3話 雑誌派? コミック派?
「ねえ、みんな」
アカリちゃんが静かに問いかける。
「ん? なに? アカリちゃん?」
「みんなは、マンガを読むとき雑誌派? コミック派? 私は雑誌派」
「私はコミック派かなー。まとめて読みたいし」
マヤちゃんはコミック派。
「俺は雑誌派だな。いち早く続きが読みたい」
ナギトくんは雑誌派。
「わたしは両方です。ちょっと費用がかさみますけど」
リサちゃんは、なんと両方だった!
へー。皆バラバラだ。
「ぼくはあんまり読まないかなー。アニメは観るんだけど」
「なんで……」
「え?」
「マジか」
「ほんとに?」
ん? 皆なんか様子が変だよ?
「「「「読まないの(んですか)!?」」」」
わー! びっくりしたーー!
「どうしたの皆? ぼく、何かおかしなこと言った?」
「はあ……」
「どうもこうもないよ、ヒカリちゃん!」
「ウソだよな……?」
「ヒカリさん、そんな……」
えー……? どういうこと?
「待って、待って、説明して?」
「あのね、ヒカリちゃん。アニメは観るんでしょ?」
マヤちゃんが諭すように話し始める。
「うん、おもしろいよね」
「でも、そのアニメの続きが気にならないか?」
ナギトくんが聞いてくる。
「んー、時々なるかな? でも、アニメの最終回をみてるし」
「でも、マンガだと、アニメの回と回の間の話とかもあって、中身が深く感じるよ」
アカリちゃんが言う。
「好きなシーンの細かい描写とか気になりませんか?」
リサちゃんも加勢する。
「そこまで言うなら、読んでみようかな? でも、続編が決まったとき喜びが薄れない?」
「いいえ、むしろ逆です、逆! ヒカリさん! 今まで読んだ話に色がついたり、動きがついたりするのがいいんです」
「それにね、ヒカリ。マンガを買うってことは、作者さんにお金が入るってことなの。アニメとは直接には関係あるかはわからないけど、応援にはなるの」
ふーん、そうなのか。
「じゃあ、新品は高いから、中古でもいいよね?」
いちいち新品で買っていたら高いもんね。
あれ? 皆、険しい表情してる?
「中古、許すまじ!」
ナギトくんが怒鳴ったー!
「ああ、すまん。大きな声出して。別に中古が悪いってわけじゃない。でも、作者を応援したいなら、新品で買うべきだ、と俺は思っていてな」
「そうよねー」
「そうね」
「そうです、そうです」
皆の顔が縦に動く。
「ところで、雑誌派とコミック派って?」
「ああ、それはね、雑誌には週刊とか月刊とかがあって、それぞれの作品が少しずつ載ってるの。でも、私はドーンと読みたいからコミックで読んでるの」
マヤちゃんは言う。
「俺はさっきも言ったが、雑誌派でな。いろいろな作品があって、読む順番をそのときの気分で決めるのも楽しいぞ」
ナギトくんも言う。
「でもさ、雑誌って1話ずつでしょ? よくちまちまと読んでられるね。分厚くてかさばるし」
「何を言うか。コミックだって、話数はあるものの、下手したら月刊だったら、次の巻まで一年くらい空くだろう?そんなに待ってられるか。それにコミックになってない作品だってあるんだ。そもそも、雑誌あってのコミックだろ」
「だって続きを読むのに、いちいち探さなきゃいけないでしょ? メンドくさ」
ちょっと、二人とも顔が怖いよ……
「まあまあ、どちらにも良いところはあるんですから、お互い仲良くしましょう? そうです、お二人も両方買われては?」
「「いや、それは金銭的にムリ」」
「なんでそこは息ピッタリなんですか!?」
「じゃあ、マヤちゃんとナギトくんで貸し借りをすればいいんじゃないかな?」
「ヒカリちゃん、ナイスアイディア!」
「それいいな」
「今度コミック全巻持ってくるからね」
「俺も最新号を持ってこよう」
「ネタバレは万死に値するからね」
マヤちゃんの声が鋭い。
「冗談だよ」
ナギトくんは笑ってる。
「……まったく」
アカリちゃんもほっとしたみたい。
それにしても皆アツかったなあ。ちょっと怖かった……。
「ところで、ブルーレイとかは買っ——
「「「「もちろん(です)!!」」」」
即答だった。
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