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異世界に転生したけど.....

事故。そう、それは事故だった。

誰の企みでも無ければ、誰の陰謀でも無い。ただの事故。ただの偶然。必然。奇跡とも言い換えられるし、運命とも言える。

つまり、仕方の無いことだったのだ。

もしも俺が、信号が青なのにも関わらず、横断歩道を渡っていなかったらとか。トラックの運転手が昨夜しっかりと寝ていたらとか。そういう事は考えない。

今となってはもう遅いことだから。そんなことを思ったところで、俺は生き返ったりしない。

死は死だ。

あぁ、意識が遠のいて行く。

この日、なんの取り柄も無い普通の男である羽鳥鳥羽(はとりとば)は、高校生という若さで命を落とした。



─────あらまぁ、可哀想なこと。仕方ありませんね、特別に二度目の人生を歩ませてあげましょう。あ、人生ではありませんでした。正しくは......


─────急に意識が戻った。

今のは......なんだ?幻聴か?

それよりも俺、意識がある!?死んだはずじゃ......

恐る恐る目を見開く。

ちゃんと見える。心無しか、いつもよりも鮮明に見えるぞ。手足を確認しようと、視線を落としたところで気づいた。

おい......マジかよ......。

手は無かった。

その代わりに、羽が生えていた。

足も無かった。

その代わりに、鳥の足のようなものが生えていた。

羽に......鳥の足?

え、え、えええええええ!!?

鏡が無いので、確認する術はないが、明らかに鳥だった。

俺、鳥になっちまったのか…...。

お父さん、お母さん。どうやら俺は、事故で死んで転生して、鳥になったみたいです。

たしかに「生まれ変わったら鳥になりたい」なんて言ったことあるけど、本当に鳥になるとは思っていなかった。

しかし、こんな所でパニクっていてはいけない。生きているのならそれはそれで嬉しいものだ。だったら、次は死なないようにしないと。

これがさっき聞こえた「二度目の人生」ってやつか。

とりあえずここがどこなのか確認しよう。

鳥だけに......


羽を大きく広げ、バサバサと地面を扇ぐ。

何してんの?とか言わないで欲しい。

何せ前世が人間だ。鳥になっていきなり空を飛ぶなんて無理だ。

しばらく羽を動かしたが、少しも体は宙に浮かない。

諦めようとしたその瞬間。

フワッと、少しだけ体が浮いた気がした。

お?もうちょいか!

バサッバサッと大きく動かす。するとみるみるうちに飛び上がっていく。

おおお〜!!感・動ッ!!

新しい誕生祝いだ!

少し飛んだら、意外と早くコツを掴めた。

なるほど......鳥ってこういう気分だったのか。いい眺めだな。

空に飛んで気が付いたが、ここら辺は森のようだ。辺り一面緑しかない。

しばらく飛び回ってみる。それでさらに分かったことが二つ。

まず、ここは山のてっぺんで、恐らく富士山ほどの高さだ。

そしてもう一つは、ここが異世界だということ。理由は簡単。見たことのない生物がいるから。デッカイ蜘蛛や、恐竜みたいなやつ。それに、ゴブリンらしき人型の緑の生物に、透明で少し青みがかった水が歩いていた。たぶんスライムだろう。下の方へ行けばいくほど、RPGで言うこところの低級モンスターがうじゃうじゃいる。


少し疲れた。パッと見あまりモンスターがいなさそうな木の上に降りた。

さて、どうしたものか。

この鳥の体にも、早くも慣れてきたし。この世界のことをもっとよく知っておくべきだろう。

俺は、異世界だぜヒャッホイ気分から一転して、サバイバルだぜヒャッホイ気分にのった。

まず、サバイバルにおいて必要なのは、水と食料と寝床だ。

お腹はなぜか今のところ空いていない。喉も乾いてはいない。なら、まだ動けるうちに食料を確保すべきだが、目の前にいい感じの洞窟があった。見つけてしまったものは仕方がない。ここを寝床にしよう。

俺は、洞窟に入って行った。



洞窟の中は意外と広く、そこまで暗くはなかった。いや、暗くは見えなかったのだろう。

まだ自分の見た目は見えていないが、この鳥。さすが異世界の鳥だ。洞窟のような暗さでも見えるようになっている。便利な目だ。

俺は、モンスターが出てこないか気をつけながら、洞窟内を進んだ。

特に何も出なかった。怖がって損した。

一番奥と思われる所に着くと、何やら扉のようなものがある。

『扉を開きますか?』『YES or NO』

と、俺の脳内に浮かぶ。生前は、妄想と想像が趣味だったからな。そのくせがまだ抜けない。

まぁ、もちろん選択はYESだ。

俺は、扉を文字通り鷲掴みにし、開いた。

中は普通に部屋があった。

まるで図書室のように、本が沢山置いてある。そこまで広くは無いが、人一人ぶんの部屋なら申し分ないくらいだ。

そこで俺は、ある本を見つけた。

文字は全く読めないが、何か惹かれるものがある。

恐る恐る足を掛け、本を開いてみる。


『これを読んでいる全ての者へ』


中にはこう書かれていた。表紙の文字とは違い、脳内で直接読むというか、なんというか。とにかくこの文字は特殊で、文字が読めない人でも読めてしまうような魔法がかかっているようだ。


『私は大賢者。君がこの本を読んでいるということは、もうこの山をほぼ攻略したということだろう』


あれ?まだこの世界に来たばかりですが......


『正面の棚を押してみろ。さすれば隠し扉があるはずだ。そこに私の秘宝が眠っている。受け取れ、勇者よ』


勇者?勇者というのが存在するのか。ということは、やっぱり人間もいるんだ。

大賢者に言われるままに、棚を押してみた。

すると棚は自動で横に開き、奥には隠し部屋があった。

その部屋のど真ん中に、とても神々しい剣が刺さっている。

鳥だから引き抜けねぇわ。

俺は諦め、部屋にある本を読み漁ることにした。

この部屋の本は、全て日本語に見える。凄い......大賢者。


しばらく読んで分かったことをまとめると、この世界は神によって作られた世界で魔王がいたり、勇者がいたり、賢者がいたり。

まぁそんなところだ。ファンタジーのゲームと似ているな。


結局、特に収穫は無し。元の世界に帰る方法も分からなければ、俺がなぜ鳥になったのかも分からない。だが、少しだけ良いものはあった。

魔術書だ。

この世界には魔術、魔法というものがあって、魔力を利用して使うことが出来るらしい。ちなみに魔術の上が魔法。魔法が使えるのはこの世界で数人しかいないらしい。

そしてその魔術や魔法を発動するには、詠唱というのが必要だ。で、詠唱が載ってるのがこの本たち。これらだけ貰っていくことにしよう。

まぁ貰っていくっていっても、どこにも行く場所なんて無いからな。しばらくはここに住ませてもらうことにした。


これで寝床は確保。あとは食料と水だが、なんだか今日はもう眠たい。初めてのことが多すぎて、頭がパニックだ。

一旦落ち着くのもかねて、もう寝ることにしよう。


俺は、そっと目を閉じ、起きてからすることを考えた。

これからなんとかして、鳥で生きていく。

誰かがくれた二度目の人生。

存分に謳歌させて貰おうじゃないか。

俺は眠りに落ちた。


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