暮らせるかもしれない。それが出来れば楽なものだが。

大丈夫だ、俺も元は人間なんだし、上手くいくさ。

人間の反応のする方へ来たが、何やら金属音がする。

もう魔術は解いているので、透視することは出来ないが、この鳥の目で目視することはできる。

ゴブリンだ。人間がゴブリンと闘っている。反応通り二人いるが、一人は背中にもう一人の女性を背負って闘っている。合計三人だ。


「加勢するか」


異世界に来てまともな闘いは初めてだが、魔王の力を得た今は負ける気がしない。


「ボルト・アロー」


そう唱えると、俺の周りに電撃を帯びた矢が五本ほど発生した。


「ショット!」


掛け声とともに、矢はゴブリンへ向かって発射される。

ゴブリンは全部で十体ほどいたが、命中した場所から電撃の広がるボルト・アローは、直接命中していないゴブリンをも巻き込んだ。

ゴブリンは、電撃により体が麻痺し、動けなくなる。


「おい、大丈夫か?」


俺は、驚いている人間の近くに降りた。

ゴブリンは殺していないが、動けないはずなので大丈夫だろう。無駄な殺生はしない主義なのだ。


「と、鳥が喋った......は!お前か!」


ん?俺を知っているのか?


「お前が魔王を復活させたのか!?」

「え?」

「とぼけるな!言葉の話せるエンペラーイーグルなどいない。それに、その溢れ出る邪悪な魔力、魔王復活の礼として授かった物ではないのか!」


あー、なるほど。なんかオーラみたいなのが出ていたのか。通りで生き物が見つからないわけだ。俺から溢れ出る魔王のオーラで、察知した生物が先に隠れたということか。


「いや、俺はたしかに魔力を持ってはいるが、ただの鳥だ。お前らに危害を加えるつもりはない」

「そんな話が信じられるか!」


ですよね。


「まぁまぁ落ち着いて。これは何とかして引っ込めるから、どうかその剣を納めてくれ」


俺は手の代わりに両羽を上げる。こればかりは人間のころの本能というか、降参の合図が他に分からないので、自然としてしまう。

そしてオーラは、頑張れば引っ込めることが出来た。これで狩りもできるようになっただろう。


「まぁ、剣は別に出してても良いが、とりあえず俺の話を聞いてくれ。場所を変えよう」


ここで話しても構わないが、近くに気絶したゴブリンがいては落ち着かないだろう。

ここは一旦、何もいなさそうな所へと移動する。

案外、人間の方も物わかりが良いようで、黙って着いてきてくれた。良かったぁ、話が通じそうで。




場所を移動し、近くの岩に腰掛ける。まぁ鳥の腰なんてどこにあるのか分からないが。

俺から話を切り出した。


「えーっと。まず俺は、お前らに絶対に危害を加えるつもりはありません。もし斬りかかってきたなら自衛はするけど、自分からはしません」


まだ疑っている顔をしているな。まだ警戒態勢なのが、どうも落ち着かない。


「さっき、俺達を助けてくれたな?」

「え?」


三人のうちの一人が口を開く。いかにも冒険者というような見た目だ。


「そうだけど......邪魔しちゃった?」

「いや、それについては感謝する」


おお、意外と素直。


「そして、よく考えて見れば、危険なモンスターが俺達を助けてくれるわけが無い。わざわざ同じモンスターを倒してまで」

「お、おう」

「お前一体何者だ?」


何者......か。ここは魔王に付けてもらった名前でも名乗っておくとしよう。

俺は胸を張って、自慢するかのように名乗る。


「俺はライル、ただの鳥。獲物を探してたんだが、偶然お前らを見つけてな。困ってそうだったから助けただけだ」


これにより、警戒心はある程度解いてくれたみたいで、剣を納め、近くの岩に座ってくれた。


「俺はディミトリー。このデカいのはオラース」

「オラースです。デカいだなんて失礼では無いですか。男は大きな体で、人々を守るものですよ」

「んで、私はレティシアよ。あなた、本当に悪いモンスターじゃなさそうね」


おお、怪我して動けないとは思っていたが、ある程度は元気なのか。


「その脚は......?」

「ああ、これ?さっきちょっとゴブリンにやられちゃってね」


痛々しい色をしている。血は、布を巻いて止血してあるが、そのままでは危険だろう。

