第一章2 私視点
放課後、4時10分。彼はこの時間いつも席に座って窓の外を見ている。
あまり話したことがないけど、実は小2の時からの片思い相手。
向こうには気づかれてないと思うし、話したことなんて小2の時以来。だからバレてないはず。
とあるきっかけで彼のことを好きになったのだけれど、その時から話しかけようとするたび、胸の音がうるさくて私は声をかけるのを諦めた。
そんな私は今から告白したいと思う。
「あ、あの…」
「…。」
「付き合ってください!」
「ん?え?お、俺!?」
目があっちゃったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
ど、どうしよ!かなり緊張してきた!!あーもう!なんで今になって緊張さんは現れてくるかな?どうして?私をこんな気持ちにさせるのが大好きなのかな?ドSなのかな?そうだよね?あーもう!!!!
心臓よ、とまれーとまれーとーまーれー!!!…あ、止まっちゃダメだ。
それにしても返事が返ってこない…。フラれちゃったな、これは。
でも今すぐに返事が知りたい…。でもフラれたくない。私ってこんなにもわがままだったんだ。
「あの、、、返事聞いてもいいかな?」
あーあー聞いちゃった!後戻りできなーい!
そんな私の頭の中が限界を迎えようとした時、彼が喋り出してきた。
「お、俺なんかでもいいの?」
「…うん」
「よ、よろしく」
うひゃああああああああああああ!え?これってOKってこと?だよね?そういうことだよね?夢じゃないよね?やっっっっっっったぁぁぁぁああああああああ!!!!
「じゃ、じゃあ私、か、帰るね!」
もう頭の中がごちゃごちゃになり、私は颯爽と帰った。
このニヤついた顔を誰にも見せたくないから俯きながら早歩きで帰った。もう世界記録出せるんじゃないか!ってぐらいに。無理だけど。
帰宅。
はぁー。今が今までの中で1番幸せすぎる。もしかして次の瞬間死ぬのかな?いや、生きるよ?私の人生これからだよ?死んでたまるか!
「あ、そうだ!つ、付き合ってるんだし、メールぐらいしてもいいよね!んふふふ、なんて送ろっかなー…うーん…あ!連絡先知らなかった!!!」
テンパリすぎて連絡先交換するの忘れてしまった。今から家に行ってみようかな…。いや、今顔合わせられる勇気がないや…。でもメールしたいよぉー…。
コンコン
「姉ちゃん、もう帰ってるの?」
「…。んっん。うん、いるよー」
やっばい!弟に聞かれちゃったかな?
「入るよー。ねーねー、ちょっと勉強でわからないところがあるんだけど、教えてくれない?」
あ、なんだ、勉強のことか。今日は心臓に悪い日なのね。
いつも弟に勉強を教えるついでに予習ができるからって理由で勉強を教えてる。まぁ、将来は先生になりたいし。
そのためにも家にいるときは基本勉強ばっかりしてる気がする。
「ありがとー!いつもわかりやすくてほんと助かる!」
なにこの子!天使なのかな?いつも以上に眩しく見える。
「ところで姉ちゃん、なんかいいことでもあったの?やけにニヤニヤしてる気がするんだけど」
「そ、そそそそそんなことないよー!き、気のせいなんかじゃないかなー?」
やだこの子、なんて恐ろしい子なの!?私の弟ながら怖いわ!
「ま、別にいいんだけどさ、そんな幸せそうな顔見たの久しぶりな気がしたからなんだか嬉しくなっちゃって」
な、なんて可愛い子なの!!!お姉ちゃん、ハグしてあげる!もう、ぎゅーーーーーってしてあげちゃう!!
そんなことを思いながら行動しない私は妄想女子。脳内お花畑なのよ!…自分んで言って泣けてくるからやめよ。
「じゃあ、自分の部屋に戻るね!姉ちゃん、ありがとー」
そういって部屋に戻っていった。
そして気づけば0時。
いつもならもう寝ないといけない時間。
明日は気合い入れて声かけなきゃ!
まずは連絡先聞いて、それでデートでも誘ってー、それから手も繋ぎたいでしょ?それからデート行くなら水族館に行きたいなー!あ、そう言えばこの映画、明後日からだったよね!これ観に行きたいんだよなー!一緒に観てくれるかな?んー…。でもこれ、かなり女子向けの映画だしなー…。だったらやっぱ水族館にしたほうがいいよねー…。水族館に行くんなら、夜に綺麗な夜景が見えるところでき、ききききキスしちゃったりしてさ!きゃぁぁぁぁあああああ!なに考えてるんだろ、私!恥ずかしい!
あー悩んじゃうな!!!なんだかわくわくしてきちゃって寝れなくなってきちゃった!
翌朝。
「…結局、一睡もできなかった」
あー、頭がクラクラするー!
