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世界は1冊の本のなかで  作者: はぴ
2/3

第一章1 俺視点

「私と付き合ってください!」


突然だが、『恋』をしたことがあるか?

その恋は実ったことはあるか?

俺は実ったことが1度たりともない。

そもそも8歳のときから片思い歴10年と、俺にとって現在進行形で初恋が終わっていない。


そんな俺にだ。突如初恋相手に告白された。

しかも放課後の教室、4時10分での出来事だ。


誰もいない教室で俺は窓から見える校庭を眺めていたときだった。なにがなにやらわからない。


だが今言えることは、恋ってのはいつかは必ず実るのだ、と。


「ん?え?お、俺!?」


そんなかっこいいことを頭の中で回想しておきながら現実では、あまり人と会話しない、教室の隅で勉強してるか今みたいにボーッと外を眺めているか、もしくは寝てるかだ。


そんな俺に初恋相手の子から声をかけられた。そして告られた。

そんな俺のことだ、テンパらないわけがない。


「あの、、、返事聞いてもいいかな?」


「お、俺なんかでいいの?」


「…うん」


よくわからないが、両思いだったらしい!

今、すごく幸せだ!


「よ、よろしく」


そして彼女と付き合うことになった。





帰宅

「ただいまー」


「かえりーお兄」


ソファーの上でごろんと寝転び、ポテチをいかにもデブまっしぐら!な感じで食べているこいつは俺の妹だ。


「妹よ、そんな食べ方してると太っちゃうぞー☆」


「え、なに?お兄なんだかキモいんだけど?てかうち痩せてるし!太らないし!お兄のばか!!」


「キ、キモいとはなんだ!せっかくお兄ちゃんが妹の心配してやったというのに!もう!やだ!やになっちゃう!」


「お兄、キャラ設定おかしい。これじゃまるでオネエじゃん。」


「そんな目であちしを見ないで!妊娠しちゃう」


そんなアホみたいな会話ができるのはうちの妹だけだ。なんていうか、楽。


「今更だけど、お兄って家ではこんなに明るいのになんで外ではあんなに暗いのかねー?そんなお兄に問う。外で何があった。そしてそのニヤついたキモい顔をどうにかしろください。」


「え!?そんな顔してた?おっかしいなーいつもとおんなじ顔してるんだけどなー?」


「で、なにがあったのさ?」


「実はさー、今日の放課後にさー、10年片思いしてた女子にーコクられてぇー、んでもってー、付き合うことにーなったのぉー!」


「言い方ウザいよ、お兄。とりあえずおめでと。そして御愁傷様。」


薄々とは気付いてた…ホントだよ?


「…や、やっぱりそう思う?」


「当たり前じゃん。だって片思いの子ってあの人でしょ?お兄、会話したことないじゃん!」


衝撃的告白。実は片思いしてた子とは小中高と一緒だったのに1度たりとも会話したことがないのだ。

強いて言えば、教室の隅で本を読んでいたら「体育館に集まらないとだよ?」と声をかけられた。それだけだ。


そんな俺にあの子が好意を抱いてるとは考えられない。


「きっとなんかの罰ゲームかなにかなんかじゃないのかな?じゃなきゃ、お兄に告るとかありえないし!」


我が妹よ…皆まで言うな。


「…。とりあえず飯作るわ」


うちの家族は4人。

母は夕方に仕事に行き、朝方帰ってくる。

あと兄がいるんだけど、一人暮らしをしている。


母は俺たちを養うために必死になって働いている。だから迷惑をかけたくない。

そう思い、家事に関しては妹と分担ですることになっている。

そして今日は俺が当番。


飯を作り、飯を食べ、風呂に入り、部屋に戻る。そして勉強。

これが家に帰ってきて行ういつもの行動パターンだ。

だがしかし、部屋に戻るところまではいつものパターンだが、今日は無理。しんどい。辛い。悲しい。泣きたい…。


俺はベットに倒れこんだ。

一気に目から溢れてくる涙に俺は驚き、目を擦る。

それだけ俺は片思いの子に恋をしていたのだ。

それは涙が出てもおかしくない。なにせあの瞬間にフラれたみたいなものなのだから。



そして翌朝。俺はいつの間にか眠っていたみたいだ。電気付けっ放し。時計も7時50分。


「…ん?7時50分?ああああああああ!!!!!ち、

遅刻!?」








…なんとか間に合った。


『先に行ってるよーん!』と書いてあった置き手紙を残して先に行った妹に怒りを覚えたが、そんなことはどうでもよくなった。目の間にあの子が現れたからだ。


「お、おはよー!珍しくギリギリだね!」


「お、おおおおはよう。う、うん、昨日は眠れなくて。」


「そ、そうなんだー!私も!」


え、笑顔が眩しすぎる!!!!そんなニコニコしてたら惚れてまうやろぉぉぉおおおお!!と心の中では叫んでみたが、いやいや、俺、この子にフラれたんだぞ。しっかりしろよ!