ゴブリンはだいたいが頭の良いモンスターだ。もしかしたら毒なども塗ってあるかもしれない。

そういえば、本に書いてあったな。


「ちょっと失礼」

俺は、怪我の部位に手を、いや羽をかざした。


「ヒール」


すると怪我は緑色の光に包まれ、みるみるうちに回復していった。


「よし、こんなもんだろ」

「あ、ありがとう......」


ん?なんかあまり感謝されていないような気がする。どちらかというと驚きの方だ。


「ま、まさかあなた、治癒魔法を使えるの?」

「え?」


治癒魔法?俺が使ったのはただのヒール。治癒魔術だが。


「今のは魔術だけど......」

「驚いたわ、治癒魔術なんてただの痛み止めにしかならないのに......傷口まで塞いでしまうなんて......」


そうなのか......もしそうだとしたら、魔王の力のせいだろうか。魔力量が半端じゃないだけでなく、通常の魔術の威力や効果も上がっているわけか。


「それに、そもそもあなたはアタッカーなんじゃないの?」

「アタッカー?」


攻撃する人ってことなのか?


「普通アタッカーってのは、攻撃特化の人のことを言うの。だから、さっきのあなたの魔術を見てアタッカーだと思ったんだけど」

「治癒魔術を使えるのは、ヒーラーと呼ばれる人です。魔術というのは、大きく三つのタイプに分けられます。一つはアタッカー、攻撃に特化した魔術を主に使います」

「俺がアタッカーだ。アタッカーは常に率先して敵を倒す」


あー、たしかにそんな感じだな。見た目からして血の気の多そうに見える。


「そして、私はタンク。タンクは、チームの盾役です。主に防御力や攻撃力をアップさせるバフ、つまり強化魔術を扱います。他にも、シールドを張ったり、守りに特化しています」


こちらは落ち着きがあって、大柄な肉体。まさにタンクって感じだ。みんなそれぞれ自分の役割があるわけだな。


「ということは君がヒーラーか?」

「いや、私はソードダンサーと言って、アタッカーと同じ部類。ソードダンサーはたしかに攻撃特化だけれど、アタッカーとは違ってアクロバティックなの。タイプの中では一番速く動けるわ」


そうなのか。ああ、じゃあヒーラー無しで来たわけか。


「それで、何しにそんなチームで来たんだ?」

「本部から魔王の封印が解けたとの連絡があってな。たまたまその時に居合わせたのが俺たち3人ってことよ」


魔王の封印が解けた......か。そしてその封印を解いた張本人は、俺。と勘違いしたらしい。しかし俺は魔王の封印など解いてはいない。むしろ魔王を倒したのだ。


「しっかしなぁ、まだ低い位置でまさかこれほどの強さのモンスターが現れるとはな。しかも言葉通じるし」


ディミトリーは腕組をし、考え事をするかのようなポーズをとった。

低い位置というのは、恐らくこの山のことだろう。


「やっぱり、山の上に行けば行くほど強いモンスターになるのか?」

「そうですね。魔王がいるのは頂上ですから、ある程度強くないと上まで行けません」


なるほどなぁ。それに比べると、ここら辺はゴブリン達が多い。にもかかわらず、俺という魔王の力を受け継いだモンスターが出てきたわけか。


「安心しろ、俺はただ獲物を探しに山を降りてきただけだ。昨日から何も飲まず食わずでな......」


俺の、腹が減ったという意志を受け取ってくれたのか、三人は顔を見合わせると


「王都まではちょっと遠すぎる......あ、なら私達が食料の調達を手伝いましょう」

「ゴブリンから助けてくれたし」

「怪我も治してくれたしね」

「本当か!?」


俺は羽をバタバタさせて喜ぶ。

肉とかとっても、たぶん生で食うことになっていただろう。別に腹を壊したりはしないだろうけど、今まで生で食べた事が無いので、少し抵抗がある。しかしこの体じゃ肉を焼くのは難しいだろうし、人間が手伝ってくれるならそれに越したことは無い。


「ありがとう!恩に着るよ」

「いいってことよ。じゃ、さっそく行きますか!」

「あ、私さっき美味しそうな兎見つけたよ」

「私も、熊を見つけました。食べられるか分かりませんが」


久しぶりの食事は、豪華になりそうだ。

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