…あ、なんか今になって睡魔が襲ってきた…。あ、ちょっと気持ちいいかも…。
「…スースー。」
「…はっ!寝落ちしちゃった…。え!!!!遅刻!!!急がなきゃ!」
「ま、間に合ったー」
私って走ったらこんなに早いんだってぐらい速く走れた気がする。
ただ、いつも一緒に登校してる友達には待たせちゃった挙句、先に行ってもらっちゃったし、あとで謝らないとなー…。
そんなことを考えながら下駄箱に向かっていると、目の前にいるのですよ。私の愛しき彼が。胸がトクントクンと音を鳴らしながら近づく私。
「お、おはよー!珍しくギリギリだね!」
なに今日も天気がいいね!みたいな会話してんのさ!
「お、おおおおはよう。う、うん、昨日は眠れなくて。」
え、私と一緒!きゃぁっ!
「そうなんだー!私も!」
なにこの幸せな時間は!遅刻しそうになってよかったー!ダメなんだけどね?
でも心なしか、彼の目が腫れてる気がするんだけど…気のせいかな?あ!もしかして感動するテレビでも観てたくさん泣いて目が腫れちゃったのかな?可愛いなーもう!もうニヤニヤが止まんないよーーーーー
朝から幸せに満ち溢れた。
いつも夢に見てた彼との会話。こんなにも心が幸せになるとは思ってもみなかった。なんかもう今死んでも大丈夫な気がしてきた。
そして放課後。彼を探すんだけど見つからず、連絡先を聞くことができずに落ち込みながら帰った。
「私の根性なし…なんであの時連絡先聞かなかったのさぁぁぁぁああああ!!」
「はぁー…デートはお預けだね。」
月曜日。
彼がため息をついた。それはもう大きく。
え?どうしたの?なんか悲しいことでもあったの?
どうしよう、心配。こ、声かけちゃおうかな?かけてもいいよね?よ、よし!かけちゃうぞー!
「どうしたの?そんな大きなため息ついて。元気ないね」
「そうなんだよ、結局彼女にデーt…うわぁ!!」
え?今デートって言った?ねえ!今!デートって!言った??
私の頭の中に響き渡るデートの3文字。
デートデートデートデートデートデートデートデートデートデート!
「そ、そんなに驚く?おかしな人だな、君は」
顔赤くなってない?大丈夫?私、変じゃない?おかしくなってない?
「いきなり声かけられたからびっくりしちゃって…ごめん」
彼ったら可愛いんだから…!そんなところも好き…きゃっ!それに髪切ったのね、か、カッコいい…
「そんな!こっちこそ驚かせちゃってごめんね。ところで、髪切ったんだね!カッコよくなってるよ!」
「あ、ありがとう。なんだか照れる。」
きゃあああああ!なになに?照れるって!か、かわわわわわわわわわわわわ
そ、そうだ!本題に戻らなきゃだったわ、私!
「あはは…。ところで、さっき私のこと言ってなかった?」
よ、よし!聞いてやったぞ!私、グッジョブ!!
「…き、君の連絡先知らない。」
「…あ、あーそうだったねー!交換しとこっか!」
ちゃ、ちゃんと喋れた?私、ちゃんと喋れた?カタコトになってない?変に思われてない?大丈夫?同じこと考えてただなんて…幸せ。
「そ、それとさ!今週の土曜日、予定あけておいてくれるかな?デートしようよ!」
あ、あれ?私、今、なんか、すごいこと、言った、気が、するんだけど!?
「うんわかっt…えええええええ!?」
え?え?なに、その反応!?ダメなの?ダメだった?まだ早すぎた?ビッチだと思われちゃった!?
「…だ、ダメだった?」
「い、いや、予想外だったからつい」
ただ驚いちゃっただけなのかな?
「予想外って。クスッ、私たち付き合ってるんだから当たり前じゃん!」
あーもう!驚かさないでよ!
「そ、そうだよね!当たり前だよね!普通だ!よし、京都へ行こう!」
きょ、京都!?え、おおおおおおお泊まり!?ちょ!え?それはまだははははは早いよよよよよよ!!!
「あははは、そんな遠出なんてできないよー」
「デスヨネー」
「じゃ、また連絡するね!」
「う、うん」
なんだか幸せです。
帰宅。
だ、ダメ。私、おかしくなりそう。幸せ値数のメーターが振り切っちゃって頭がおかしくなりそう。
私は枕に顔を埋めてじたばたしてた。そう、文字通りじたばた。
トントン
「姉ちゃん、ドンドンうるさいよ!あとご飯できたから早く降りてきなさいって母さんが」
あらやだ、私ったら暴れちゃってたわ。
「ん、着替えてから降りるね」
そんなたわいのない会話をしつつ、どうしてもにやけた顔が元に戻らない幸せ全開な乙女な私を誰か助けてー!!!
明日もたくさんお話ができたらいいな。