朝から悲しみ溢れてしまった。

いつもならこんな夢みたいな出来事が起きてしまったら喜び以外のなにものにもならないはずなのに今日は違う。これも彼女の演技なのだろう。


告白は嘘なんだろって言ったら離れていくだろうし、それなら気づかないふりして、今を楽しんだ方がいいのかもしれない。

だからある意味ラッキー!だと思うしかない。そう思うしかないなー…。




そして放課後。何も起こらない。

カップルらしいイベントが何も起こらずに、俺は気がつけば妹が作った晩飯を食べていた。


「ねえ、お兄」


「…ん?ん?どうした?」


「うち、考えてみたんだけどさ…今の状況、利用してみたら?」


「…へ?」


うちの妹様はいきなり何をバカなこと言い出したのか?俺の頭の上にクエスチョンマークが数え切れないほど散乱している。


「だーかーらー!お兄は今、形上お付き合いしてるでしょ?だったらデートだってできるはずじゃん」


「で、でも、向こうにはその気が」


「うん、その気は無いだろうね」


「あっさり!そこは少しぐらい否定してください。」


「でも今日、フラれなかったでしょ?なら他に何か条件があるはず。例えば付き合ってる期間があるとかデートは必ずするとか、カップルらしいことをするとか、キスまでするとか…。いや、最後のは無いか」


「キ、キキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキk」


「あー!もう!うるさい!黙れこのへたれ童貞男女!」


「へたれ童貞男女!?」


「男のくせして女々しいから男女!」


俺の気にしていたところを平気で上から殴る俺の自慢の妹だ。


「で、話戻すけどいい?」


「は、はい!」

あ、声裏返っちゃった。


「…はぁー。まぁ、ようするに、デートして惚れさせろ大作戦じゃ!」


「ネ、ネーミングセンス…」


「う、うるさい!」


「まじ最高っす!」


「ヤルヨ?」


「すみませんでしたっ!!」


「とにかくうちの作戦聞いて」






土曜日。

俺は妹に言われたように行動をした。

まずは髪型。このボサボサヘアーをまずどうにかしなきゃと言われ美容院へ行った。


そして服選び。ここで注意点。男性スタッフに選んでもらうのではなく、女性スタッフに選んでもらう。

ここでやりがちなのは、同性に意見を求めてしまうと同性好みになってしまい、異性に好かれにくい。

そんな様々なことを妹に伝授され、無事全てのミッションを達成させた。



そして夕方

「…お兄、見違えるほどカッコよくなってる…。」


「ん?なんか言った?」


「…え?いや!なんでもない!気のせい!」


んー、なんか妹に微妙な反応いただきました。ほんとに大丈夫なのかな?


「じゃあ、彼女さんに明日、デート誘っちゃいなよ!」


「え!?あ、明日!?Tomorrow!?」


「善は急げってね!」


「でもでも」


「でもでもうるさいなー!彼女さんに好かれたくないの?惚れられたくないの??」


「…!!」


「なら今すぐに連絡しなさい!」


「イェス、マム!」


俺は無我夢中にメール作成をした。そして気づいてしまった。


「妹よ、とても大切な話がある。」


「どうした、兄よ」


「…拙者、彼女の連絡先知らぬでござった!」


「なにやつ!?」





月曜日。

結局デートに誘うこともできなく登校日になってしまった。


「はぁー。」

大きなため息を一つ。大げさなと言われてもおかしくない大きなため息。


「どうしたの?そんな大きなため息ついて。元気ないね」


「そうなんだよ、結局彼女にデーt…うわぁ!!」


話しかけてきたのはまさかのあの子。え、てかさっきのため息聞かれてた!?


「そ、そんなに驚く?おかしな人だな、君は」


そこには天使がいた。


「いきなり声かけられたからびっくりしちゃって…ごめん」


「そんな!こっちこそ驚かせちゃってごめんね。ところで、髪切ったんだね!カッコよくなってるよ!」


「あ、ありがとう。なんだか照れる。」


「あはは…。ところで、さっき私のこと言ってなかった?」


ど、どうしよう。それまで聞かれてしまった。

あーもう!やけじゃい!!

「…き、君の連絡先知らない。」


「…あ、あーそうだったねー!交換しとこっか!」


なんだかギクシャクしてるな…。やっぱり罰ゲームだもんな。そりゃー、興味ない人に、しかも彼氏気取りの勘違い野郎に連絡先聞かれたら教えたくないもんな…。


「そ、それとさ!今週の土曜日、予定あけておいてくれるかな?デートしようよ!」


「うんわかっt…えええええええ!?」

まさかの向こうからのお誘い。


「…だ、ダメだった?」


「い、いや、予想外だったからつい」


「予想外って。クスッ、私たち付き合ってるんだから当たり前じゃん!」


あ、あれ?予想もしない回答が返ってきた。

いや、これもただの演技だろう。だって、期待したらまた涙が!!!


「そ、そうだよね!当たり前だよね!普通だ!よし、京都へ行こう!」


「あははは、そんな遠出なんてできないよー」


「デスヨネー」


「じゃ、また連絡するね!」


「う、うん」


なんだか幸せです。







帰宅。


「はい、お兄死んだー」


「ひどくない!?」


「親切丁寧にその幸せをぶち壊してあげたんだから感謝してよね!」


「おいコラ、親切でも丁寧でも大分違うぞ」


「細かいことは気にすんな☆」


細かくないよ、お嬢ちゃん。


「で、デートの方なんだけどさ。」


「俺、やっぱり死ぬのかな」


「いろんな意味で死亡フラグ立ちまくりだもんね」


「お兄ちゃんは傷ついたぞ」


「はいはいごめんね」


「許そう」


「わぁーい、お兄大好きー」


「こらこら、心がこもってないぞー☆」


「うん、お兄に好きという気持ちはミジンコさんよりも小さいかな」


「一応あるんだ、ありがとう」


「もっと感謝しなさい」


「ははぁー」


「で、本題に入ってもいいかな?」


「え、あ、うん」


妹と会話してるといつも脱線してしまうから恐ろしい。

妹と作戦を立てて本番に挑む。果たしてどうなるのだろう。

未来の俺よ、ファイトだよっ!

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