罪と罰(2)
田村達は磯村君を虐めたことにより停学、ボックスマンによって退学に追いやられた連中。彼らがボックスマンに逆恨みを起こして復讐しようとしていると知ったならば、当然僕らは見過ごすことはできない。僕たちは増子に利用されていることを知った上で、ボックスマン救出に向かった。
町外れの廃工場群を僕と尾下は走った。田村達がそこを溜まり場にしていることを、尾下銀は知っていたのだ。
ある建物の前で尾下は足を止めた。壁も扉も錆びきっている。彼は扉に耳を近づけ、中の音を聞いた。
「間違いねぇ。ここだ」
僕もそれを真似て音を聞く。中では怒号と、嘲笑うような声が響いている。
尾下は扉を開けようとする。
「……ダメだ。鍵がかかっていやがる」
僕は建物全体を見回した。高いところに窓があるが、そこまではどうやっても届きそうもない。
僕らは目配せしあった。
「やってくれ」
「わかった」
ここでどうして以心伝心、言葉を介さずに通じ合ったのか、それはわからない。
尾下銀は扉から少し離れ、傘を開いたまま地面に放ると、次の瞬間凄まじい勢いで扉に向かい、蹴飛ばした。
鉄の扉は内側に吹き飛んだ。辺り一面に轟音が響いた。




